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GOOD ACTIONアワード受賞!グリー特例子会社GBOが実践する発達障がい社員のインクルーシブ経営とは?

グリーおよびグリーの特例子会社「グリービジネスオペレーションズ(以下、GBO)」は、リクナビNEXTが主催する「第6回GOOD ACTIONアワード」にて「ワークスタイルバリエーション賞」を受賞しました。
今回は、GOOD ACTIONアワード表彰式の模様をお届けするとともに、GBO経営企画室副室長の竹内に、GBOの取り組みや障がい者雇用を取り巻く現状、今後の展望について話を伺いました。

GOOD ACTION アワードでの表彰式

2月4日に開催された授賞式では、20社近い応募の中から4つの賞と大賞が発表されそれぞれ審査員からの評価ポイントがコメントされました。

GBOとしては下記の3つあげられ、表彰していただきました。

・発達障がい者の力を最大限発揮できる環境を作っている
・社長との個人面談をはじめ、個性と向き合う機会を多数設けている
・事業に貢献し、特例子会社の枠を超えたつながりが生まれている

また、審査員のアキレス美知子さまからは

「正直に申し上げて、最初に応募の書類を見たときには『特例子会社の取り組み自体はそんなに珍しくないのでは』と感じていました。しかし詳しく見ていくと、この取り組みは他社のそれとはまるで違うことが分かりました。発達障がいの方にスポットライトを当て、『特例子会社はコストセンターではなく、事業に貢献するための組織である』ということを重視し、本体の事業を知る人が社長を務めています。その上で一人ひとりの特性を知って強みを理解し、それを生かすために必要な環境を整え、事業に貢献するための働き方や力の生かし方を明確にしています。」

とのコメントをいただきました。

社員の約7割が発達障がい者であるGBOでは、一人ひとりの障がい特性を理解し、個々の能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組むことで、「発達障がい社員のインクルーシブ経営」を実践しています。

具体的な取り組み内容や、「GOOD ACTION アワード」については下記をご覧ください。
GBOでの取り組み内容詳細

今回評価いただいたGBOの取り組みですが、グリーとして実施する背景や今回の「GOOD ACTION アワード」への応募についてGBO経営企画室副室長である竹内へインタビューしました。

竹内:グリービジネスオペレーションズ株式会社 経営企画室 副室長
2012年1月にグリー入社し、人事部中途採用チームに配属。同年4月にGBO事業推進部に配属

GBOの取り組みを通じて、世の中の意識を変えていきたい

ーー今回GOOD ACTIONアワードに応募した経緯を教えてください。

竹内 竹内:グリーの広報担当者から連絡をいただいて、面白そうだなと思ったのがきっかけです。グリーとして応募するかGBOとして応募するか悩んだのですが、主催者側とも話し合った結果、グリーグループとして応募することにしました。

ーーなぜGBOではなくグリーグループとして応募したのですか?

竹内 竹内:障がい者雇用というのは、ともすれば「担当者だけがやっていればいい」というセクショナリズムに陥りやすい。でも、本気で障がい者雇用を進めるには直接担当している人たちだけでなく、周囲も含めて全体で取り組んでいかないと成功しないんですね。私たちが注目してほしいのは、GBOではこんな風に障がい者雇用を頑張っていますということではなく、グリーグループとしての障がい者雇用に対する姿勢や取り組みです。グリーグループには「皆でやっていこう」という風土が根付いており、各社とGBOとが密な協力体制を築いています。考え方、そして仕組みの面においても個別ではなく組織全体で取り組んでいることから、グループとしての応募を決めました。

ーーさまざまな企業が障がい者雇用に取り組んでいますが、グリーグループとしてアピールしたいことはありますか。

竹内 竹内:グリーグループが素晴らしいなと思うのは、グリーをはじめとする仕事を依頼する側と、依頼される側であるGBOがフラットな関係を築けていることです。これはグループ全体の社風でもあるし、「人に、社会に、仕事にまじめ。」というバリュー(行動規範)からくるものだと思います。「障がい者用の仕事はこれ」と決めつけるのではなく、「この人にはこんなスキルがあるからこの仕事を依頼しよう」という考え方ができているのです。こちらが結果を出せば相応の評価をしてもらえるし、新たな仕事も任せてくれる。詳しい説明が必要だと感じたら時間を割いてくれ、役員やさまざまな部署の方が見学や打ち合わせのために足を運んでくれます。まさに「インクルージョン経営」の実践につながっていると感じています。

