競合ひしめくゲーム業界で、そのタイトルの数だけ存在するのが「プロデューサー」と呼ばれる人々。担当プロダクトをいかに面白く、そして多くのお客さまから愛されるものに育てていけるかどうかは、彼らの手腕にかかっているといっても過言ではありません。グリーを代表する4タイトルのゲームプロデューサーに集まっていただき、それぞれのプロダクトにかける熱い思いを語りあってもらいました。
倉又 アバター プロデューサー
入社以来6年以上にわたり「アバター」チームに在籍し、現在はプロデューサー。メンバーの成長が何より嬉しいと語り、持ち前の暖かい人柄でチームを牽引する。趣味はお酒、ゴルフ、野球観戦と意外に男前な一面も。
栗山 消滅都市2 プロデューサー
新卒でグリーに入社以来「消滅都市」チームに所属し、プランナーを経て2017年春よりプロデューサーに就任。入社4年目の若さながらプロダクトに妥協しない強い信念と、チームでやり遂げる達成感を重んじる熱いリーダーシップでメンバーからの信頼も厚い。
高松 釣り★スタ プロデューサー
「グリーはチャレンジの宝庫です」という言葉どおり、自身も積極的にさまざまな業務に関わるうち、いつの間にかエンジニアからプロデューサーに転進したという経歴をもつ。「釣り★スタ」と広島カープをこよなく愛する。
森山 踊り子クリノッペ プロデューサー
グリーに入社以来6年間「踊り子クリノッペ」チームに所属。現在はプロデューサーとして、徹底したお客さま目線で運営を統括する。リフレッシュの秘訣は入浴中の読書とひとりカラオケ。
お客さまとチーム、双方に向き合っていく
――「プロデューサー」というのはいろいろな業界で使われる肩書きだと思うのですが、ゲーム業界における「プロデューサー」とは、どんなお仕事なのでしょう?
高松:会社やプロダクトによって違いがあるかもしれませんが、グリーではゲームの大きな運用方針や施策を決めたりする、いわば「舵取り役」です。仕事の領域ごとに担当者や責任者はいますが、プロデューサーはそれらのすべてに対して責任を持っています。
栗山:僕の消滅都市チームでは主にゲームの面白さやクオリティに関して責任を持つディレクターがいますが、それ以前に「このプロダクトを今後どうしていくか」という将来のビジョンを描いて社内外に発信し、メンバーを引っ張っていくことがプロデューサーには求められます。
森山:もちろんビジネスなので利用者数の伸びや予算など、数字にも責任を負っています。機能追加やリニューアルまで、プロデューサーの采配の結果はしっかり数字に表れますから。
倉又:チームの体制作りも大切ですね。プロダクトだけではなく、常にそれらを支えているチームを円滑に回せるようにメンバーと向き合って、道筋をつけていくのも私たちの仕事だと思います。
――ゲーム運営の最前線で陣頭指揮をとる、ということですね。それぞれのプロダクトを運営していくうえで、こだわりがあれば教えてください。
森山:うーん、プロデューサーのこだわりというより、むしろお客さまのこだわりを大事にすることでしょうか。私が担当している「踊り子クリノッペ」ではお客さま同士の交流が盛んで、皆さんがマナーや気遣いをとても大切にしていらっしゃるんです。これは実際にあった話ですが、ゲームの中で年賀状を送りあう機能について「喪中で返信を出せないので、年賀状を受け取らないように設定変更したい」というリクエストが複数あがって、機能設定を追加したこともあります。
一同:すごい!
森山:「ゲームの中だからいいや」ということではなく、お客さまがリアルな社会と同様の礼儀を大切にされているのなら、私たちもそこを守っていかなきゃいけないよね、と常に考えるようになりました。
高松:お客さまのこだわりを守る、という点はすごく理解できます。というのも、先ほどの「踊り子クリノッペ」と僕が担当する「釣り★スタ」、倉又の「アバター」はウェブゲームから発展したプロダクトで、今年でちょうど10年になるんです。
――10年! そんなに長く続いているゲームは業界でも珍しいのでは?
高松:そうですね、「釣り★スタ」は「世界初のモバイルソーシャルゲーム」とうたっています。10年の間に何度かモデルチェンジを経て遊び方は多様化してることもあり、ゲーム歴によって、お客さまの楽しみ方がまったく違うんです。最近ではデッカイ大物をみんなでワイワイ釣り上げる遊び方があるんですが、古くからのお客さまには一人で淡々と毎日放流される「ラッキーフィッシュ」という指定された魚だけを釣るのが楽しみ、という方が多い。毎日の生活の一部になっているんですよね。10年も続けてくださるお客さまの遊び方は大事にしたいし、新しいお客さまにも来てもらいたい。僕たちプロデューサーは、その狭間でバランスを取りながら常に試行錯誤しているわけです。
倉又:長く続いているプロダクトであるほど、何かを変えるときに「どの層に届けるか」という判断が重要になってきますよね。「アバター」もお客さまの年齢層が広いので、ゲーム歴によってアプローチを変えています。もうひとつ私がプロデューサーとして心がけているのは、一緒に働く仲間を大事にするということ。チーム内の空気が悪くなるとゲームにも影響が出てくるので。これは歴代のプロデューサーから代々引き継いでいます。
――歴代のプロデューサーから引き継いだ、お客さまとチームに向き合うというマインドが、長く愛されるプロダクトをつくってきたのですね。栗山さんのチームではいかがでしょうか?
