今年グリーグループ内に公式部活動の「技術書典部」が発足しました。9月22日に行われた技術書専門の同人誌展示即売会「技術書典7」では、部のメンバーであるエンジニアたちが執筆・制作した技術書を展示販売し、多くの方から反響が寄せられました。今回は技術書典部員の5名による座談会を実施。これまでの活動内容や技術書典に懸ける想い、部活動の面白さについてお話をうかがいました。
樋口:リミア株式会社 App部 開発グループ 第1チーム シニアエンジニア
2010年グリーに入社。現在は機械学習エンジニアとしてリミアのサービス開発に携わる。「技術書典部」部長。
遠藤:グリー株式会社 Wright Flyer Studios事業本部 Technology Development部 シニアエンジニア
2013年グリーに入社。サーバーエンジニアとしてスマホ向けアプリの課金システムを担当。
李:グリー株式会社 開発本部 インフラストラクチャ部 サービスインストレーショングループ
2018年4月グリーに入社。DB関連やモニタリング業務などに従事。
安藤:ファンプレックス株式会社 ゲームプロダクション本部 ゲームプロダクション部
2018年11月ファンプレックスに入社。複数タイトルのエンジニアを務める。
佐々木:ファンプレックス株式会社 ゲームプロダクション本部 ゲームプロダクション部
2019年7月ファンプレックスに入社。クライアントエンジニアとして「戦国アスカZERO」の開発を担当。
グループ各社から有志が集まり活動スタート
ーー「技術書典部」が発足したのはいつ頃ですか?
樋口:立ち上げを決めたのは今年の4月です。
遠藤:技術書典6の開催当日なので4月14日ですね。
樋口:技術書典はエンジニアが自分たちで執筆した技術書を展示販売する年2回のイベントです。当日は1万人以上が来場していたそうで、会場内は山手線のラッシュ並みに混雑していてものすごい熱気でした。技術書が飛ぶように売れていく様子を見ていて何だか熱が上がっちゃって、遠藤さんを会場で見かけた時に思わず声をかけたんです。
遠藤:元々別の社内部活で友人だった樋口さんと「これはヤバいですね」「私たちもやりましょう」って盛り上がって、翌日には社内のチャットツールであるSlackにチャンネルを立ち上げました。
樋口:身近な人から声をかけてチャンネルに入ってもらい、6月には部活動申請をしました。その頃にファンプレックスさんが開催しているLightning Talk大会(LT大会)という技術勉強会に呼ばれて登壇したんですが、あまり話が面白くなかったみたいで反応がイマイチで(笑)。
安藤:なんだか申し訳ないです(笑)。
樋口:いえいえ、ファンプレックスさんはゲーム、僕がいるリミアはメディアをつくっているのでメディアの話はピンとこなかったみたいでした。これはマズいと思って「次の技術書典に出すための本を書いているんです」と言ってみたら空気がガラッと変わり、その勢いで誘ってみたら安藤さんと佐々木さんが手を挙げてくれました。
安藤:ちょうどファンプレックス内でも技術書典のことが話題になっていて、私も興味があったので参加しようと決めました。佐々木さんも自分からですよね。
佐々木:樋口さんの話を聞いてすぐにチャンネル検索してそのまま入室しました(笑)。
李:私は同期から誘われて「こんなことやってるんだ」って初めて知ったのですが、良い機会だなと思って参加することにしました。
ーー本の制作はどうやって進めていったのでしょうか?
樋口:9月22日に行われる技術書典7に向けて、各自がテーマを設定して原稿を書き始めるという流れですね。
遠藤:テーマは自由で、それぞれが興味のあることについて原稿を書いて持ち寄る形なので個別に執筆を進めていきました。
樋口:メンバー間のやりとりは基本的にすべてSlackです。実は李さんと初めてお会いしたのもついこないだ(笑)。
李:そうなんですよね。ずっとチャットでやり取りしていました。
遠藤:「この内容載せたほうがいいかな、どう思う?」みたいな相談をさせてもらうこともありました。
ーー皆さんが執筆されたテーマについて教えてください。
李:業務での経験を生かして、インフラで使われる「外界監視」の仕組みづくりについて書きました。
佐々木:ソースコードって雑に書くこともできるけど後々読めないとか分からないとか苦労することになるので、そうならないために大切なSOLIDを分かりやすく解説しました。
樋口:私は仕事で取り組んでいる機械学習のことと、もう1つはGoogle技術に関してです。締め切りの数週間前にGCP(Google Cloud Platform)勉強会からお声がかかり話をすることになったのですが、登壇内容について「詳しくは本を買ってください」って言えば宣伝になるんじゃないかと思って(笑)。
遠藤:海外でのアプリ課金についてと、技術者に役立つ技術書ではない本を紹介する記事を書きました。
安藤:C++というプログラミング言語は扱いが難しいのですがファンプレックスで扱うタイトルにはC++のものが結構あるので、初めての人向けに注意点などをまとめました。
「一冊保存用に」って思うくらい嬉しかった
ーー制作は順調に進んだのでしょうか?
