お客さまの心を動かすために。データと向き合い駆け抜けた新卒MVPの1年に迫る

今年はハイブリッド形式で実施されたグリーグループ総会。総会のメインイベントである2022年度のMVP受賞者の発表&表彰が華々しく執り行われました。グリーグループのMVPは、1年を通じてグリーのバリュー(行動規範)を最も体現した社員とプロジェクトに贈られます。その中で新卒1年目で最も活躍した社員に贈られる「Best Newgrad of the year」。新卒という一度しかチャンスがないこの賞を受賞したのは「ゲームに特化したアナリシスチーム」を立ち上げた榊さんでした。1年目からチャレンジできるグリーの環境やマネージャーに抜擢された心境、取り組んできた業務内容など、獅子奮迅の活躍をした1年を振り返ってもらいました。

榊榊:株式会社WFS / Studio本部 / Studio 2部
2021年入社。学生時代から培ったデータ解析のスキルを生かして、Wright Flyer Studiosのアナリシスチームとして活躍。入社間もなくチームのマネージャーに抜擢され、若手ながらもチームを切り盛りしている。

入社前から培ってきた分析スキルがMVP受賞につながる

ーーBest Newgrad of the yearの受賞おめでとうございます! MVPを受賞された今のお気持ちをお聞かせください。


榊

榊:喜びももちろんありますが、ホッとしたというのが正直な気持ちです。私は今、Wright Flyer Studiosのアナリシスチームのマネージャー兼ゲームデザイナーとして仕事をしています。チームとしても私自身としてもメインとなる仕事はゲーム内データを分析して、お客様に喜んでいただけるゲームにするための施策案をプロダクトに提案し、企画および開発をサポートしていくことです。私自身、企画の仕事は今まで経験がなく、会社に貢献するため必死に取り組んできました。ですがアナリシスチームの取り組みが表彰されたことで、自分の仕事が会社に必要とされているのだと分かってホッとしました。

ーー榊さんの担当する分析業務について、詳しくお聞きできればと思いますが、学生時代から経験があったのでしょうか。


榊

榊:情報系の大学院で統計とデータ解析の研究をしていました。研究には現場のデータが必要だったため、学生時代から経営コンサルタントやWEBサービスを運営している企業にアルバイトやインターンとして入らせてもらったり、フリーランスとして一緒に解析業務を行ったりしていました。

ーーなるほど、その経験を存分に活かしているのですね。グリーに入社後はどのような仕事に取り組まれたのでしょうか。


榊

榊:2020年の夏頃から、内定者アルバイトとしてWright Flyer Studiosの中で分析の仕事に携わりました。当時はまだWright Flyer Studios内にゲームに特化したアナリシスチームはなかったので、個人で動きながら分析をさせてもらっていました。その後2021年4月に正式に入社し、1カ月間の新人研修を終え、そこからアナリシスチームを立ち上げることになりました。

Wright Flyer Studios内のチームだからこそできる、ゲームと併走する分析

ーー「ゲームに特化したアナリシスチーム」を作られたことが今回の受賞につながったとのことですが、今まではどのようなチーム編成で分析を行っていたのでしょうか。


榊

榊:グリーグループには横断的な分析チームがあり、事業部単位で依頼があると案件ごとにそのチームから担当者がアサインされます。こちらでは通常、プロダクト側から要請があった場合に案件に対応する分析チームが組成されます。それとは異なり、私たちのアナリシスチームは、Wright Flyer Studiosの事業部内メンバーとして常に一緒に働き、プロダクトと併走しながら「こんな分析結果が出ましたので次のイベントはこうしたらいかがでしょうか」などと提案していく組織になります。この形のものは今までありませんでした。

ーー仕事内容は具体的にどのようなものなのでしょうか。


榊

榊:一般的な分析の範囲としてはまず、ゲームのログを収集して、ダッシュボード化して社内に展開したり、そもそも分析に必要なログの種類を定義して、それが収集できるようにエンジニアへ依頼をする仕事があります。例えば、お客さまがクエストに挑戦したときの装備やパーティー、クリアまでのターン数などのデータがこれにあたります。そこからさらに分析を進め、プロダクトの人と一緒に今後の方針を考え、提案していくのが、ゲームに特化したアナリシスチームの仕事になります。

ーーゲームのリリース前から分析はスタートしているのでしょうか。


榊

榊:そうですね、リリース前のタイトルにおいては、市場調査によってお客さまの調査とゲームのコンセプトの方向性検討を行います。またクローズドベータテストで取得したデータを分析し、リリースに向けて必要な改修項目を洗い出し、その中でも特に重要な項目についてはプロダクト側に改善案を提案します。リリース後のタイトルについては、日々のモニタリングから分析を開始します。事業の成功のためには、お客さまに継続して遊んでいただくことが重要ですので、それらを維持できるように離脱の原因をデータから見つけ出します。特に重点的な課題に関してはプロダクトと議論を重ね、KPIを改善しつつ、お客さまに楽しんで頂ける方法を一緒に考えていきます。そうして、お客さまに長く愛されるタイトルをプロダクトと共に作り上げていきます。

