【Management Voice】#01 大矢 俊樹「10年、20年後の未来を語り合える。それがグリーの強み」

グリーグループのマネジメント陣に、事業や個人のことなどをインタビューする本企画。記念すべき第1回は、グリーのCFOである大矢俊樹さんです!

【プロフィール】
グリー株式会社 取締役 上級執行役員 最高財務責任者
大矢 俊樹

1992年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手監査法人に入社。インターネットカンパニーを数社経て、2018年9月、グリー株式会社 取締役に就任し、2019年10月より最高財務責任者。公認会計士。

「人はつながりたい生き物」コロナ下で強く実感

ーー大矢さんはグリーCFOを務めていらっしゃいますが、管掌部門は?

大矢:コーポレート部門全般なので、経営企画、財務経理、人事、法務総務、社長室を見ています。

――コーポレート部門として最近注力していることは?

大矢:直近ですとやはりコロナ(ウイルス感染症)対応ですね。事業面に関してもオンラインオフィスといった働き方にしても、いろいろ考える転機になったというか。

――具体的にどんな対応をしているのでしょうか。

大矢:リスクマネジメントチームと人事部門と一緒に対策本部をつくり、3月中は毎日情報収集をして他社の取り組みや政府の動向を見つつ、議論しながら対策を練っていきました。まずは社員本人や同居しているご家族に基礎疾患がある場合など、感染によるリスクが高い人からいち早くオンラインオフィスへの移行や時差通勤を始めるよう方針を打ち出しました。4月に入り緊急事態宣言が発令されてからは、全社員がオンラインオフィスへ移行しています。これまで全面的にオンラインオフィスを実施したことはなかったので若干不安はありましたが、大きな問題が起きることもなく事業を継続することができています。

――「いろいろ考える転機になった」というお話がありましたが、コロナ下でご自身に変化はありましたか?

大矢:人間は社会的な生き物なので、たとえオンラインでうまくやれていても、すべてをオンラインで完結させるとか、このままずっとオンラインオフィスでの働き方でいいというのは極論かなと思っています。今日の取材もそうですが、直接お会いするのと画面越しでお会いするのとでは、やはり感じ方が違いますよね。本来人は集まりたがる生き物なんだということは、制限されていたからこそ強く感じることなのかなと。6月末からは基礎疾患があるなどハイリスクの人を除いてオフィスへの出社が始まっていますが、今後も状況を見ながらうまく対応していきたいと考えています。

個々がプロフェッショナルとしての意識を持って

――大矢さんが考える、コーポレート部門のミッションとは?

大矢:コーポレート部門は会社のインフラ的な存在で、屋台骨を支えるのが仕事だと思っています。まだ世にないものや新しい価値を生み出すのが仕事の事業部門であれば「頑張ったけどできませんでした、また次頑張ります」があったとしても私たちは同じ言い訳はできません。だからこそ“プロフェッショナル”としての仕事を全うしなきゃいけないというのが持論です。

――“プロフェッショナル”とは?

大矢:「やり抜く力」という言葉をよく使うのですが、これは前職からずっと言い続けていることで、まずは自分のミッションに対して満足のいくレベルまで仕上げる、目標に到達するまでとことんやり抜くというマインドはすごく大事だと思っていて。メンバーたちにもそういう人間であってほしいと考えています。そういう意味でグリーの社員はとてもレベルが高くて、個々がプロフェッショナルとしての意識を持って仕事をしているなと感じます。プロ意識が高いと、自ら勉強したり経験を積もうとしたり意欲的に動くので、自然と成長していくんですよね。

――組織力についてはどう見ていますか?

大矢:グリーのコーポレート部門にはそれぞれに組織としての強さもあると感じていますが、会社として成果を出すためには「協働」も欠かせません。大きな経営課題とか事業課題を解決しようという時に、一つのセクションでできることは限られていて、いろいろな部門を巻き込んだり横断してつながったりしなければできないことってたくさんありますよね。そういう「チーム感」を育んでいくことはとても重要だと思っています。組織のなかで働いていると無意識のうちに縦割りの考え方になりがちですが、そういう壁をできるだけなくしていくのも自分の役目だと感じています。

“時間を味方にできる”グリーは稀有な会社

――CFOの立場から見る、グリーグループの経営の強みとは?

