押井守監督による社員向け講演と、その運営の裏に見つけた、グリーのものづくりとナレッジ共有への考え方

こんにちは、広報の山田です。
「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「イノセンス」などの映画監督として有名な押井守氏をグリーオフィスにお招きし、グリーグループ社員に向けてご講演いただきました。
押井監督にお越しいただくのは昨年に続き今回で2回目となります。今回は「3Dキャラクターのこれまでとこれから」をテーマにお話しいただきました。

押井監督は、ご自身が手掛けたアニメーションや、その他ヒット作の事例を紹介しながら「不気味の谷間」をリアル系の3Dにおける最大のテーマとして挙げられました。リアルを追求しすぎて緻密になればなるほど不気味になっていく。死体が動いているような姿になり、何故か魂が入らない。逆に丸三角四角のような単純な形を動かして音声を入れれば魂が入ってくる。「リアルと快感原則は一致しない」としながら、「オープンワールドと言われる世界の快感原則を極めたい」と話されました。

グリーでは今回のようなビッグゲストをお呼びする社内勉強会を定期的に開催しています。入社当時からこうした社員育成に力を入れてきた社員、グリーのアプリ開発スタジオWright Flyer Studios内X Production部副部長の今井にインタビューしました。

X Production部 副部長 今井

こうした取り組みはいつから実施しているのですか?

2012年の入社以来、10名規模くらいの小さな勉強会はいくつも開催していたのですが、ビッグゲストをお呼びするようになったのは、スペースインベーダーを作られた西角友宏さんに2014年にお越しいただいたのが初めてだと思います。
社外向けの勉強会では、GREE Creators’ Meetupで、ファイナルファンタジーシリーズのドット絵を描かれている渋谷員子さん、ファイナルファンタジーXIVのサウンドクリエイターの祖堅正慶さんらをお呼びし開催してきました。
こうしたビッグゲストは半年に1回くらいお呼びできればいいなと思っています。

なぜ勉強会を開催するようになったのでしょうか?

前職でナレッジマネジメントに取り組んでいて、社内勉強会やCEDEC講演を撮影してきて社内配信することを、2割は業務、8割はボランティアで3年ほど行っていました。
私がナレッジマネジメントに取り組み始めた背景には、ゲーム開発規模が急激に巨大になったことで、チーム内に技術やナレッジが閉じられてしまい、ゲーム開発がそれまでより大変になってきたということがあります。
ちょうどその時期に私の上司となった人が、「社内に優れた技術がたくさんあるのに埋もれていて残念だから広めたい」「社外でも価値のある技術も埋もれているので発掘しよう」と動き始めました。
上司と一緒に社内を回り30ほどの技術やナレッジを発掘して、彼らにCEDECの公募にチャレンジしてもらいました。そのうち約10件が公募に通り、社内に広めただけでなく、社外に自社技術をアピールすることに成功しました。私も登壇者の一人として参加し、ナレッジマネジメントの設計・構築と運営ノウハウについて話しました。

ゲームを作る → 作ることで得た技術、ナレッジを社内で共有しゲームを作りやすくする →社外の技術系イベントで発表し社外で評価を得る

といったステップで、グリーでも技術ブランディング向上、個人の業界内の地位を確立してもらいたいと考えて勉強会を開催しています。

グリーでも今年のCEDECには公募で10セッション登壇が決まりましたね!その登壇を後押しされたと聞いていますが。

今年リリースしたゲームは、約2年間かけて作ってきたものですが、そこで終わらせるのはもったいないと思うのと、何より自分自身では自分の価値に気付かないと思うんです。これは先ほども話した私自身の経験から思うことです。前職の上司から「今井さんのやっていることはとても価値のあることだから、CEDECに応募したら通るんじゃないかな」と認めてもらいチャレンジしたら無事通過し、登壇後もいろいろな人から、「良かったよ」と声をかけてもらったり、交流関係も広がったり、評価を得ることができました。
今のグリー社員も、一押しすれば行けるなと思っていました。公募を通った時点で、第三者から認められる技術ということなので、すごいことだと思います。応募しなければその評価に気付くことができなかったわけなので、もったいないですよね。

社外からのノウハウのインプットと、自分のやってきたことのアウトプットの繰り返しが重要で、今井さんはその繰り返しの機会を社員に提供しているということだと思うのですが、こうした取り組みを行う上で大切にされていることはありますか?

継続性です。勉強会も、できれば定期的に開催したいですが、お呼びする方のご都合やゲーム開発状況などによって左右されるので、今は不定期開催となっています。
私が前職で運営サポートしていた週1回開催のAI勉強会は、先日300回を超えたそうで、この継続性を目標にしています。
継続していくことで、将来私が開催しなくても、参加してくれていた社員の誰かが勉強会を開催してくれて、それがグリーの文化となると非常に嬉しいですし、私の最終目標はそこにあります。
なくすのは簡単ですが、自分自身が勉強会を通じて得た貴重な経験があるので、できる限り続けていきたいと思っています。

社内勉強会を通じて得た気付きを生かしながら、ものづくりに励み、その結果培ったノウハウを社外に発信することで、自身の技術の価値を知り、またそれを発展させていく。
そんな技術共有のサイクルがグリーの文化としてできあがりつつあるのかなと感じました。


★CEDEC登壇情報★

グリー社員が登壇するCEDEC 2017は、8月30日(水)~9月1日(金)に開催されます。スポンサーセッションやグリーグループの参加も含めると、全13セッションに登壇予定です。
セッション一覧をご覧の上、ご興味のあるセッションがあればぜひお立ち寄り下さい!

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