ゲームの力を教育の未来へ ~グリー×教育 千葉大学共同授業 プロジェクトレポート2017~

グリーは、CSRの一環として、主力事業であるゲームの可能性を活用した社会貢献を行っています。その取り組みの一つとして、千葉大学教育学部 藤川大祐教授と共同で千葉大学教育学部の後期授業をプロデュースしました。
この授業はゲームの力を応用した教育を理解し、その知識を生かせる人材を育成することを目的として、2013年より毎年実施しています。

ゲーム×学び

ゲームの力を活用できる教員を育成する

グリーは人を惹きつけるゲームの力が教育に活用できると考え、さまざまな試みを行っています。この取り組みでは、前半はゲーム制作に関する理解を深め、後半は実際に制作と千葉大学教育学部附属小学校の6年生のクラスにて、実証授業を実施しました。学生自らがゲームの企画、制作、ゲームを活用した授業を行うことにより、将来教員を目指す学生のゲーミフィケーション(ゲームの要素を他分野に応用する)リテラシー向上を図ることが目的です。

ゲームのノウハウを次世代へ

10月に実施した授業では、アプリ開発スタジオWright Flyer Studiosを統括する取締役 上級執行役員の荒木が「アイデアを製品企画に落とし込む方法論」と題し、ゲーム制作において最も重要な「企画の考え方」を講義しました。(詳細は公式ブログにて公開しています。)

12月にはグリー社内で、学生が制作した学習ゲームの発表会(Demo Day)を行い、千葉大学の教授やグリー取締役などからゲームづくりにおける注意点などを講評し、より良い学習ゲームを作るためのアドバイスをしました。



10月 取締役・荒木による講義「アイデアを製品企画に落とし込む方法論」






12月 グリ―社内で実施したDemo Day



全ての児童が楽しく学習できる機会をつくる

今年の学習ゲームのテーマは、「アクティブラーニングの授業を補助する英語学習ゲーム」。

2020年の学習指導要領の改訂で英語が正式な教科となりますが、2018年度までの小学校教員の教職課程では英語の履修は義務ではなく、英語の指導法について学んでいない教員が多くいる現状があります。そうした背景を踏まえ、今回は教員の授業を支援するとともに、児童の英語学習効果を高めるためのゲームを学生自らが企画、制作し、学生たちの努力と熱意のこもった4つの異なる学習ゲームが完成しました。










制作した学習ゲーム

Chiba Tour

ツアープランナーとして留学生に千葉を案内しながら「What did you do?」の定型文を覚える学習ゲーム。授業では、2人で1つの端末を使ってゲームを進めながら、学んだフレーズを2人で会話して復習もできる。

https://plicy.net/GamePlay/51844



ピンキーと魔界の大冒険

謎のキャラクター・ピンキーの道案内をしながら、「英語での道案内」に関心を持つことを目的とした学習ゲーム。後半には、音声も録音されており、リスニング力を身に着けることも可能。2人で1つの端末を使い、協力してゲームを進める。

https://plicy.net/GamePlay/51278



手伝ってほしい

YouTuberの主人公が、英語でしか注文できないカフェに行き、店員と英語で会話をしながら注文の仕方を学ぶゲーム。2人で1つの端末を使い、音声を聞いて回答を選択してストーリーを進めたり、スペルを入力したりしながらフレーズを覚える。

https://plicy.net/GamePlay/51858



お正月を伝えよう

日本の文化を学びながら英語を学習するゲーム。クイズの選択肢には音声も録音しており、リスニング力も身につけることができる。”Play”と”Pray”などといった音声と綴りの違いを理解することを目標とした。

https://plicy.net/GamePlay/51213



児童の声

  • 実際にありそうなストーリー設定なので、自分が実際に使える英語を学ぶことができた。
  • タブレットで発音が聞けたり、間違えた時にヒントが見られたりして良かった。
  • ゲームで学ぶと自然と身に着き、楽しく学べたので、もっとたくさんの人に体験してもらいたい。

学生の声

実証授業の後、学生たちはそれぞれ、当初の企画段階からアプリ制作、授業実施までの過程で直面した課題と解決策を振り返り、この後期授業を通しての学びを発表しました。

  • 授業でゲームをどう活用するかの視点と、ゲームをどう面白くするかの二点を両立させることがとても難しかったが、この授業でしか学べないことも多く、とてもためになった。
  • ICTの活用と授業内でのコミュニケーションをどのように融合させていくか、これから実際の教育現場でも考えていきたい。
  • チームで一つのゲーム制作を進めていくことは苦労も多かったが、その分学びも多かった。

大賞は「Chiba Tour」

実証授業後には、教授や教員、実際に授業を受けた児童の意見をもとに、投票により大賞を選びました。かなり票は割れましたが、英語の学習効果、授業への取り入れやすさ、ゲームの完成度などを総合的に判断し、「Chiba Tour」に決定しました。特に授業において英語でのコミュニケーションを多く取り入れた点が評価されました。

教育の未来を担う学生の貴重な体験

藤川大祐千葉大学教育学部 教授
グリー×千葉大学による教育ゲームづくり授業も、今年度で5年目。今回はノベルゲーム開発ソフト「ティラノビルダー」を使い、グリーの方々にアドバイスをいただきながらも、学生たちが自分たちで最後までアプリ開発を行いました。大変な苦労があったようですが、4つのグループの授業はすべて千葉大学教育学部附属小学校の授業に間に合い、6年生3クラス全てで4つのグループが授業を行うことができました。今回の取り組みでは、学生たちが教科化を控えた小学校英語教育について実践的に学ぶとともに、小学校で必修化されるプログラミング教育の素養も身につけるというぜいたくなもの。学生たちの取り組みは、これまでよりさらに一歩進んだものとなりました。

グリーは今後も、「ゲーム×学び」をテーマとしたCSR活動の中で、ゲームを通じた学びを皆さまに提供できるよう、さまざまな取り組みを行っていきます。

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