大矢:よく他社との違いやグリーの特徴を聞かれるんですが、端的に言えば「経営構造のシンプルさ」ですね。オーナーの田中が約半数の株式を保有していますが、同じような規模の会社でこのような経営構造ってなかなかないんです。サラリーマン経営者のように何年かおきに交代するという任期もないので、長期的な企業価値の向上に雑音なく向き合えるんですよね。時間を味方にできるというか。たとえば任期が6年と決まっていたら、その間に事業規模を1.5倍にしよう、2倍にしようという考え方になりますが、そういう区切りがないので、10年かけて10倍に、いや100倍にというように大きなビジョンを描ける。つまり本来的な時間の使い方ができます。

――経営としてやるべきことに100%力を注げるということでしょうか。

大矢:もし大株主が数社いた場合、多数の意志や利害を調整するために多くの時間とコストが必要になります。しかも当人と話すまでに何人もの人が間に入ったりして、たくさんの人を説得して回らないといけない。でもグリーという会社には毎日田中がいて会社の状況を一番よく分かっているから、今やっている事業をどう伸ばしていくか、会社をどう成長させていくかという会話だけで済むわけです。目先のことにとらわれず、長期的な方針を立てて、それに沿って愚直に邁進していける。ステークホルダーにとっても社員にとってもすごく恵まれた環境だと思います。

――それって意外と知られていないことかもしれませんね。

大矢:そう、実はものすごいアドバンテージなんですよ。極端な例ですが、GAFAのようなグローバルな会社に共通しているのは、プラットフォームと呼べる優れたプロダクトを生み出して企業価値を上げているということ。規模感は違いますが、事業にじっくり集中できる環境があるという点では、グリーにも同じように企業価値を高めていくことができる可能性を感じています。そもそも10年、20年というスパンで話ができる、それが許される会社というのはそんなにないんですよね。代々続く職人さんのお店とかならあるのかもしれないけれど、何千人も社員がいて、何百億の売り上げがあって、ずっと先の未来のことを語れるグリーという会社は、本当に類まれな存在だと思います。

グリーグループの一員として働くということ

――7月からFY21がスタートしました。今年度のグリーグループの方針は?

大矢:基本的な方針や戦略は昨年度から変わらず、ゲーム、ライブエンターテインメント(現:メタバース)、メディアという3つの柱となる事業を推進していきます。コロナウイルス感染症による突発的な対応はありますが、コスト構造や固定費の見直しなどをする良い機会と捉えています。FY20は順調に進捗したので、今年度も引き続きペースを保っていければと思います。

――新卒・キャリアともに採用を進めていますが、大矢さんが一緒に働きたい人物像は?

大矢:やはり信頼できる人と仕事がしたいですね。当たり前のことを当たり前にやろうと努力する真面目さとか、マインドとしては前向きな方がいいですね。一緒に未来を向いて仕事ができる人ですね。先ほどの話にもつながりますが、こういう長期的な思考が受け入れられる人じゃないとグリーで働いても面白くないんじゃないかな。もちろん状況に応じて細かいところはどんどん変えていきますが、根幹のところは本当に10年単位で取り組んでいるので。それが正しいと思ってやっているし、基本方針や戦略はこれからも変わらないので、それを理解して地道に積み上げていけるような人が向いてるかなと思います。

ーー今感じているグリーグループにおいて大切したいと思うことはありますか。

大矢:今グリーの事業の多くはグループ会社の形を取っています。これは、事業部にするよりも会社にした方がよりやる人たちが事業や会社を身近に、自分ごととして捉えてくれると思っているからです。一方で、グリーグループという大きなグループの一員でもあり、お互い助け合い、学び合って、同じグループであることのシナジーやメリットを最大限生かしていきたいと思います。試行錯誤しながらになりますが、グリーグループとしてのグループ経営の形を作っていけたらと思います。

――最後にプライベートについてお聞きします。今一番熱中していることは?

大矢:多く時間を使っているのは子どもの勉強相手になることです。小学6年生なんですが、宿題を見たりしていますね。あとは犬の散歩とかお世話をすること。前の会社で飼われていたスタンダードプードルを引き取ったのですが7才半になるので、できるだけ長生きしてもらいたいですね。コロナであまり行けていないのですが、軽井沢でドッグランや温泉に出かけたり、アスレチックや釣りを楽しんだりするのも好きです。

――アウトドア派なんですね!

大矢:子どもと一緒に出かけることが多いのでね。自粛期間中は外に出られなくて本当につらかったですよ。それで始めたのがテイクアウト。朝起きて仕事を始める前に1時間くらい近所を散歩するんですが、テイクアウトをやっているお店を見つけたら写真を撮っておいて、昼にデリバリーを頼むんです。ミシュランで星を獲得している有名なフレンチのお店のカレーとか、普段は食べられないようなメニューを楽しめて良い気分転換になりました。

――大矢さん、本日はありがとうございました!