栗山:僕は3人と違ってネイティブアプリ系の事業部に属していて、担当している「消滅都市」は今年で3周年を迎えました。リリース当初から「「他のゲームにはない新しい驚きを与えたい」という空気が常にチーム内にありますね。ゲームの仕掛けやファン感謝イベントでもいろいろな演出にどんどんチャレンジしていますし、音楽もいわゆるゲームっぽくない、クラブでも違和感なく流せるくらいカッコいいものにしたい、などとクオリティにこだわっています。
お客さまが喜んでくれるのが、何より嬉しい
――ゲーム運営の責任者という大きなプレッシャーを伴うお仕事ですが、一番やりがいを感じるのはどんなときですか?
高松:やっぱりお客さまが喜んでくれたときですね。2015年8月に「釣り★スタ」のファン感謝イベントを開催したんですが、ゲームをやっているおじいちゃんがお孫さんと一緒に参加してくれたんです。おじいちゃんと孫が同じゲームで遊んでくれるってなかなか見られないことなので、長くやってきて良かったなと思いましたね。ファン感謝イベントって文字通りファンの方に感謝を込めて開催するものですが、お客さまの生の声や反応に触れられるので、僕たちも得るものが大きいんです。
倉又:私たちのモチベーションが上がるんですよね。「アバター」でも会員の方を招いてお茶会をしたり、季節のイベントではお茶会に参加してくださった方へ手書きのダイレクトメールを送っていますが、手書きでお返事をくださる方もいて毎回感激しています。ときにはメールでお叱りやダメ出しをしてくださるお客さまもいらっしゃいますが、良いときはちゃんと褒めていただける。チームメンバーもその方のことを知っているので、「今回は褒められた~!」と大喜びしています(笑)。
森山:お客さまが本当にあたたかいんです。私たちが提供しているものではあるけれど、お客さま同士がつながって、一緒に作り上げてくれているというか。むしろお客さまが私たちを育てて、プロデュースしてくれているようにも感じますね。
栗山:「消滅都市」も3周年記念のほかにいくつかイベントを行ってきたのですが、チーム一丸となって準備するのですごく結束力が高まるし、お客さまに目の前で楽しんでもらえることでチームの雰囲気がすごく良くなります。お客さまの笑顔はもちろん、チームの成長も感じられて、プロデューサーという立場ならではの達成感も感じました。消滅都市は、Twitterのフォロワー数も多く、リリース時からお客さまの声を聞くようにしています。
挑戦したい人が成長できる企業文化
――インタビューを読んで皆さんのような「ゲームプロデューサー」に興味をもつ人もいると思います。どんな方が向いていますか?
高松:とにかく何でもまずチャレンジしてみる、というマインドを持っていることが大事だと思います。特にグリーでは、「やりたい!」と手を挙げた人にどんどん仕事を任せていく文化があります。栗山くんはいま……4年目だっけ?
栗山:今年で4年目です。ちょうど「消滅都市」のリリースのときに新卒で入社して、ずっと同じチームに所属してプランナーも経験して、この春にプロデューサーになりました。
高松:というような具合です。「まず3年は修行だ」とかじゃなくて、やる気がある人にはどんどんやらせてみよう、という社風なんですよ。だから他社と比べて若手がいろいろな仕事に積極的に挑戦できる空気があります。
栗山:僕のほかにも同期でプロデューサーになっている人がいます。確かに主体的に声を上げることで、いろいろな仕事を任せてもらえるようになりました。プロデューサーってゲームのその先の未来を描いていくことが大事だと思うので、「ゲーム業界でこんなことをやってみたい」というビジョンがある人は、ぜひ挑戦してみてほしいです。
倉又:あとは、チームで仕事ができる人ですかね。一人じゃ絶対できない仕事なので。人と仕事することを楽しめる人、チームプレイが得意な人は向いていると思います。
森山:高松と少しかぶりますが、目的意識をちゃんと持てる人ですね。どんどんやりたいことを任せてもらえますが、裏を返せば「やらされ仕事」だと成長しないと思います。プロダクト、チームメンバー、そして何よりもお客さまとしっかり向き合うことも含めて、根っこにきちんと目的を持って仕事に取り組める人にとっては、すごく働き甲斐があり、成長できる会社だと思います。
今回集まっていただいた4名の方々は、プロデューサー歴半年~3年と、キャリアもさまざま。しかしどのプロデューサーも心がけているのは「お客さまと真摯に向き合うこと」と異口同音に述べていたのが印象的でした。そのマインドが受け継がれ、グリーの文化として浸透しているからこそ、多くのプロダクトがお客さまから長く愛されているのではないでしょうか。
※取材は2017年7月に行いました。
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