【新卒採用インタビュー】STORY4:動画広告の未来を切り拓く、グリーの若手たち

“グリーの「スピード」で挑む広告革新”

「将来についてわかっている唯一のことは、今とは違うということだ」。広告市場をめぐる急激な変化を前に、マネジメントの父として知られるピーター・ドラッカー氏の言葉を想起せずにはいられない。米調査会社eMarketerは2016年9月、年末までの米国のデジタル広告費が720億ドルに達する一方で、テレビ広告費は712億ドルにとどまるだろうという予測を発表した。面白いことに、この予測に対してeMarketer自身が驚きを隠せないでいる。なぜなら同社は半年前に、デジタル広告費がテレビ広告費を抜くのは来年になるだろうと予測していたからだ。
デジタル広告費が急加速した要因は主に2つある。一つはモバイル広告で、460億ドルとデジタル広告の60%以上を占める。eMarketerは、モバイル広告が2019年までに米国の広告市場の3分の1以上を占めるだろうと予測する。これは米国に限った話ではない。英調査会社ゼニスオプティメディアは2016年7月、世界のデジタル広告費は2017年に広告費全体の36%になり、35%のテレビ広告費を抜くだろうと予測している。
デジタル広告費を加速させたもう一つの要因は、動画広告だ。こちらはデジタル広告費の14%程度、10億ドルと規模はまだまだ小さいものの、成長スピードが目覚ましい。この背景に、技術の進化による表示スピードの改善や高画質化があることは間違いないだろう。

ただ、「テレビ広告費がデジタル広告費に抜かれた」と聞くとテレビ広告の需要が落ちてデジタル広告に流れたと考える人も少なくないと思うが、それは誤解かもしれない。なぜなら米国のテレビ広告費は微増を続けているからだ。動画そのものに対するニーズは依然として高く、モバイル広告の伸びに連動して、モバイルの動画広告も伸びていくと考えるのが妥当だろう。では、日本ではどうだろうか。

「広告費全体の成長が鈍化する中で、着実に成長を続けているのがデジタル広告です」と冷静に話すのは2015年からグリーの子会社Glossomで広告事業に携わる江川 嗣政氏だ。江川氏は同年7月に代表取締役社長に就任すると、すぐに動画制作事業「WOOZ」を立ち上げ、Glossomの動画広告事業をあっという間に収益の柱に育て上げた。その実績を評価され、グリーの執行役員にも就任している。

「アメリカでデジタル広告が伸びていますが、それは単にテレビ広告など従来の広告がデジタル広告に置き換わっているというだけでなく、アドテクノロジーの進化が大きく関係しています。日本は既に出遅れているわけですから、スピード感を持ってどんどん新たな挑戦をしていかなければいけません。事業の立ち上げや投資、人事の意思決定を柔軟に行うため、グリーはGlossomに権限と責任を移したのです」(江川氏)

スピード感を持って仕事をする。それを標語にする企業は少なくないが、実行するのは簡単ではない。しかし、Glossomがただ標語にするだけで終わっていないというのは、オフィスをのぞいてみればすぐに分かる。社員の平均年齢は28歳。平均年齢が33歳のグリーよりもさらに5歳も若いのだ。しかし、実力があれば年齢は関係ない。新卒で入社し、3年目でありながら部長として事業責任を任されている社員もいる。


江川 嗣政/2012年入社。Developer Relations部部長、マーケティング部部長などを経て、2015年7月Glossom株式会社代表取締役社長に就任。

“若手が引っ張るグリーの広告事業”

Glossomは2014年から米国の動画配信事業者と提携し、動画広告配信ネットワーク『AdColony』を提供している。この事業部の責任者を務めるのが、2014年にグリーの新卒として入社し、2年半で現職に就任した山崎 陽平氏だ。山崎氏は新卒1年目で優秀な働きをした社員に贈られる「新卒MVP」の受賞者でもある。

「私のようにキャリアが浅くても、実績があれば権限を与えてくれますので、やりがいを感じています。新卒で入社する会社としてグリーを選んだのも、ソーシャルゲーム市場が急激にレッドオーシャン化する中で、『自分の成果を会社への貢献として直結させたい。それがすぐできる会社に入りたい』と思ったからです。私の同期もみんなそういった反骨精神を持って入社していましたね。実際に入社してみると、2カ月くらいの研修が終わったら一人で営業に出されました。新卒1年目の自分が、大手広告代理店の倍近い年の方と一人で話すんです。さすがに半年くらいは先輩にお供して学ぶものだと思っていたので、『とんでもない会社だな』と思いました(笑)。でも動画広告事業が立ち上がったとき、本当に大変でしたが、入社したときに『どうすればいいか自分で考えなければいけない環境』で育てられたことが生きました。その成果を認めていただいていると思います。今は収益の柱として成長させていくのが楽しみです」(山崎氏)


