株式会社Wright Flyer Live Entertainment(以下、「WFLE」)とキングレコード株式会社の共同出資により2018年8月に設立されたVTuber特化型の音楽レーベル事業会社「株式会社RK Music」。今年3月にはVTuber12組によるコンピレーションアルバム『IMAGINATION vol.1』が配信され、iTunes Storeアルバム総合ランキングで第1位を獲得するなど人気を博しています。そして、待望の数量限定販売のCD版も4月24日に発売されました。
今回は、コンピレーションアルバムシリーズ『IMAGINATION』プロジェクトの中心人物であるキングレコードの中西プロデューサーとWFLEの水谷による対談を実施。音楽事業を通じてRK Musicが目指すもの、VTuberの未来について語り合っていただきました。
中西 豪:キングレコード株式会社 キング・アミューズメント・クリエイティブ本部長 株式会社RK Music 取締役
キングレコードのアニメ専門レーベル「スターチャイルド」でプロデューサーとして活躍し、数多くのアニメ作品を手掛ける。2016年にスターチャイルドと実力派声優アーティストを要する部門(第三クリエイティブ本部)が統合し発足した「キング・アミューズメント・クリエイティブ本部」にて本部長を務め、『IMAGINATION』プロジェクトにプロデューサーとして参画
水谷 誠也:WFLE アライアンスチーム マネージャー 株式会社RK Music 代表取締役社長
2011年よりテレビ局にてアニメ等のコンテンツ事業に携わり、2014年にサイバーエージェントへ出向。ゲーム事業等に従事した後、AbemaTVアニメジャンルの立ち上げに参画。2018年に中国企業に転職しバーチャルキャラクターのプロデュースを経て、同年7月にVTuberのプロダクション事業を担うWright Flyer Live Entertainmentに入社、同年8月にRK Music代表取締役に就任
“生々しさ”こそがVTuberの最大の魅力
ーーはじめに、「RK Music」を立ち上げた経緯を教えてください。
水谷:VTuber事業への参入に向け昨年4月にWFLEが設立され、VTuberデビューの支援やVTuber専用ライブ配信プラットフォーム「REALITY」を通じてファン獲得や収益化のチャンスを提供してきました。それらに加えて、VTuberがより安定的に活動資金を得るための仕組みとして注目していたのが音楽事業です。ご縁があってキングレコードさんと話を進めさせていただき、昨年8月に共同出資によるレーベル立ち上げが実現しました。
中西:1年ほど前にWFLE代表の荒木さんからVTuberについて話をお聞きしてはいたのですが、当時はあまり知識がなくいろいろと検索して勉強したのを覚えています(笑)。
ーーお二人にとってVTuberの魅力とは?
中西:「中の人」とキャラクターが一致しているのがすごく面白いなと感じました。僕はずっとアニメ畑で仕事をしてきたので声優さんの存在は身近なのですが、キャラクターと声優さんは乖離しているのが当たり前で、一緒というのはあり得ない。
水谷:キャラクターを通じて生の魂がそのまま表現されていて、そこがものすごく面白いですよね。
中西:ええ、本当に新鮮な驚きでした。
水谷:アニメは基本的には台本があるのでキャラクター=演じるものですが、多くのVTuberの場合はアニメでは現れなかった人の生々しいところがキャラクターをかぶっていても出てくるわけで、そういった部分に惹かれてファンになる気持ちがすごくわかります。
VTuber業界の盛り上がりを象徴するアルバムにしたい
ーー今年3月VTuber12組が参加したコンピレーションアルバム『IMAGINATION vol.1』が配信開始となりました。制作はどのように進められたのでしょうか?
水谷:RK Musicが設立されてまず何から始めようかというタイミングで、ちょうどVTuber業界で音楽が盛り上がりを見せ始めていました。この熱さを伝えるためには、複数のVTuberたちと一緒につくり上げていくコンピレーションアルバムがいいのではと考えプロジェクトが始動しました。
中西:一人のアーティストに絞ってプロデュースするよりも、業界全体をもっと盛り上げていくために、音楽でどんな楽しいことができるだろうというアプローチでしたね。
水谷:1枚出して終わりではなくシリーズ化しようというのもはじめから構想していました。コンセプトを話し合うなかで、最初の1枚は急成長している今のVTuber業界を象徴できるものにしようと、音楽活動している方にお声がけさせていただきました。
中西:私たちは音楽をつくるプロではありますが、VTuberに関して「この人なら間違いない」「将来的にヒットする」といった確信を持てるほどの知見はありません。そこは水谷さんの感覚と感性に助けていただき、お互いのノウハウを持ち寄って進めていくという感じでしたね。
水谷:そうですね。所属事務所もなるべくバラバラになるよう配慮して、企業の公式VTuberから個人で活動している方まで、さまざまなVTuberさんに参加頂くことを考えていました。
ーー楽曲はどのように決めたのですか?
