【新卒採用インタビュー】「国」という枠組みを越える。グリーの未来を支えるライセンス事業の魅力。

魅力的なIP(※1)の創出と獲得を目指すJapan Game事業本部ライセンス事業部(※2)。中国との共同事業による大規模プロジェクトの実現、新規アニメーション作品等への出資を始め、事業部の重要性は日増しに高まっています。さまざまな事業への発展性を秘めたライセンスビジネスの戦略、そして未来像とは?
ライセンス事業部部長の渡邉亮介と、同じくライセンス事業部のシニアマネージャーである宿輪浩介に話を聞きました。

※1 Intellectual Propertyの略称で、「知的財産」と訳されるビジネス用語。著作物や創作物など、人間が創造した作品のほか、蓄積したデータやノウハウなどの知識や情報も対象となる。法律によって保護され、利益を得られる権利として「知的財産権」が認められている。

※2 有力IPを有する"ライセンスカンパニー"を目指して、日本のコンテンツで世界に感動を届けることをミッションに、グローバルにサービスを展開する部署。すでにあるIPを最大限に活用すべくビジネスを展開する傍ら、自らもアニメ製作委員会に投資しIP創出を試みるなど、日本のコンテンツの発展をライセンス面から促進している。

渡邉 亮介(わたなべ・りょうすけ)写真左
ゲーム会社にて、アカウントマネージャーとして日本のモバイルゲームの配信事業に従事。2010年にグリー株式会社に入社し、GREE Platformにおける国内外の大手ゲームパブリッシャーとの協業や、新規事業の立ち上げに関わった後、ライセンス事業部部長として事業に参画。

宿輪 浩介(しゅくわ・こうすけ)写真右
複数社での法人営業を経て、2009年よりグリー株式会社に入社。
いくつかの新規事業に関わった後、現部署の前身となるIP獲得チームを立ち上げ、その後、事業化を推進。
2017年よりシニアマネージャーとして、海外・国内パートナーとのモバイルゲーム共同事業とアニメの製作出資事業を担当。

“未来に残る作品を生み出すために”

ーーグリーにおけるライセンス事業は、どのような経緯でスタートしましたか?


渡邉

渡邉:ライセンス事業部の前身は、ライセンス獲得を行っていた機能部門でした。グリーが自社でゲームを作り、配信していく中で、また、IPを元にした事業展開をいくつか進めていく中で、やっぱり「より深くIPのビジネスに携わりたい…」という思いが高まってきたんです。そこで、IPの創出に関りながら、それまでグリーがお世話になっていたIPに関連する事業をさらに拡大するために、2015年に事業部へ切り替えました。

ーー事業部に切り替える、具体的なきっかけはあったのでしょうか?


渡邉

渡邉:「火影忍者-忍者大师」(※3)という「NARUTO」のゲームタイトルを作ったことが大きかったです。中国のパブリッシャーと、IPを軸に協業した初めての案件でした。それまでもグリーは、ライセンスをお借りしながら、内製、外製問わず幅広くゲーム事業を展開してきたのですが、中国で開発から配信までを行うことによって、IPの持つ事業の可能性、そして何よりそのIPを心待ちにしてくれているユーザーさまのすそ野が大きく広がっていくことを実感しました。これをきっかけに、中国を中心として、国内外のさまざまな会社との共同事業でゲームを作るという流れが加速していったんです。
さまざまな試行錯誤を繰り返してきましたが、今ではIPを活用し、ゲームの現地開発から配信を行うに至るまで、きちんとした体制が確立できていると思います。

ーー現在は、グリー自体がIPの創出に関わるという流れも加速してきましたね。


渡邉

渡邉:先程お話ししたように、さまざまなIPをお借りしてゲームを作るスタイルは、試行錯誤をしながらもグリーの血肉になっているものだと思います。でも、ふと気づいたんです。IPはお借りするだけじゃなく、創出にも関わったほうがいいのではないかと。そこで現在では、アニメ製作に出資することにも、積極的に取り組んでいます。
その取り組みの何が良いかといえば、グリーがこれまでにやり続けてきた事業の経験を、すべていかせるということです。自社でゲームを作るだけではなく、関わる権利をさまざまな手段で事業化することができますから。なので、作品自体を作るクリエイターの皆さんに対して、私たちはその展開を広げることによって事業面で貢献できればうれしいと思っています。
10年、20年と未来に残るようなIP創出に関わり、世界中で感動を生み続ける。それがこの事業部で実現できれば、すばらしいと思っています。


