【トップメッセージ】その事業は私たちの文化・志向に適合しているのか?

皆さん、こんにちは。
グリー広報の入山です。

今回のブログも、創業者であり会長兼社長の田中が、自らのFacebookに投稿した組織運営の考え方を再編集してお届けする第2弾です。

なお、田中およびグリーの経営陣がこうした考え方に行き着いた背景については、NewsPicksで連載されたイノベーターズ・ライフもご覧ください。

田中です。

グリーには、さまざまな事業があるので、大規模な人員や資本を投下する時には、「私達の文化・志向に適合している事業なのか?」と言うことを非常に重要視しています。もちろん原則であって例外もあります。

事業を遂行する上で必要な能力は体得することができるとしても、気質として適応してないものを適応させるのはとてつもない覚悟と努力が必要であり、多くの場合単なる無謀な取り組みになりかねません。

例えば、「PDCAサイクルを回してデータによってより改善を図る」とか、「スピード優先でやりながら改善を図る」ということがあったとします。

インターネットを事業の軸においている企業であれば、多くの企業が持っている文化です。

10年かけて1秒も落ちないコミュニティサイトを開発するくらいなら、1年で開発して多少の不具合があったとしても、「やりながら改善」して良いものを作っていく方が求められているサービスになるでしょう。

これが電力会社だとしたら、「新システムに移行して、電力が1日に10秒止まるかも知れないが、やりながら改善する」ではすまないわけです。それで価格が1/10ならいいのかも知れませんが。

私が、数年前にグリーのインターネット事業を直接統括するようになって、1つ1つの事業を精査する中で最初に取り組んだことの1つに、ベビーシッターのマッチングサービスから事業撤退するということがありました。

ベビーシッターのマッチングサービスは、子どもの生命や健康に直接的に関わる事業です。そうした事業は、インターネット的文化が中心の私たちには将来は別として、その時点では難易度が高すぎると判断したため撤退しました。もちろん意義深い事業ではありましたので、その業態に精通した会社でやっていただく方が良いということで事業譲渡させていただきました。

会社で取り組む事業を選択する中で、社会に意義深い事業なのかどうか、事業ポテンシャルがあるのかどうかということは当然考えるべき論点です。しかし、それ以上にその事業が自分たちの文化に適合しているのか(もちろん能力的にも適合している方がいいのは当然として)、さらにそれに加えて、組織文化や気質と適合しているかどうかということが重要な論点だと考えています。

そういう意味で、現在第3の事業の柱にするべく取り組んでいるVTuberを中心に据えたライブエンターテインメント事業は、テクノロジーも、資金も、組織も、事業開発力も、エンターテインメント開発力も、コミュニティ設計も必要な総合事業なので、今のグリーに最も向いている事業と考えており全力で取り組んでいます。

新しい市場を開拓しているので、これがどのくらいの市場に育つのか、どのくらいの事業に育つのかはっきりとしたことは言えませんが、私たちがモバイルソーシャルゲームを始めた時も同じような状況だったと考えると、未来は限りなく広い世界が開けていると考えています。

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