株式会社WFSが提供する『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下、『アナデン』)は、スマートフォン向けシングルプレイ専用超大作RPGとしてリリース以降多くのファンに親しまれています。同作は2020年12月17日より、バンダイナムコエンターテインメントの人気タイトル『テイルズ オブ』シリーズとの無期限コラボクエスト「光陰の尾、四天の星々~Tales of Chronographia~」を全世界同時に配信開始しました。4月で4周年を迎える『アナデン』ですが、ひたすら突き進み続ける『アナデン』チームの皆さんに、改めて『テイルズ オブ』シリーズとのコラボを実現させた背景や『アナデン』に対する想いを聞きました。
森下:株式会社WFS Business Development部 ビジネスディベロップメントスペシャリスト
コラボに関わる外部パートナーさまとの折衝全般を担当。
千葉:株式会社WFS Game Designチーム マネージャー
今回コラボのリーダーとして企画や仕様の方針決め、進行管理を担当。
神谷:株式会社WFS Game Designチーム マネージャー
今回コラボの仕様の多くと実装の取りまとめを担当。
佐藤:株式会社WFS Artチーム
3頭身キャラクター、グッズイラストを担当。
『テイルズ オブ』シリーズを愛する社内グループが企画を後押し
ーー今回は『アナデン』にとって2タイトル目となるコラボクエストですが、どのようにして新たなコラボが決まったのでしょうか。
森下:前回の『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』とのコラボが大変好評をいただき、次の企画として社内から熱い希望が上がったのが『テイルズ オブ』シリーズとのコラボでした。特にアートチームにはディレクターを始め同作品ファンが多く、以前からコラボを望む声があったんです。『テイルズ オブ』シリーズはファンタジー世界をベースにした歴史あるRPGタイトルであり、『アナデン』とユーザー層の親和性も高いと考えました。バンダイナムコエンターテインメントのご担当の方も『アナデン』をプレイしてくださっていたこともあり、提案に対する反応は前向きでした。
ーー『テイルズ オブ』シリーズは25周年を迎える節目のタイミングでしたね。
佐藤:アートチームの他にも、エンジニアやスクリプト、海外の翻訳メンバーにも長年『テイルズ オブ』シリーズを追いかけているファンがいるので、企画が立ち上がる前からグループチャットでコラボの夢を語り合っていましたね。もし『テイルズ オブ』シリーズを『アナデン』で表現するなら、と3頭身キャラクターへ落とし込んだ時のイメージや、あのキャラクターが出演できるならこんなことができるんじゃないかなど、出てきたアイデアをまとめて内部への展開用に企画書を作っていました。
森下:コラボ企画を進めていくにあたり、一番参考にさせてもらったのは佐藤さんがまとめていた企画書でした。各タイトルの魅力に始まりBGMやミニゲームに至るまで、シリーズへの愛がこれでもかというぐらいに書かれており圧倒されましたね(笑)。クリエイターにこれ程の熱量があるのなら、絶対に良いコラボが作りきれると確信し、先方にも自信を持って企画を提案できました。
千葉:コラボ企画が決まり、実装したい機能や入れるべき要素について社内でアンケートを取るとどんどん意見が寄せられました。今回は『テイルズ オブ』シリーズ全体とのコラボなので、シリーズに通貫する要素や特徴を捉え、かつ『アナデン』ならではの形に落とし込めるものを考えました。結果的に、大きな特徴でもある主題歌付きのオープニングアニメーションを制作し、目玉となる新機能としては「秘奥義」「スキット」「料理」の3つを実装しました。他にもプレイしたお客さまが「これは!」と思ってもらえるような要素をできる限り実装しています。
『アナデン』と『テイルズ オブ』シリーズ両方の魅力を活かす新機能
ーー実装した機能の中で、特に苦労したものはありますか?
