6 deGREEsのテクノロジーカテゴリーでは、昨年9月に実施した「GREE Tech Conference 2020」に登壇した社員などにインタビューを行い、グリーグループのエンジニアや技術にフォーカスを当てていきます。
今回は、日々進化を続けるプロダクトを生み出すREALITY社のエンジニア4名を取材。全力で開発に向かう姿勢やユーザーさま・クライアントさまへの真剣な想いが溢れ出てきました。
安川: REALITY株式会社 XR Entertainment 事業部 シニアエンジニア
2018年にREALITY株式会社入社。バーチャルライブシステムの開発を担当し、直近ではWONK、湘南乃風などの、モーションキャプチャを使ったバーチャル3Dライブコンサートで舞台設計・演出を担当。
高橋:REALITY株式会社 XR Entertainment 事業部 エンジニア
2018年にREALITY株式会社入社。バーチャルライブシステムの開発を担当し、直近ではWONK、湘南乃風などのバーチャル3Dライブコンサートで身体と手や表情のモーションキャプチャを担当。
山内(以下、ようてん※):REALITY株式会社 プラットフォーム事業部 エンジニアリングチーム マネージャー
2018年にREALITY株式会社入社。「REALITY」アプリの立ち上げから参画し、現在はUnityを用いたアプリ内でのアバターなどの3D関連の機能開発を担当。
増住:REALITY株式会社 プラットフォーム事業部 エンジニア
Glossom株式会社で広告ログ集計システムの開発・運用などを担当し、2019年にグループ内公募制度を利用してREALITY株式会社へ異動。Kubernates・Apache Beamなどを用いたREALITYプラットフォームのライブ配信基盤の開発を担当。
ーー今回はTech Conで登壇された皆さんに集まっていただきましたが、それぞれどんな発表をされましたか?
安川:REALITY社では、大きく2つの事業を展開しています。この4人の中だと、ようてんさんと増住さんがバーチャル配信アプリ「REALITY」を運営するプラットフォーム事業、私と高橋さんがバーチャルライブなどの「REALITY XR cloud」を運営するXRE事業に携わっています。
高橋:XRE事業では最近バーチャル3Dライブコンサートなどを行っており、私と安川さんはREALITY社で独自に開発を行ったモーションキャプチャシステム、RSMEについて発表しました。
ようてん:プラットフォーム事業では、「REALITY」アプリの運営を行い、アバターの機能開発などを行っています。私は3Dアバター機能開発の全容について発表しました。
増住:「REALITY」運営の中でも、ようてんさんはユーザーさまが使用する機能開発などのフロント側、私は通信を支えるサーバー側を担当しています。私からは、昨年リリースした「REALITY」の低遅延モード配信機能を実現させたライブ配信基盤について紹介しました。
ーーTech Conの登壇でもありましたが、安川さん・高橋さんが担当したRSMEは、ちょっとしたハプニングから開発が始まったとか。
安川:はい(笑)。RSMEの開発に至ったのは、XREで初期に使っていたモーションキャプチャミドルウェアが急遽サービスを非公開にしたことがきっかけでした。急いで同等品を探さなくてはならない状態になりましたが、業界がニッチ過ぎてなかなか求めているクオリティの製品が見つからず、この際機能を絞って内製で開発しようということになりました。
高橋:とにかくあと半年後には利用できなくなる、という状態になり焦りましたね(笑)。品質テストの期間もあり実際の開発期間が3ヶ月だけだったので、必要な機能だけを取捨選択して開発に臨みました。仕様は安川さんが作り、私と数名のメンバーで開発を担当しました。
安川:継続して行っているREALITY公式番組の放送は止められないので、放送は通常通りに行いながら、いつどの瞬間に切り替えるかを模索していきました。失敗したら、その瞬間から番組放送が出来なくなってしまう、という綱渡りなプロジェクトでしたね(笑)。リソースが限られている中での開発ではありましたが、内製での開発に踏み切ったメリットとして、私たちは普段から番組の配信に立ち会ったり、企画側と密に連携して企画でやりたいことを把握していたので、機能を絞りやすかったことがありました。
増住:サービス終了に事前に気づけて良かったですよね。公式な発表はないままだったとか。
高橋:そうですね。最初は噂話のような形で広まってきたんですが、これが本当だったら代替案をすぐに考えないと、REALITY XR cloudでのサービス提供ができなくなり、たくさんのお客さまやアーティストさんに支障が出る、というのが見えていたので、とにかくタイムリミットに間に合わせるということだけを考えていましたね。忙しいと思う余裕もなかったです。
ようてん:それで実際に間に合わせたのだから、さすがです。
ーーようてんさん・増住さんが開発を担当している「REALITY」アプリならではの強みとはなんでしょう。
ようてん:「REALITY」では一昨年から昨年にかけて最大4人で同時配信する「アバターコラボ」機能やコラボしながらゲームをする機能などを実現させたのですが、スマホだけでアバター4体を同時にトラッキングして、お互いに会話ができて、同じ空間の中で動けるというのは、今でも世界にはほとんどないと思っています。
増住:アバターでのライブ配信や複数人で音声チャットしながらのゲームなど一つひとつの機能はあれど、それらを全て同時に体験できるサービスは「REALITY」以外になかなかないと思いますね。それこそ私のTech Conでの発表内容でもありますが、これだけの機能を拡充しながら、「ラグなし・ギガ安・高画質」という、ユーザーさまの通信に負荷が少ない状態を実現しているのも、他サービスと比較しても引けを取らないことだと思います。
ーーTech Conに登壇されて、SNSなどでユーザーさまからはどんな反響がありましたか?
