株式会社3ミニッツが運営するファッション動画マガジン「MINE(マイン)」が制作した、女性のエンパワーメントを目的とする短編ドキュメンタリー「Future is MINE -アイヌ、私の声-」が、米国アカデミー賞公認 国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2020(以下、SSFF & ASIA 2020)」のノンフィクション部門に選出され、令和2年度日本博主催・共催型プロジェクトとしてSSFF & ASIA 2020 in 阿智-日本一の星空映画祭-の「日本博特別プログラム」にて上映されました。新型コロナウイルス感染症拡大対策として例年より来場者数を制限しましたが、お客さまに大変好評いただき楽しんでいただく事ができました。当日の会場の様子や本作品に込めた想いを監督の富田さんとPMを担当した扇澤さんに聞きました。
富田 大智 株式会社3ミニッツ クリエイティブスタジオ部 コンテンツ開発チーム
1993年愛知県生まれ。京都大学経済学部卒業後、制作プロダクションROBOTに入社。CM、MVなどのプロダクションマネージャーを経て、3ミニッツに入社。 大手企業のWEB広告映像を手掛け、「おじさん取り扱い講座」「22時の男と女」など、WEBショートコンテンツシリーズにて脚本、監督を務め、今回「Future is MINE -アイヌ、私の声-」の監督を務める。
扇澤 周也 株式会社3ミニッツ ブランドスタジオ事業部 アカウントチーム
1996年広島県生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、2019年グリー新卒入社。大学時代はスペイン語やプログラミングなど専攻。入社後の業務内容はナショナルクライアントをメインにテレビ媒体、ラジオ媒体、空港媒体からSNS媒体まで様々なメディアでのコミュニケーションを従事。「Future is MINE -アイヌ、私の声-」では、北海道撮影でPMや通訳を務める。
MINEとは
MINEは、2015年6月1日にスタートしたファッション動画メディアです。
結婚や転職などライフステージの変化に直面する27〜32歳の女性をイメージし、「明日の私をPLAY<再生>する」をテーマに、模索しながらも毎日を頑張る女性たちに寄り添いながら、“明日”がもっと楽しく、そして自分らしくいられるための情報を発信しています。
Future is MINEとは
Future is MINEは、女性のエンパワーメントを応援するドキュメンタリーコンテンツです。
「幸せは自分で決める」をテーマに、自ら未来を切り開きたいと願う女性たちが、旅や人々との交流を通して成長する様子を描き出します。
ーー「SSFF & ASIA 2020」へのノミネートおめでとうございます。今回の上映会について教えてください。
扇澤:今回の上映会は、今年で22年目の開催を迎える米国アカデミー賞公認 国際短編映画祭SSFF & ASIAが参画する令和2年度日本博主催・共催型プロジェクトで、世界中から集まるショートフィルムの特性を生かし、世界の美的感覚から日本古来よりある「侘び寂び」や「粋」に代表される日本人特有の美的感覚を探る企画になります。今回ノミネートしていただいた短編ドキュメンタリー「Future is MINE -アイヌ、私の声-」は、「アイヌの伝統をつないでいこうとする人、その文化の“美”を感じられる作品」とSSFF & ASIAから高評価をいただいたことから「日本博特別プログラム」に選出していただき、上映が決定しました。
「SSFF & ASIA 2020 in 阿智」では、「日本一の星空映画祭」をコンセプトに、新型コロナウイルス感染予防対策の上で野外上映会が実施された。
ーー「Future is MINE -アイヌ、私の声-」はどのような作品ですか。
富田:本作品は、3ミニッツが約3年前からスタートさせたFuture is MINEというドキュメンタリープロジェクトの第7弾目です。北海道二風谷に住むアイヌの女性、萱野りえさんが、成長の過程で葛藤を抱きつつも彼女が生まれ育ったアイヌ文化と共に歩む様子を描いています。結婚・出産を経験し、めまぐるしく過ぎゆく日々に焦りを感じる中で、米国フロリダ州南部に居住する先住民・セミノール族の人々との交流を経て、彼女が自らのルーツと文化に向き合う様子に密着しています。
ーー今回のノミネートについて、どのようなお気持ちですか。
富田:SSFF&ASIAをはじめ、映画祭への出品に関しては企画段階から意識をしていたので、今回のノミネートは非常に嬉しく思います。今年の1月末に公開し、映像界や著名な方からのコメントをいただいたり、YouTubeの再生回数が100万回を突破するなど話題となりました。「アイヌ」という言葉は聞き馴染みがある方は多くいると思いますが、これまでのアイヌの歴史を深く知っている方はそう多くないと思います。こうしてノミネートして頂くことによって、より多くの方に今作を観て頂ければ幸いです。
ーー本作品を通して伝えたかったメッセージを教えてください。
富田:一人の女性のチャレンジについて真摯に向き合うということが一番のテーマでした。
本作品の主人公である萱野りえさんはアイヌとして育ち、母親になった今、新たなチャレンジに踏み出そうとします。1歳に満たないお子さんを育てながら、何かにチャレンジするというのはすごく大変なことだと思います。りえさんは今作の中で、アイヌという自身のルーツと現代社会における文化表現のあり方、そして自身の生活をどう組み合わせていくか、ということに向き合っています。
はっきりとした道筋がない中でも、今出来ることから一つずつ始めていこうとするりえさんの姿を通して、このドキュメンタリーを観た方が、共に考え、自分自身と向き合うきっかけになればと思い本作品を制作しました。
上映会では監督とプロデューサーが登壇し、Q&Aセッションが行われた。
ーー本作品の中で、一番好きなシーンをあげるとすると?
富田:フロリダパート最後の、りえさんとミスセミノール・デュランテさんとの対話シーンです。
普段は遠く離れているアイヌ、セミノールというそれぞれのルーツを持つ2人が通じ合う瞬間を見た気がします。美しい時間でした。ロケーションが素晴らしく、2人が話す時にだけ降った雨がこのシーンをより特別なものにしてくれたと思います。
「Future is MINE -アイヌ、私の声-」より。
ーー撮影中の秘話などはありますか。
富田:フロリダの広大なサファリで撮影中、りえさん含む全スタッフが乗った2台のボートが平行して並んで木の間を通り抜けようとした時、すっぽりとハマってしまい、30分ほど水上で全く動けず孤立するというハプニングが起きました。
結果は無事でしたが、パニック映画だったらボートの下からワニが出てきて誰かを水中に引き摺り込む場面だな、と思わず考えてしまいました。
米フロリダ州での撮影中の様子。撮影隊のボートが水上で立ち往生するハプニングが発生した。
ーー今後の目標を聞かせてください。
扇澤:今後も3ミニッツの映像制作力を生かし、既存の枠を超えた様々な形式で映像を発信していきたいと思っています。グリーグループでは幅広い事業を展開しておりますので、他事業とコラボした企画なども積極的に実施していきたいです。
富田:今作は反響もあり、ブランデッドコンテンツが持つ影響力を感じることが出来ました。ストーリーの提案と制作をセットで提供出来るという3ミニッツクリエイティブスタジオの強みを生かして、これからも良いコンテンツを作り続けていきたいです。