遠藤:印刷の関係上、イベントの2週間前を原稿の締め切りにしていたのですが遅れる人はいなかったですね。
李:僕は周りの人たちに原稿を見てもらっていて、赤字やアドバイスをたくさんもらい直すところが多かったので締め切りギリギリまで修正していました(笑)。
樋口:すべてのデータを入稿した後に表紙と裏表紙が逆になっていることが発覚し、あわてて印刷所に電話をかけて修正入稿しましたが何とか間に合って良かったです(笑)。
ーー通常業務と並行して原稿を執筆するのは大変だったのでは?
遠藤:基本的には空き時間を見つけて自宅で執筆することが多かったですね。
樋口:奥さんに子どもを遊びに連れて行ってもらうよう「お願いします!」と頼んで、家で一人PCをカタカタ、ということが2、3回ありました(笑)。
佐々木:私も原稿を書くために家のPCに専用のツールをインストールしました。
遠藤:技術書典などでよく使われているツールですね。一定の文法に従って書くと、テキストが変換されて見出しをつけたりしてくれるんです。樋口さんがセットアップしてくれて、僕らはそれを使って原稿を書いて、GitHub経由でデータを集めて最後にPDF化するという流れでした。詳しくは技術書典の樋口さんが書いた記事にあります(笑)。
安藤:技術書のつくり方を紹介しているんですよね。
樋口:今回限りでなく半年ごとに出し続けていければと思っていたので、次に参加する人が簡単に環境構築できるよう記事にまとめさせてもらいました。
ーー完成した本を手にした時の気持ちは?
遠藤:一冊保存用に欲しいなって(笑)。イベント当日に会場で受け取ったのですが、どんな仕上がりになっているか分からなかったのでドキドキもありましたが「本当にできるんだなあ」って嬉しかったです。
樋口:私はホッとしましたね。印刷所とのコミュニケーションを担当していたので、ちゃんと出来上がっているかな、ミスがないかなとかいろいろ心配で、手に取った時には安堵したというのが正直なところです。
安藤:私も会場に行ったのですが、初めて手に取った瞬間の嬉しい気持ちはよく覚えています。
佐々木:嬉しいけどちょっと恥ずかしい気持ちもありますね(笑)。
李:達成感がすごくあって、次はもっとレベルの高いものをつくりたいと思いました。
ーーイベント会場での反響はいかがでしたか?
遠藤:樋口さんと私で売り子をやったのですが、結構な数の人が来てくれました。
樋口:Twitterで「全部読みました!」と感想を送ってくれる人がいて、やっぱり感情が動きますね。つくって良かったなと改めて思いました。
遠藤:立ち読みして中身を見てから買ってもらえるのってありがたいですよね。「こんな技術使ってるんですね」「グリーさんもこういう活動してるんですね」って声をかけてもらえるのも嬉しくて。技術書典はスマホやWeb業界の人が比較的多くて、情報交換の場にもなっています。
ーー社内での認知度は?
遠藤:10月に開催されたグリーグループのエンジニアが集まるLT大会で販売スペースを設けてもらったのですが、たくさんの人が見に来てくれましたね。本自体はもちろん、技術書をつくることって価値があるということをエンジニア同士で共有できたのが良かったと思います。
ーー改めて、技術書や技術書典はエンジニアにとってどんな存在なんでしょうか?
遠藤:技術者同士のノウハウ共有という意味合いが大きいですね。
佐々木:本屋で売っている技術書はメジャーなものが多いですが、技術書典にはものすごいマイナーなものも並んでいて「こんなものがあるんだ」「知らなかった!」という驚きがあるので見てるだけで楽しいですね。仕事でもごくまれに役に立つし(笑)。
遠藤:技術書典では、制作した本を無料で配布している方や買いに来るだけの方も大勢います。エンジニアって互いに共有し合う文化があるので、知ってることを本にして役立ててもらうとか、新しいものに出会いに行くという感じです。
技術書典を一緒に楽しみたい方、大歓迎!