ようてん:ユーザーさまとは「REALITY」やTwitterなどで日頃からコミュニケーションをとっているので、普段通りという感じですが、Tech Conの登壇に関する質問とか反応もありましたね。
増住:Tech Conに興味を持ってくれるのはエンジニアなど技術に興味がある方だけかなと想定していましたが、「REALITY」のユーザーさまからの反応も多く、技術に関しても興味を持ったり注視してくれたりと、改めてユーザーさまの熱量を感じました。もっと面白い内容にしておけば良かったと思いましたね(笑)。
ーー皆さん技術領域もさまざまですが、お互いを見てREALITYのエンジニアの共通項ってありますか。
安川:REALITY社で共通して言えることとして、エンジニアとして持てる裁量と挑戦の幅が大きいことですね。どちらの事業も基本的には市場がないところに市場を作らなくてはいけないですし、表現方法がテクノロジーに依存している部分があるため、技術的にできるできないという判断もエンジニアに託されていると思います。
ようてん:後は、なんだかんだみんな真面目だなと。頭の回転が速く課題発見力がある人が多いですが、人に指摘したり文句を言うのではなく、自ら率先して手も動かすんですよね。本当に事業に真っ直ぐ向き合っているというか。
高橋:個性豊かな人が多いと言われることもありますが(笑)、本当に皆さん根は真面目な人が集まっていると思いますね。
増住:そうですね。エンジニアって裏方なイメージがあるかもしれないですが、REALITY社のエンジニアは本当にサービスに前のめりで。プラットフォームの運営メンバーは、ユーザーさまのニーズを肌で感じるために積極的に「REALITY」で配信するなど、頭の中で理屈を組み立てるだけでなく、それを現場で確かめている人が多いですね。
ーー現在もアップデートや新機能開発などに取り組まれていると思いますが、皆さんそれぞれ今後実現したいことを教えてください!
安川:XRE事業においては、最近Mixed Reality (複合現実)などが言われ始めていますが、アーティストさんからも3Dの世界に実写の人間を取り込みたいなどの要望も出てきていて、そもそも私個人的には、現実と3Dを綺麗に分けるのではなく混ぜ込みたいと思っているので、そういったことに挑戦していきたいです。それこそ、スマートフォンを入力ソースとして使用する技術など、プラットフォーム事業にある蓄積を生かしたことがXRE事業でもできればいいなと考えています。
高橋:私は制作現場のことを一番に考えていて、RSMEというシステムは急いで実装したこともあり、まだまだクオリティが足りないと思っているので、ボディのモーションキャプチャの品質を向上させたり、アーティストさんの動きをもっと緻密にキャプチャ出来るようにしたりなどシステムの再現率を上げることに注力したいですね。
増住:私は、「REALITY」をもっとメジャーに、色んな方が使うアプリにしたいと思っています。そのために、まずは当たり前の機能を拡充させていくことが大切だと思いますし、また安定して継続的にサービスが使えるようにしたいなと思っています。巨大なプラットフォームって色んな機能があることで初めて皆が「普通」に使うサービスになるかなと思っているのでそういうのは埋めていきたいですし、不具合などが無く、ユーザーさまがごくごく当たり前のこととして「REALITY」を使っていただける基盤を固めていきたいです。
ようてん:コラボ機能が追加されたことによって、「もっとこういうゲームが欲しい」とか、「こういうステージが欲しい」といった期待がユーザーさまの中でも大きくなっていると思いますし、私たちのアイデアも広がっていくなと思っているので、一つひとつ実現させていきたいです。
ーー皆さん、ありがとうございました!