宿輪

宿輪:ライセンス事業部の特徴は、アニメーションとビジネス・デベロップメント(※4)の掛け合わせで成長してきたことです。まずアニメというIPを軸にして、そこからビジネスを作っていく。アニメ製作に携わることと、それをビジネス展開させていくことはどちらも非常にやりがいがあります。そして、IPビジネスの魅力は、市場とユーザーさまへのインパクトがともに大きく、しかもその両方を常に兼ね備えているところです。IPの創出に関わることで、さらにインパクトのあるビジネスにすることができると私は考えています。

ーー現在は、IPの創出と、お借りしているIPの活用という、2つの柱があるということですね。


渡邉

渡邉:グループ全体でグリーは、「グリーが創出に関わるIP」と「お借りしているIP」、両方のケースに関わっている会社です。そのメリットは、お借りしてきたさまざまなIPを活用することで得た経験が、そのままもう一方のIPのビジネスにもいかせるという点です。
様々なIPのビジネスに関わらせていただいた立場であれば、「どういう形ならライセンスインしていただけるか?」ということに配慮できるので、その点はグリーならではのことです。だから、グリーの現在の立ち位置は、非常に良いバランスなのではないかと思います。

※3 「NARUTO」のゲームタイトル「火影忍者-忍者大师」

※4 サービスや商品の価値を見いだし、事業やビジネスを新規開発していく職種のこと。組織と、その組織外のものを結んで長期的なビジネスへと発展させていく役割を担う。資本提携や業務提携、事業開発などに従事する。

“優先すべきは感動を届けること”

ーー直近の中国との共同事業という意味では、グリーとOurpalm(アワパーム)(※5)が手掛けた「ワンパンマン:最強の男(現地タイトル「一拳超人:最强之男」)」(※6)が非常に大きなプロジェクトとなりましたね。


宿輪

宿輪:そうですね、大きなプロジェクトだけに、実現に至るまでには想像以上の時間が必要でした。IPを保有する製作者サイドも、中国の開発サイドも、ものづくりに対する妥協のない姿勢や、作品にかける情熱には驚くべきものがありました。しかし、そのプロセスや考え方には、文化が関係するのか大きな違いがあったんです。
その溝を埋めるために、とにかく時間をかけて、お互いの考えをすり合わせながら慎重に進めていきました。結果的に、いい作品を作るという共通のゴールを達成するまでに3年半かかりましたが、今では必要な時間だったと思えます。

ーー中国とのパートナーシップは、通常のスキームとは異なるアプローチも必要なんですね。


宿輪

宿輪:そうですね。日本と中国では、カルチャーや概念が根本的に異なるという点が、想像以上に大きな壁になりました。「日本のアニメをゲーム化する」というオペレーションは、まだまだ中国ではなじみのないものです。それを理解してもらうためには、日本の常識に沿った説明をしているだけでは不十分で、日本人がそう考える理由から説明し、背景の理解から一つひとつすり合わせていく必要があったので、どうしても時間がかかりました。
その一方で、中国に関してこのプロジェクトを通じて実感できたこともあるんです。それは、モバイルゲームの分野において、中国のデベロップメント能力が世界でもトップクラスにあり、それが揺るぎない事実だということです。中国との共同事業によって、可能性を拡大するということは、たとえ時間がかかったとしても、ライセンス事業においては重要な戦略になっていますね。


渡邉

渡邉:今でこそ、中国のデベロップメント能力の高さは日本でも理解されていますが、4年前だと、「そうなの?」と疑問を持たれることも多かったんです。当時としては珍しいケースだったかもしれません。