ーー皆さんにとって部活動の楽しみとは?
安藤:やっぱり人とつながれるというのが一番です。グループ内といえども他の会社の人と接する機会はあまりないので良い経験になっています。
李:頭の中にあることを文章にすることで知識を体系化できて、それが仕事にも生きています。お互いに興味のあることでつながれるというのも良いですね。
佐々木:自分がアウトプットしたものが本になるという点で厳密さが求められるので、普段使っている知識でも改めて勉強し直したりして、その分ちょっと成長できた気がします。
遠藤:普段からブログを書いたりしていますが、モノとして形に残るというのが面白いし、誰かが読んでくれているというのもうれしいですね。
樋口:私は本の宣伝のためにいろんなコミュニティに出かけて発表していたのですが、社内外に新しいつながりができたのが良かったなと思います。
ーー技術書典部の今後の活動は?
安藤:次回はもうちょっと分厚くしたいですね。
佐々木:じゃあ2倍目標で!
遠藤:次の執筆者も集まり始めていますしね。
樋口:同人誌には「112ページの壁」があって、112ページを超えると締め切りが1週間早くなるんですよね…。
一同:おおっ(笑)。
樋口:壁を越えられるよう頑張っていきましょう!
ーー皆さんにとって部活動の楽しみとは?
樋口:まずは社内に向けて。今回つくったのはノンジャンルの合同誌で、テーマを絞らずに一人ひとりが書きたいものを書きました。日頃ブログを書いている方は過去記事を本の形式に変換するだけでもOKですし、日々書いている日報や週報に取り溜まった知識をまとめ直してみるのも良いと思います。アウトプットをすると世界が広がります。新しい人とつながり、コミュニケーションをとることで新しいものを見ることができます。ぜひ多くの方に参加していただけたら嬉しいです。
遠藤:自分が書いたものが世に出るってとても楽しいことです。ぜひ気軽にのぞいてみていただけたらと思います。
安藤:会社の垣根を越えてグリーグループとしてこんな活動をしているというのをもっと知ってもらえたら嬉しいですね。
佐々木:今回の経験で「もっとこうしたらいいのでは」というポイントが見えてきました。より良い技術書を一緒につくっていきましょう!
樋口:この場をお借りして、デザインを担当してくれた岡部さんにも感謝の気持ちをお伝えしたいです。「表紙どうするんですか?」「えっもしかして描いてくれます?」という何気ない会話から本当にデザインしてくれることになってありがたい限りです。
遠藤:全員心から感謝しています!
樋口:技術書をつくるには記事を書く人だけでなく、表紙のデザインやロゴをつくってくれるデザイナーさん、販売のためのマーケティング担当者、ブースに立って売り子をする人などたくさんの人の力が必要です。エンジニアの皆さんはもちろん、いろんな方に興味を持っていただけたら嬉しいですし、技術書典を楽しみたいという方はどなたでも大歓迎です!また、グリーグループは社内外でいろんな勉強会をやっています。、アウトプットするのが好きな方にはこれを機にグリーという会社に興味を持っていただき、ぜひ一緒に働くことができたら嬉しいです。今後とも技術書典部をよろしくお願いします!
最後に、デザイナーを担当した岡部に、どういった意味を込めた部活動ロゴや表紙を作ったかを聞きました。
岡部:「技術書典」は、友人のエンジニアさんたちがいつも参加しているのをツイッターで見て、楽しそうだなーと思っていました。そこへリミアの社員も参加するとのことで、「ロゴとか作りますよ!」と声をかけて仲間に入れていただいたのがきっかけです。
ロゴは、グリーのみんなが生み出す本が向かい合って、未来を切り開いていくイメージで作りました。表紙は、技術書ぽくなく、「お!」と手に取ってもらえるようなものを目指して少しポップに作りました。たくさんの方に手に取ってもらえたらなら嬉しいですね。
次はぜひ自分が!と表紙などデザインしてくださるデザイナーさんがどんどん増えたら嬉しいです!
本件に関するお問い合わせ先
- グリー株式会社 広報担当
- 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
- E-mail: jp-pr@gree.net
- URL: https://corp.gree.net/jp/ja/
- Facebook: グリー株式会社
- Twitter: @GREE_pr_jp