山崎 陽平/2014年新卒入社。広告・メディア事業本部所属。Glossom株式会社アドプロダクト事業本部 部長。

Glossomでは、山崎氏のように事業責任者やチームリーダーに抜擢される人は珍しくない。なぜ若手の登用に積極的なのだろうか。その理由の一つに、江川氏は前職の楽天での経験があると話す。

「私は前職の楽天にいた10年の間に、会社がスタートアップから大きく成長していく過程を体験しました。IT業界では、若手の成長スピードが爆発的な力を生み出し、会社の成長スピードを加速させることがよくあります。グリーもそうでした。ソニーやパナソニックが30年掛けて成し遂げたようなことを、凝縮して成し遂げてしまうのです。Glossomはまだ100人規模の会社ですが、注力事業は確実に成長していく領域ですし、グリーグループという強みもあります。これほど可能性に溢れた会社は無いでしょう。3000人規模から1万人規模に成長する会社での経験は、それほど貴重ではありません。しかし、100人規模から1万人規模は、経験しようと思ってもなかなかできないことです。Glossomの若い社員たちには、貴重な財産としてその得難い体験をしてもらいたいと思っています」(江川氏)

2016年12月、グリーの子会社で広告代理店業を行うグリーアドバタイジング株式会社の代表取締役社長に柴田 直人氏が就任した。実は柴田氏は2008年に新卒としてグリーに入社した生え抜きの社員だ。グリーの代表取締役会長兼社長である田中 良和氏は、柴田氏の就任に際して「グリーとして優秀な若手の抜擢を通し、会社全体を盛り上げていきたい」と話したという。

「入社した2008年当時のグリーは、社員が100人もいない会社でした。まだスマートフォンが登場しておらず、いわゆるガラケーの時代です。その中で、SNS『GREE』内の広告枠販売や企業とのタイアップ広告販売をしていました。その後、スマートフォンの登場に伴う社内事業の変化とともに、私の担当もアドネットワークやリワード、DSP(Demand-Side Platformの略で、広告配信のプラットフォーム)などの販売にシフトしていきました。たった8年の間に、社員数が10倍から20倍になり、デバイスが代わり、市場環境も大きく変化していったんです。会社が急激に成長する中で、若手だからなんて言ってられません。社員数も増える中でどう自分の価値を出していくか。その焦りが自分の成長ドライバーになりました。その後は海外事業部、グリーアドバタイジングの立ち上げに関わり、現在に至ります」(柴田氏)


柴田 直人/2008年入社。広告事業本部にてGREE Ads Rewardの新規立ち上げ、GREE Advertising, Inc.の立ち上げなどを経験。GREE Advertising, Inc.代表取締役社長。

現在、グリーアドバタイジングでは国内外のアプリを運用する企業のWebプロモーション支援事業を行なっている。その中でもニーズが高まっている事業が海外プロモーションと、動画マーケティングだ。動画広告にはニーズが高まる2013年から取り組んでおり、その専門性の高さがクライアントからの信頼につながっている。

「ネット専門の広告代理店も数多くある中で、モバイル領域やゲーム領域の知見を実体験持っていることが強みになっています。広告代理店も時代の変化とともに、求められるニーズは常に変化しているのです。ゲームづくりは創造性が鍵になる要素だと思いますが、マーケティングは技術や業界が変化するスピードに付いていけるか、先回りできるかが鍵になります。グリーアドバタイジングは、激動のデジタル広告市場の中で私たちは変化を恐れることなく常に挑戦し、事業を適切に変化させていくことで、グリーグループにおけるマーケティング人材の育成組織にもなれればと思っています」(柴田氏)

一般的に、新卒入社の社員は企業文化を色濃く反映させながら成長していくものだと言われている。グリーには、「常に前向きに挑戦する。成功するまでやり続ける。」「現状に甘んじない。さらに高い目標をめざす。」という行動規範が掲げられている。山崎氏も柴田氏も、挑戦し、結果を出して認められた行動規範の体現者だ。そして、その結果に甘んじることなく、さらに高い目標を目指し続ける姿勢は、一緒に働く仲間たちにも良い刺激を与えていると言えるだろう。

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