【特集】社会の新たな未来を切り拓く!エンジニアたちの研究開発に懸ける思い

グリーで働くエンジニアの中には、サービスやシステムの開発にとどまらず、技術の新たな可能性を切り拓くべく研究開発や社外での発信活動に取り組んでいるメンバーがいます。彼らのモチベーション、グリーで働き続ける理由とは。4名のエンジニアによる座談会を実施し、研究開発に懸ける思いをうかがいました。


尾崎

尾崎:グリー株式会社 開発本部 アナリシス&データエンジニアリンググループ

2017年グリーに新卒入社。モバイルゲームの開発を経て、機械学習エンジニアとして画像認識システムの開発に従事。AutoML(Automated Machine Learning)の研究に取り組み、国際会議への参加や学会発表、論文執筆を行う。


橋本

橋本:グリー株式会社 開発本部 インフラストラクチャ部 サービスインストレーショングループ

2013年グリーに中途入社。KVSを専門とし、ミドルウェアの開発やインフラの運用を担当。最近の研究テーマは機械学習で、OSSを通じてプロダクトを開発中。国内外で学会発表を行っている。


辻本

辻本:グリー株式会社 開発本部 アナリシス&データエンジニアリンググループ

2013年グリーに新卒入社。アナリシス&データエンジニアリンググループでデータ分析やシステム運用・開発などを担当する傍ら、AI開発に取り組む。


石原

石原:グリー株式会社 開発本部 アナリシス&データエンジニアリンググループ

大学で音声変換・分析・合成について研究し、メーカーの研究所にて音声に関する信号処理を担当。2018年グリーに中途入社。システムの運用・開発に加え、音声変換研究を兼務。

グリーはやりたいことに打ち込める環境が整っている

ーー現在の担当業務と、ご自身の研究開発テーマについて教えてください。


辻本

辻本:ユーザーのデータ分析やログ集計システムの運用・開発が主な仕事で、並行してAIの研究開発を進めています。特に力を入れているのが、自動でゲームをプレイするAIの開発です。人間が手を動かさなくてもコンピュータが勝手にゲームで遊び、難易度などを測ることができればリリース前のテストの効率化につながると考えています。


尾崎

尾崎:機械学習エンジニアとして画像認識システムの開発などを経験し、昨年からは産業技術総合研究所の人工知能研究センターに出向してAutoML(Automated Machine Learning)の研究に取り組んでいます。機械学習システムのパイプライン開発・運用の自動化を実現して、作業者の労力削減や作業効率化、性能改善を図ることが目標です。


橋本

橋本:KVSが専門で、ミドルウェアの開発やインフラの運用を担当しています。Haskell(純粋関数型プログラミング言語)やAWSのシステムを使った開発を通じて機械学習に興味を持つようになり、国内外の学会発表に積極的に参加しています。


石原

石原:データ分析の前段階となるログ集計システムの運用・開発を担当しています。大学時代は音声の変換・分析・合成などの研究に取り組み、前職では音声に関する信号処理をやっていました。現在も基本業務に加えて、音声変換の研究を兼務しています。


辻本

辻本:この中で研究開発に専念しているのは尾崎君だけですよね。


尾崎

尾崎:そうですね。研究して論文を書くというのがメインの仕事ですが、社内のAI案件について相談されることもあります。


辻本

辻本:チームのタスク状況によりますが、私も業務と研究開発を半々くらいでやっている時期がありました。業務に関連していれば、自分が興味のあるテーマを選んで自由にやれる雰囲気がありますよね。


石原

石原:基本的にはやりたいようにやっている感じですね(笑)。業務自体も楽しくやっていますが、音声変換の研究に関しては会社として注力しているライブエンターテインメント事業に欠かせないものなので、仕事の比重も大きくなってきています。


橋本

橋本:僕はインフラ担当なので皆さんとは動き方が違うと思いますが、余暇や空き時間を見つけてはスケジュールをねじ込んで(笑)、学会に参加することが多いです。情報収集やコミュニケーションが主な目的ですが、国内外問わず会社が全面的にサポートしてくれるのがありがたいですね。


国際会議の発表(橋本)


尾崎

尾崎:情報を得たり自分の研究を知ってもらったりするにはコミュニティの集まりに顔を出すのが一番ですよね。今年はICML(International Conference on Machine Learning)やKDD(Knowledge Discovery and Data Mining)などの国際会議に参加してワークショップで発表しましたが、同じ分野の研究者と意見交換したりコラボレーションの可能性を探ったりと得られるものが非常に多くありました。

「楽しい」の先に、社会の役に立つことを目指して

ーー研究開発を進めるうえで、モチベーションとなっているものは何ですか?


尾崎

尾崎:機械学習はこれまで培ってきた技術を活用できるところが面白くて、CEDECではプロダクトにテスト導入した事例についてプレゼンさせてもらいました。特許出願もしているので、これから新しいサービスを生み出していくうえで役に立っていくんだという実感があります。


辻本

辻本:単純に楽しいからやっているというのはありますが、その成果が事業に役立てばという思いがあります。もちろん良い結果が出るかはわかりませんが、とにかくやってみなければ可能性は見えてこないので、自分が楽しんでやっていることがいつか社会の役に立てればいいなと思っています。


尾崎

尾崎:石原さんの成果は、実際にプロダクトに組み込まれてリリースされていますよね。


石原

石原:今年6月に公開された「転生こえうらない」は、なりたい声のキャラクターと自分の声のタイプを選んで声を録音すると、ボイスチェンジした音声が再生できるボイスチェンジャーサービスです。私の研究成果というよりはエンジニアとしてお手伝いした程度ですが、今後はライブエンターテインメント事業のほうでも研究成果を活かしていくべくVR研究者たちと一緒に取り組んでいます。辻本さんが言うように楽しくないと続かないというのもありますし、いつか自分の手で世の中に新しいものを届けたいという気持ちもモチベーションになっていると思います。




橋本

橋本:いろいろなモチベーションがありますが、OSS(Open Source Software)を使って皆と一緒につくるのが楽しいというのは大きいですね。今進めている機械学習システムの開発もコミュニティのメンバーたちと議論を重ねて試行錯誤しながら頑張っているところです。

ーー「研究」というと一人で集中してやるというイメージがありますが、複数人でディスカッションして進めていくケースも多いのでしょうか?