ーーこうした取り組みを発信することには、どのような狙いがあるのでしょうか。

竹内 竹内:GBOで働く社員の約7割に発達障がいがあります。全人口の6.5%、15人に1人は発達障がいの傾向があると言われています(※)が、皆さんがイメージする以上に高い割合なのではないでしょうか。もちろん障がいがある方すべてが障がい者手帳を持つわけではなく、障がいがあるという自覚がないまま働いている方もいます。そうした方は生きづらさや働きづらさを感じていても、その気持ちを吐き出す場所がないし、スポットが当たりづらい。障がいのある方にとって働きやすい環境や仕組みをつくり、その取り組みを世の中に発信することで、障がい者を取り巻く環境について一石を投じることができればという思いがあります

※:文部科学省 平成24年「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要 とする児童生徒に関する調査」より

「障がい者」と一括りにせず、一人ひとりの個性に目を向ける

ーー改めて、GBOの設立背景について教えてください。

竹内 竹内:GBOが設立された2012年は、グリーが急成長を遂げている時期でした。社員数の伸びに対して障がい者雇用が追い付いていない状態で、これが経営課題になっていました。そこで特例子会社を立ち上げて受け皿をつくろうということになり、GBOが設立されました。私はそれまでグリーの人事本部で中途採用に携わっていたのですが、GBO会社設立に伴い障がい者雇用担当になりました。

ーー竹内さんご自身は、障がい者雇用のご経験はあったのでしょうか。

竹内 竹内:まったく経験がなく、恥ずかしながら会社設立時は「障がい者=身体または知的障がい者」という認識の状態でした。障がい者雇用に取り組んでいる企業を訪問したり、国や行政が実施している研修や講演などに参加したりしてノウハウを学んでいきましたね。

ーーGBOの施策や具体的に取り組んでいることを教えてください。

竹内 竹内:大きく3つのステップがあり、1つ目は「特性と個性の理解」です。発達障がいとひと言でいっても、一人ひとりの特性は大きく異なります。その特性がどのようなものなのか、会社生活をするうえでどんな困難が生じるのか。また、好き嫌いから経験値、知識、スキル、キャリア志向といった本人の個性への理解を深めることも欠かせません。そのための場として、GBO代表との1on1面談や支援機関面談、上長面談、カウンセリングなどさまざまな面談機会を用意し、仕事や体調のこと、これからのキャリアのこと、私生活の悩みなどもざっくばらんに話しています。

2つ目は「環境整備」です。障がい特性から生じる疲れやすさや過集中に配慮し、各自が必要な時に利用できる休憩室を設置しています。また、聴覚過敏用のイヤーマフや光過敏用のサングラスを用意するほか、マニュアル整備や作業工程の見える化により業務の面でも厚くサポートしています。社員との面談を通じて実際のニーズを把握し、社員が本当に必要としているものが何かを見極めたうえで整備を進めてきました。

3つ目は「事業貢献」です。GBOはグリーグループの事業に貢献することを第一義に考えているので、グループ内の仕事のみを請け負っています。設立当初は書類のコピー、シュレッダー、PDF化といったペーパーレス化に関わる業務のみを行っていましたが、業務を積み重ねていくなかで期待以上の成果を出せるようになると、「この仕事もお願いできないかな」と新たな相談や依頼が来るようになり、それに応える形で業務の種類も事業貢献度の高いものが増えています。

ーー課題としてとらえていることはありますか。

竹内 竹内:3ステップを軸にして運営してきましたが、まだまだできることはたくさんあると感じています。一つずつの取り組みを深めていくことが今後の課題ですね。また、GBOのことを世の中に発信していくことも大事なミッションととらえています。グリーの経済的価値と社会的価値を創るCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)としての、私たちの取り組みが知られることがきっかけとなり、発達障がい者の方の働きやすい環境づくりが社会全体で進んでいくことを願っています。

社会全体が連携し、働きやすい環境づくりを

ーーGBO社員の皆さんはどのようにキャリアを形成しているのでしょうか。

竹内 竹内:GBOでは全社員がPCを使った業務を行っています。現在は月に300種類以上の業務を行っており、このうち半数以上がゲーム事業に関する業務です。事業に直結する仕事を任せてもらえるというのは、メンバーたちのやりがいにもつながっていると感じます。入社後、PCスキルを一から学び、今では品質保証やチームのマネジメントなど複数の役割を担っているメンバーもいます。