水谷:「本人たちが歌いたいものをつくろう」というのが当初からの方針なので、VTuberさんご自身に歌いたい曲を選んでもらいました。「本来レーベルとはこれほど自由度が高いものではないですが、本人の希望を優先するのがいいのでは」と中西さんからご提案いただきました。ただ、どんな曲でもOKにしてしまうとアルバムとして統一性が出ないので、ジャンルはアニソンで2000年代以降の曲という設定だけさせてもらいました。ファンの方たちが推しのVTuberの曲だけでなく、その他の曲も聞いてみようという気持ちになってもらえるようにという狙いもあります。
中西:枠を設けたことは、結果として非常に良かったですよね。聞き覚えのある曲がたくさんあるし、「このVTuberがこの曲を歌うの⁉」みたいな意外性もファン心をくすぐるポイントになっていると思います。
水谷:ファン心については普段から接しているVTuberご本人が一番よく分かっていると思うので、僕らが口出しする必要はないんです。「選曲が絶妙」という反響をいただけているのも、VTuberが自分の魅力を最大限に発揮できる曲を選んでくれているから。僕らでは思い付かないところです。
中西:どのVTuberも「そう来るか!」という絶妙なチョイスでしたね。
水谷:レコーディングもスムーズに進みましたよね。制作ディレクターから聞いた印象的な話があって、アニソンの場合はまず声優さんがキャラクターの中に入るところから始まるので、いかにキャラクター性を出せるかで苦労するそうです。でも、VTuberはそもそも「本人」なので、全然感覚が違うと。あれこれ指示する必要がないんです。
中西:そういう意味ではアーティストのレコーディングと同じかもしれません。
水谷:一見、アニソンとして声優さんが歌うのと同じように捉えられがちですが、実は一線を画しているということはきちんと伝えていきたいですね。
『IMAGINATION』プロジェクトをすべてのVTuberにとっての“武道館”にしたい
ーー『IMAGINATION』というタイトルの由来は?
水谷:リアルとバーチャルの間には絶対的な垣根が存在しますが、それを超えるものがイマジネーション(想像力)であるという思いを込めています。
中西:これは水谷さん命名ですね。
皆でいろいろな案を出そうとしていたけれど、はじめに水谷さんの意見を聞いたら「それいいね!」って、他の案を検討する余地もないくらいすぐに決まりました。
ーー今だから言える苦労したエピソードは?
水谷:VTuberにお声がけしていく時に、キングレコードさんの冠があるとはいえ「RK Music?」みたいな反応からのスタートだったので話を進めるのに苦労しました。アレンジは未来茶レコードさんに担当していただいたのですが、どの方にどのVTuberさんをプロデュースしていただくかは相性を見ながら決めていきました。あと、選んでもらった曲に対して音楽出版社の許諾がすんなりもらえるかといったらそうでもなく…。VTuberさんの選曲と音楽出版社の意向が合うところで12曲揃えるのが非常に難しく、かなりの時間を要しました。
中西:これほどカバー申請をことごとくダメと言われるのは初めてで、最初水谷さんに「全然大丈夫ですよ~」なんて言っていたのに、だんだん「あれ?」っていう感じになってきて(笑)。確かにアーティストがカバーするのとも違うし、音楽出版社の方も初めての試みだけに戸惑いもあったんだと思います。最終的には前向きに許諾してもらえて良かったですね。
ーープロジェクトを通じて、VTuber事業のどんなところに面白味を感じましたか?
中西:生身のアーティストと最も異なる点として、VTuberの活動領域はバーチャルまで広がっています。アーティストは歌をつくってCDを出して配信してライブしてグッズ売ってという流れが一般的ですが、VTuberの場合はリアルにもバーチャルにも活動領域があります。今回のアルバムも、将来的にはVRライブなどバーチャルにおける活躍までもサポートしていけたらという思いで関わらせてもらいました。VTuberは生身のアーティストよりもトライできる領域が倍もあって、そこにプロデュースの醍醐味をひしひしと感じます。
水谷:日本だけでなく海外も自然と視野に入っている感じですよね。今回の反響の大きさは想像以上で驚きましたし、iTunes Storeトップアルバム総合で1位を獲得できたこともありますが、何よりVTuberの皆さんが喜んでくれているのが純粋に嬉しいです。プロジェクトを進めるうえでVTuberさんにいかに楽しんでもらうか、喜んでもらえるかを意識していましたが、これに応えるようにファンの方たちも喜んでくれて、なんてポジティブで良い業界なんだろうって。VTuberの喜びのツイートがどんどんリツイートされて、ファンたちからも「やった!」という応援のリプライが飛び交って、あの空気感は本当に素晴らしいと思います。
ーー本日4月24日より『IMAGINATION vol.1』の限定CDが発売となりました。今後についてはどのようなロードマップを描いていますか?