石原

石原:私自身の経験でいうと、コアとなるアイデアを生み出すには他人とのインタラクションではなく自分の中にあるものをどんどん掘り下げていって種を見つけるというイメージです。ただし種を育てるには周囲とのコミュニケーションが大切で、一人でやりきるのはなかなか難しいところがありますよね。両方をうまく使い分ける必要があると思っています。


尾崎

尾崎:テーマによっては、 と思っています。海外まで行って学会に参加するのもコミュニケーションを取るためで、いろいろな方と話す中でヒントをもらうことは多いです。OSSなんて、まさにコミュニケーションの賜物ですよね。


橋本

橋本:そうですね。一人ではつくれないものでも、皆で集まって力を合わせることでいいものができるというのは醍醐味と言えるんじゃないでしょうか。


辻本

辻本:自分の中のアイデアをいざ形にしようとしたとき、そのテーマに関して他の人が感じている課題や自分が持っていない情報を聞いたり調べたりすることで確実性を高められるというのはありますね。自分一人の時間も大事ですが、コミュニケーションがないと進まない部分もあります。情報交換という意味では、週に1回くらいはこのメンバーを含めて勉強会を開いて、今どんなことを研究しているか、どんなことに興味があるかを共有し合ってますしね。


石原

石原:つい(このインタビューの)2時間ほど前までやってましたからね(笑)。

皆自由で個性的だけど、助け合う文化が根付いている

ーー皆さんがグリーで働き続ける理由は何でしょうか?


石原

石原:一言で言えば「自由と裁量」に尽きると思います。裁量労働なのでチームで決めた目標の範囲内であれば基本的に何に取り組んでも自由ですし、時間が余れば好きなことに使えるので、やりたいことがある人、やりたいことを自分で見つけられる人にはすごく働きやすい会社だと思います。


辻本

辻本:同感です。社内の雰囲気も居心地が良いですよね。100%研究だけをしたいなら専門の研究所のほうがいいのかもしれませんが、社内のシステム開発をしたり将来的に事業につながる研究をしたりと、開発と研究のバランスが取れているのが良いところだと思います。


橋本

橋本:コンピュータリソースが豊富で、一人当たりのパソコンの台数とかスペックとか希望を聞いてくれるのもいいですよね。今は4台使っているくらいなので(笑)。


尾崎

尾崎:それは社内でもかなり特殊なのでは…(笑)。


橋本

橋本:確かにそうですね(笑)。パソコンだけじゃなく、この間もドイツの学会で発表したいと言ったら出張させてくれましたし、ルールや規則に変に縛られることはないですね。


尾崎

尾崎:社員も本当にいろんな人がいて、幅広い分野のスキルを持った人が集まっていて同じ目線で話せるのは強みだと思います。あるプロダクトの課題を吸い上げて「これを解決できる技術ないですか」って声を上げると、いろいろな分野の方がサポートしてくれて無事プロジェクトを進めることができた事例もありますし、部門やプロダクトの垣根がないのが良いところだと思います。

ーー今後の目標を教えてください。


石原

石原:「音声の個人性とそれ以外の分離」というテーマで今後も研究を続けていきたいと思っています。人間の声というのは誰が何をどんなトーンで話しているかである程度聞き分けができるものですが、より高次元での音声情報の分離を可能にするために、個人性を成り立たせているものが何なのかを明らかにしたい。これによって音声技術の活用範囲が広がるでしょうし、何よりも自分自身が知りたいという気持ちが強いです。ニーズに応えるという意味でも、音声変換の技術を高めることができれば簡単に一人何役もできるようになるなどVTuberの表現の幅も広がり楽しみ方も倍増するでしょう。いかに早く実現できるかチャレンジしていきたいです


橋本

橋本:開発中のOSSのプロダクトを今年度中にリリースするのが直近の目標です。あと、今ある機械学習はブラックボックスだと思っていて、何をどのように考えるのかを解析するツールも出てきましたが、将来的に機械学習がより複雑化した時のための解析をどうするのかを考え続けていきたいです。


辻本

辻本:究極的には、人間の面倒をすべて機械が見てくれる社会をつくりたいと思っています。数十年もしくは100年単位の時間がかかるかもしれませんが、そのための第一歩として、社内で手作業しているタスクを機械がこなせるようにすることで、社員が早く帰れたり好きなことに時間を費やせたりという環境をつくっていけたらと思っています。


尾崎

尾崎:AIが人間の仕事を奪うというよりは、人間の仕事をアシストして、よりクリエイティブな仕事ができる社会を実現したいです。本質的ではない仕事をAIに肩代わりさせれば、私たち人間が本当にやりたいこと、時間をかけたいことに集中できるようになって、よりクオリティの高いものが生み出せると思います。研究活動を通じて、これからもチャレンジを続けていきたいです。

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