ーー「ワンパンマン:最強の男」については、日本のIPを使用したゲームが、まず海外でリリースされたということにも驚きました。


宿輪

宿輪:「日本のアニメ作品は日本での配信を最初にすべき」「日本のユーザーを第一に」という考え方があることも理解できます。
ただ、その上で製作委員会やファンの皆さまが、現在の状況を受け入れてくださっていることには、ただただ感謝の気持ちしかありません。
ユーザーの皆さまが一番喜ぶことは何かということを突き詰めていけば、おもしろいゲームを作ることに尽きると思います。その考えに沿っていえば、国という枠に捕らわれる必要はなく、優秀なデベロッパーと組んでゲームを作るということこそが重要です。まずは、パートナーが所属する国でリリースを行ってから、その他の市場に合わせたカスタマイズをしていくという動きは、今後増えていくと考えています。

※5 ゲーム開発会社Ourpalm(アワパーム)。本社は中国北京にある。

※6 ワンパンマン:最強の男(現地タイトル「一拳超人:最强之男」)

“継続することが理想を実現する”

ーー中国との共同事業で得られた経験は、ライセンス事業部にとって大きな財産ですね。


宿輪

宿輪:そうですね。日本国内だけで完結するビジネスでは、得られなかった経験だと思います。中国のマーケットでリリースされる瞬間まで、正直、中国の皆さまに受け入れられるのか不安でした。でも、その不安を感じた分、リリース後のランキングの動きや、速報で結果が良いことがわかったときの感動は、とても大きかったです!


渡邉

渡邉:しかも1日、1時間、1分単位で、日本ではなかなか見られない数値で、利用者数や売上が変動していきましたから。こういう機会に出会えるのは、ゲームならではのおもしろさだと思います。また、これだけの成果や高揚感をダイレクトに感じさせてくれたのは、この仕事ならではですね。

ーーそこに、ライセンス事業の醍醐味を感じますね。


渡邉

渡邉:ライセンス事業のおもしろいところは、国境を容易に越えて、世界中の人たちへ作品を届けられるということです。
プロジェクトを進めている段階では、いろいろな仕事やストレスに追われてついつい忘れがちなのですが、「なぜライセンス事業をやっているのか?」という質問に対する答えの根幹は、ここにあると思います。
直接ではなくても、私たちが関わった作品によって、たくさんの人へ感動を届けることができる。それは、ほかの何ものにも代え難い魅力です。「ワンパンマン」でいえば、中国で数百万という大変多くのユーザーさまに評価していただいた上で、いよいよ日本でのリリースとなるわけですから、期待せずにはいられません!

ーーライセンス事業部の展望について聞かせてください。


宿輪

宿輪:ライセンス事業部は、影響力の大きいビジネスに関わることができる部署です。市場へ与えるインパクトの大きさは魅力的ですし、ポジティブ・ネガティブも含めたさまざまなユーザーさまからの声も受け取ることができます。人の感情、もっといえば人生にも影響を与えることができる仕事だと思います。
グリーは、基本的にものづくりの会社なので、まずゲーム開発に関わる部署が中心になりやすいです。一方、ライセンス事業部は非常に珍しい部署で、ビジネスを作る事業開発職のみで構成されています。
まだまだマイナーな組織ですが、4年前に事業化してからというもの、大きく成長を遂げています。


渡邉

渡邉:事業部としての共通の意識でいえば、「日本のコンテンツで世界に感動を届ける」ということに尽きると思います。それは映像でもゲームでも、どんな形のものでも構わないと思っています。それを成し遂げるために、IP創出に関わっていく。そして、お借りしたIPでもビジネスを実現していく。
最終的にグリーとして、「このIPに関わらせていただいて良かった」と思えるものをライセンス事業部の中で作り出したいですね。それが実現できたときに初めて、感動を届けるという意味でも、事業的な成果という意味でも、成功したと言えると思います。
まずはその実現を目指して、引き続きしっかりとビジネスを着実に続けていく。それが成功への何よりの近道です。次にどんなIPが社会へインパクトを与えるかは、誰にもわかりません。ビジネスをやり続けていくことでしか、本当の答えにはたどり着けないと思っています。

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