水谷:次のアルバム制作に向けて動き始めていますが、今年の早い段階でリリースして『IMAGINATION』の世界をより大きく広げていきたいと思っています。
中西:vol.2、3と続けていくなかで、多くのアーティストが武道館を夢見るのと同じように「いつか『IMAGINATION』に参加したい」と思ってもらえる存在にしたいと思っています。海外も含めて、すべてのVTuberにとっての憧れの場所にできたらいいですね。
水谷:そうですね。『IMAGINATION』に参加したことで人気が出て、多くの人に知ってもらうきっかけになれるのは理想です。だからこそ、すでに認知度の高い方だけでなく、これから世に送り出していくべき方々を見つけてプロデュースしていきたいと思っています。今後は音楽を通じてVTuberの活動領域が広がるとともに「VTuber Pops」といった新しい音楽ジャンルが確立され、市場規模もどんどん大きくなっていくのではないでしょうか。
中西:なりたい自分になれるという可能性があるという時点で、今は誰かのファンをやっていても、いつかは自分がVTuberになりたいと思う時が来るかもしれません。自分がなりたいキャラクターになって歌が出せるなんて、本当に夢のようなこと。性別だって超えられて、いろんな自分になれますからね。VTuberには広がる可能性しか感じません。
音楽がVTuberの新たな魅力を引き出しVTuberによって音楽の可能性が広がっていく
ーー今後の抱負をお聞かせください。
水谷:どうやって収益化を図るかについてはじっくり考えていかねばならないと思っていますし、VTuberに興味を持ってもらえるきっかけづくりもしていきたいですね。今回のアルバムでは定額制音楽配信サービスやYouTube Musicでの無料配信など、通常のアニソンではあまり使わない手法を取っていますが、普段からVTuberを追いかけるようなことはしてないが何かのきっかけでVTuberが音楽を出していることを知った人が聞けるようにしたかったからです。今後も接点をなるべく増やせるよう取り組んでいきたいと思っています。
中西:いろいろなメディアが注目してくれているなかで、VTuberが市民権を得られるようにしていくのが我々の使命だと感じています。個人的に『レディ・プレイヤー1』というSF映画が大好きなのですが、50年後の未来にはきっと今はない新しい楽しみがたくさん広がっているでしょう。きっとリアルな世界と同時に、VRの世界にもすごく大きな活動領域が確立されていて、そこには絶対にアイドルが必要です。VTuberこそがその最有力候補であり、もはやユーザーたちの後押しがなくても自然とそういった世界になっていく気がします。VTuberたちがVRの中でライブをしているのが当たり前になっている未来。その世界を、一視聴者としても早く見てみたいと思います。
水谷:すでにさまざまなイベントが盛んに開催されているので 、我々も『IMAGINATION』を通じて新しいことに挑戦してみたいですね。
中西:ぜひやりたいですね。リアルでのライブを開催するとお金も人もたくさんかかりますが、VTuberは物理的な制約をどんどん超えていける。世界がどんどん近くなって、全世界がつながることができますからね。
水谷:音楽そのものがVTuberという存在によって新しい可能性を切り拓くことにもつながると思っていてRK Musicとしてより良いコンテンツを生み出す流れを加速させ、VTuberの世界を広げていけたらいいですね。
中西:VTuberにとって歌はエンターテイメントの一つの形であり、今回のように我々がプロデュースできるということをもっと世の中に示していきたいですね。水谷さんとはRK Music発足当初から話していますが、全世界のVTuberにデビューの可能性あることを知ってもらい、それをサポートできる環境をつくっていきたいと思っています。RK Musicが受け皿となり、どこの国のVTuberでもやりたいと手を挙げてくれたら全力で応援していきたいです。
【告知】
『IMAGINATION vol.1』本日より数量限定でCDアルバム発売中!!
参加アーティスト(五十音順) |
える、おめがシスターズ、かしこまり、燦鳥ノム、月ノ美兎、天神子兎音、ドーラ&緑仙、ときのそら、虹河ラキ、富士葵、樋口楓、ロボ子さん |
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デジタル配信 | 配信開始日:2019.03.01 販売価格:単曲DL ¥250(税込) / アルバムDL ¥2,200(税込) ※価格は各配信サイトにて異なる場合がございます。 |
CDアルバム | 発売日:2019.04.24 ※2/14〜全国のCDショップ、ネットショップにて順次予約受付開始 ※数量限定商品 販売価格:定価¥5,000+税(数量限定版 QECR-91001) |
数量限定CD版特典 | ● シリアルナンバー印字ジャケット仕様 ● ジャケットイラスト仕様マフラータオル ● ジャケットイラスト仕様ステッカー ● Bonus track収録(参加VTuber集合曲「プレパレード」) ●A4クリアファイル(対象配布店舗のみ) |
詳しい情報はコチラ
CD版とステッカー
マフラータオルとクリアファイル
本件に関するお問い合わせ先
- グリー株式会社 広報担当
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