ーー業務を進めるにあたり、工夫していることはありますか。

竹内 竹内:発達障がいのある方は、マルチタスクや優先順位をつけることが苦手なことが多いですが、工夫次第で解決できることがあります。たとえばADHD(注意欠陥・多動症)の方の場合、「この時間はこれをやる」とシステムに登録しておけばアラートが飛び、タスク漏れを減らすことができます。チームで取り組む仕事なら、メンバーの特性を互いに理解しておけば足りないところを補い合うことができます。「こんな時はどうしてる?」とアドバイスを求めたり仕事術を共有し合ったりと、社員同士の交流が活発なことで本人たちの意識が高まり、互いのレベルアップにつながっていると感じます。

ーー障がい者雇用を取り巻く現状をどのように見ていますか。

竹内 竹内:障がい者雇用には、「理解」が何よりも重要です。GBO社員にも、学生時代から、あるいは社会人になってから周囲の理解を得られず苦労して、生きづらさや働きづらさを感じてきた方が多くいます。そうした状況下では、たとえ能力を持っていてもなかなか発揮することができないし、ましてやキャリアアップについて考える余裕がないんですね。そこをしっかり整えてあげれば、自然と成長意欲が湧いて前向きに働けるようになるし、悩んだりつまずいたりした時はサポートすることができます。そのためには本人の考えや思いを引き出して一緒に解決していくための仕組みを回していくことがポイントだと思います。

ーー大人になってから発達障がいと診断される方が増えていると聞きます。GBOの社員にも同様のケースはあるのでしょうか。

竹内 竹内:社員の半数以上は社会人経験があり、働きづらさを感じて診断を受けた結果、障がい者手帳を取得して働くことを選んだ方たちです。自分が障がい者であると認めるというのは、とても勇気のいることだと思います。ただ当事者に話を聞くと、「診断を受けた時は安心した」と。「なぜ自分は仕事ができないんだ」「なんでこんなに生きづらいんだ」と周囲と自分を比べて自己嫌悪に陥っていたのが、原因がはっきりすることですごく楽になるそうなんです。原因が分かって、じゃあどう向き合っていけばいいのかと考えるのがファーストステップ。そこから支援機関に入って就労訓練を受け、就職に至るという流れの社員が多いと思います。障がい者手帳を取得する際に自身の障がいを受容し、覚悟を決めています。

ーー誰もが働きやすい社会になるには、どのようなことに取り組んでいけばいいのでしょうか。

竹内 竹内:海外では、自閉症の方を「戦力」として積極的に採用している企業もあります。そうした国では、支援機関が生活するための必要なサポートを行い、一人ひとりに合った仕事を見つけ、そのためのトレーニングを行い、社会に送り出すという一貫した総合サービスがあります。これらの取り組みでも分かる通り、個々に目を向けて周囲が理解を深めることで、障がい者が働きやすく、その能力を活かせる社会づくりが進むのではないかと考えています。

働きやすい社会を目指して

ーーご自身は、どのような思いで障がい者雇用に携わってこられたのでしょうか。

竹内 竹内:精神障がいや発達障がいは、その要因や仕組みがはっきりとは解明されておらず、まだ分からない部分が大きい。このことを理解したうえで、本当に必要な配慮は何なのか、本人たちがパフォーマンスを発揮するにはどうしたらいいのかを考え続けてきました。先ほど申し上げた通り、15人に1人は発達障がい特性を抱えているという調査もあります。その一人ひとりがフルに能力を出せる環境をつくることができたなら、社会的なインパクトを起こせるのではないかという思いがあって、それが自身のやりがいにもなっています。

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

竹内 竹内:これからもグリーグループのために、より貢献度の高い仕事に取り組み、より多くの成果を生み出していくことが目標です。そのためには会社全体でもっと実力をつけなくてはなりませんから、皆で切磋琢磨し、日々成長していければと思います。そしてその先に、本当の意味で働きやすい社会を実現できればと考えています。GBOがその足掛かりとなり、成功事例を広く発信できるよう今後も取り組んでいきます。

以上

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