ーー新卒からチームを立ち上げて新しい仕事に取り組むことに対して、戸惑いはありませんでしたか。


榊

榊:学生時代からアルバイトやインターンで組織のメンバーとして仕事をする経験を積んできました。ですので、学生と会社員の違いのようなもので戸惑うことはありませんでした。加えて内定者アルバイトでWright Flyer Studiosに関わってきたことは大きかったですね。社内の空気や、実際に働いているメンバーを見てきたため、スムーズに仕事に取り組めました。

丁寧なコミュニケーションと論理的な思考――グリーのバリューを体現するために心がけたこと

ーー入社後間もなく、チームのマネージャーという立場に抜擢されたと思いますが、苦労した点をお聞かせください。


榊

榊:マネージャーという立場上、さまざまな場面で意思決定をしなければならなかったのは大変でした。学生時代から、企業の中に入り分析の仕事に触れてはいましたが、その頃は最終的に意思決定を行うのは自分ではありませんでしたから、マネージャーになってたくさんのことに悩みながら意思決定をしてきました。ですが、1人で抱え込むようなことはなく、上司やチームメンバーも寄り添って相談に乗ってくれ、もらった意見を参考にしながら仕事を進めることができましたね。マネージャーという立場のプレッシャーはありましたが、周りのサポートもあったので走り続けることができている、と感じます。

ーー今回榊さんは「一流の仲間を集め一流のチームを作る。」というグリーのバリュー(行動規範)を体現し、Best Newgrad of the yearを受賞をされました。チームの運営やメンバー集めの中で、特に意識した部分はありますか。


榊

榊:プロダクトのプロデューサーやマネージャーなど他のチームと、論理的に柔らかいコミュニケーションが取れる人に集まってもらいました。アナリシスチームで一番大事なのは、論理的に仮説を立て検証していくという作業をどれだけ精度よくできるかです。けれどもゲームに求められる価値というのは、最終的には「楽しさ」というデータにはないものです。また、意思決定を行うのはあくまでもお客さまに向き合っているプロダクトの人たちなので、こちらの提案を受け入れてもらいやすいように、丁寧にコミュニケーションをする必要があります。ですから、相手のクリエイティブマインドに波長を合わせつつ、論理的な提案ができるような人に声をかけさせてもらいました。

奔走した1年で感じた成長とこれからの挑戦

ーーチームの立ち上げから、Wright Flyer Studiosでは4タイトルもリリースされました。そのリリースラッシュはどのように乗り越えたのでしょうか。


榊

榊:先ほどもお話ししたように、Wright Flyer Studiosの社内には元々分析専門のチームはなく、チームとしてどのように仕事を回すか、手探りの状態からのスタートでした。ですから、まず自分が一通りやってみる。そしてそれを他の人ができる形に整えて、仕事として渡していくということを繰り返していきました。また、タイトルリリースのタイミングで忙しくなってしまう時期は、メンバーに事前に伝えるようにしました。その中で仕事の優先順位を決め、やることとやらないことを判断しながら進めました。プロダクトの近くで働くことで、面白いものを作りたい、お客さまにこの面白さを届けたいという想いが共有できるからこそ、モチベーション高く仕事に打ち込むことができたと感じています。

ーーチームの立ち上げからメンバーの調整など、初めて挑戦する仕事に奔走した1年でしたが、榊さんが成長できたと感じた部分はどのようなところでしょうか。


榊

榊:Wright Flyer Studiosのメンバーは自身の目指すものに対してこだわりがすごく強くて、ゲームやクリエイティブというものに対して誰もが思い入れを持っています。「いいプロダクト、質の高いクリエイティブを多くのお客さまに届ける」という高い意識を持っている人に囲まれているので、「自分もお客さまに楽しんで遊んでもらえるものを提供したい」という意識が自然と高まっていきました。

ーー今後の目標をお聞かせください。


榊

榊:「事業責任者としてのプロフェッショナル」になることが目標です。事業責任者を目指すためにも、今のアナリシスチームで学べることはたくさんあると思っています。例えば、今自分が挑戦させてもらっているように、志のある人が挑戦できる機会を与えられる組織づくりに取り組んでいきたいですね。その中で、プロダクトのクリエイターとしっかり連携して、面白いものを作っていくことで、事業に対する知見が磨かれていくと考えています。ただ機械的に利益を上げていくのではなく「これは相手を幸せにする」と思うもの、つまりお客さまの心が動くものを提供したいと思っています。一方で自分の勉強として分析をやってきているので、学んだことを活かし、かつお客さまの心を動かせるものを届ける立場をしっかりと担う。そうすれば自分が求めるものにたどりつけると思っています。