ゲームのチカラを教育の未来へ 2014年度「千葉大学教育学部×グリー」共同授業リポート(後編)

皆さま、こんにちは。広報室の かのう です。

少し間が開いてしまいましたが、2014年度に実施した千葉大学教育学部との共同授業について、取り組みの後半部分を紹介します。

前編では、2013年度に続いて実施したハッカソンイベントを紹介しました。千葉大学の学生たちは小学生向け教育ゲームを企画し、グリーのエンジニアたちがサポートしながらチームごとにゲームをつくりました

そして2014年度は新たな試みとして、実際につくったゲームを小学生に遊んでもらう実証研究も実施したのです。

ついにこの日が来た

緊張の中で迎えた当日。千葉大学教育学部附属小学校の多目的室に学生34人、藤川先生や藤川研究室の方々、グリー社員11人が集合しました。

学生たちはもちろん、普段はパーカーにジーンズというラフなスタイルで仕事をするグリーのエンジニアたちも、この日はスーツに身を固めてやや緊張の面持ち!

「ついにこの日が来たのか」と感慨深いものがあります。

そしてついに、30人ほどの児童が続々と教室に入ってきます。感極まってなぜか拍手で迎える学生とグリー社員……。そりゃそうですよね。3カ月間ずっと、その姿を頭に思い浮かべながらゲームをつくり、改良に改良を重ねてきました。その想像が現実のものとなったのです!

短い開発期間で完璧ではないかもしれませんが、それぞれ渾身の一作です。

しかし、「本当に面白いと感じてくれるだろうか」「学習効果はあるだろうか」「どんな反応があるだろうか……」と、不安と期待の入り混じった緊張感が多目的室に漂っていました。

藤川先生の「それでは始めてください」という合図で思い思いのブースに駆けていく児童たち。我々の不安なんてどこ吹く風で、たちまち教室は児童たちの歓声や笑顔に溢れました。

真剣な表情でクイズを解く児童。お友達数人であれこれ相談しながら答えを選んでいく児童たち。「ああー! 間違えた!」と心から悔しそうな児童。

ゲームを楽しみながら問題を解くのに夢中になる児童の表情を見て、安堵するとともに、ゲームのチカラに手応えを感じて私はこっそりと目頭を熱くしていました。

ゲームと教育は両立するのか

ゲームは、しばしば教育と正反対の文脈で語られることがあります。皆さんの中にも「ゲームと教育は両立するのか」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

確かに、ルールの無いゲームのやり過ぎは勉強する時間を削りますし、睡眠不足や視力低下の原因になり得ることも指摘されています。

しかし、ゲームはそこまで人を魅了する何かしらのチカラ、すなわち「モチベーションを喚起する要素」を持っていると考えられます。それを教育などの一般的に努力と忍耐が求められる分野に生かせることができれば、これまで以上に効率よく、効果的に、学習を進められるかもしれません。

「ゲーミフィケーション」という言葉は、まだまだ一般的に知られたものではありませんが、「ゲーミフィケーション」を生かした教育は、知らず知らずのうちに誰もが経験しているはずです。

例えばテストの結果をランキング形式にして競い合ったり、ご褒美としてシールをもらえたりすることは、教育現場で既に行われている、ゲームのチカラを生かした「ゲーミフィケーション」の事例なのです。

ゲームのチカラでみんなを笑顔に

児童たちに遊んでもらう時間は、あっと言う間に過ぎ、実証研究は盛況のうちに終わりました。

グリーが普段提供しているオンラインゲームでは、目の前でお客さまが遊ぶ様子を見る機会はあまりありません。そのため、当日参加したグリー社員も、自分たちが制作に関わったゲームが目の前で遊ばれる様子を見ることができて、とても嬉しそうでした。

私は千葉から六本木に帰る電車に揺られながら、当日の様子をあれこれ思い起こしていました。有識者の方や当日取材いただいたメディアの方々から「良い取り組みですね」と大変嬉しいコメントを頂戴したのですが、何よりも印象に残ったのは、児童の皆さんの笑顔でした。今でも目を閉じれば容易に浮かんできます。

同時に、本題とは少しずれますが、「グリーのゲームが皆さんの笑顔に、少しでも貢献できればこんなに素晴らしいことはないな」と心から思いました。

皆さんを笑顔にできるゲームをお届けできるよう、頑張ります!

グリーができること

最後に、アンケート結果を少々紹介したいと思います。

学生の声

  • 「楽しかった」「学習に生かせると思った」と答えてくれた子がとても多く、学習アプリとしての役割を果たすことができた。ゲームという枠の中で教育を考える機会というのはとても意味があると思った。

児童の声

  • 「社会」が嫌いだったけれど、アプリのゲームを通じてなら楽しく勉強できると思った。
  • 自分の夢について今まであやふやだったけれど、職業紹介のゲームをきっかけにがんばろうと思った。

今回、実際に児童に体験していただいたことで多くの課題が見つかりました。来年度の授業ではそういった点を考慮しながら、千葉大学教育学部とより良い授業づくりをしていきたいと考えています。

ゲームがエンターテイメントの枠を越え、そのチカラで人々の生活を豊かにするきっかけになる。ゲームを主力事業とするグリーにおいて、ゲームは私たちだからこそできる社会貢献の大きなテーマだと考えています。


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