神谷:「スキット」は特に大変でした。正面を向いたキャラクター達が日常会話やシリアスな話をフルボイスで展開するシステムですが、絵としてもストーリーとしても新たな要素でした。アートチームは『アナデン』のイラストテイストや塗りはそのままに、「スキット」ならではの書き下ろしや、キャラクターがまばたきをしたり口を開閉するアニメのような切り替えパターンをバランス良く追加しました。一方でシナリオチームは、自分たちの案と社内から募ったアイデアを集約し、キャラクターの魅力が伝わるシナリオを40本ほど作成しました。フルボイスも初実装なので、絵を声に合わせて細かく切り替える仕組みづくりなど、エンジニア、サウンド、シナリオ、スクリプターがそれぞれ知恵を絞りながら試行錯誤しました。
千葉:今回のコラボから新しく始めてくださったお客さまと、既に遊んでくださっているお客さまの双方がコラボコンテンツを楽しんで下さることが重要なため、導入した要素は『アナデン』の世界観やシステムにきちんと「落とし込む」ことを必須要件としました。スキットのイラストも同様に、この方針を守ることがとても苦労した点であり、こだわった点です。
神谷:新機能以外にも、工夫次第で『アナデン』に合わせられるものは全力で落とし込みました。例えば『テイルズ オブ ファンタジア』のミニゲーム「マッハ少年」は、コンシューマー版ではゲーム機のコントローラーを使ってキャラの位置どりを細かく変えながら遊びます。スマホで同様の操作は難しいので、コラボバージョンではチェックポイントを素早く回るルート攻略の遊びに昇華させています。バトルで勝利した時にキャラ同士が声を掛け合う「掛け合いボイス」も、「これぞテイルズ!」と思えるようにさじ加減を考えて導入しました。キャラ同士のテンポの良い掛け合いが、バトル後に上手くはまっていると思います。
千葉:その他キャラクターのイラストやモーションにおいてもチーム内で監修会を行い、佐藤さんを筆頭に『テイルズ オブ』に詳しいメンバーが意見を出してそのキャラらしさを実現させています。
『アナデン』に対する愛はもちろんのこと『テイルズ オブ』に対しても愛と理解の深いメンバーがいたからこそ実現したコラボだったと思っています。
『テイルズ オブ』シリーズへそれぞれが抱く思い入れと情熱
ーーオープニングアニメーションや主題歌はどのように進行したのでしょうか。
森下:アニメーション制作のProduction I.Gさまと主題歌のDEENさんのタイアップは、過去の『テイルズ オブ』シリーズでお馴染みの組み合わせです。実はコラボ企画がスタートしたのが去年の4〜5月にかけた緊急事態宣言下だったのもあり、あらゆる進行が難しくスケジュールも非常にタイトな状況でしたが、主題歌付きのオープニングアニメーションは『テイルズ オブ』シリーズらしさを表現する大事なポイントの1つなので、本コラボでも何としても実現したいと説明させていただいたところ、「『テイルズ オブ』シリーズならぜひ」と引き受けてくださいました。
千葉:しかし、アニメーションを作るためには、合わせる音楽が先に必要なため、より厳しいスケジュールでDEENさんに制作を依頼せざるを得ないとわかりました。失礼を承知で依頼したところすごい速さでデモ音源を送ってくださって。しかもイメージ通りの曲で、仮歌まで入っていました。主題歌はぜひDEENさんに、というチームの強い希望もあり諦めずに打診をして本当に良かったと思っています。特に佐藤さんの絶対にDEENさんに、という要望が強かったです(笑)。
ーー関係者全員の思い入れが本当に強かったんですね。
森下:歴史が長いぶん、関係者の方々には『テイルズ オブ』シリーズへの思い入れや思い出が語りつくせないほどあります。そういったお話を聞くたびに、自分たちもこのコラボをより良いものに仕上げて、シリーズファンの期待を超えたいという気持ちが強まりましたね。
佐藤:自分が子供のころに親しんだRPGのような、自分だけの世界を大事にするシングルプレイ専用スマートフォンRPGの先駆けである『アナデン』の制作に関われたことを嬉しく思っております。そんな大切な『アナデン』と大好きな『テイルズ オブ』シリーズがこんなに良い形でコラボできたことに感極まって、主題歌付きのオープニングアニメーションを見たときは少し泣いてしまいましたね(笑)。
独自性の高い『アナデン』チームならではのコラボ展開力
ーーコラボ配信開始後のユーザーさまの反応や、ご自身の感想はいかがでしたか?
千葉:オープニングアニメーションへの反響が大きかったですね。『アナデン』のファンの方々もアルド、サイラス、エイミがアニメとして生き生きと動く姿に喜んでくれたようでした。
佐藤:ユーザーの皆さまにも大変たくさんのご感想をいただき、頑張った甲斐があったと思えました。私は3頭身キャラクターを始め、グッズやコラボイラストの書き下ろしを担当しましたが、『アナデン』のテイストで『テイルズ オブ』シリーズのキャラを書き起こす際は、双方のファンの方々に、どうやったら喜んでいただけるかを考えながら制作しました。また、今回は新しい試みの1つとして、Webショップ以外に外部の実店舗でもキャラクターグッズの販売を予定しており、先行して予約フライヤーを設置させていただいたのですが、「こんなところで『アナデン』キャラに会えた」という喜びの声も寄せられて嬉しくなりましたね。
神谷:『アナデン』チームはゲーム愛が強くてこだわり抜くタイプの人が多いという特徴があります。そのこだわりを各方面で取りまとめ、ストーリーも面白く新しいプレイ体験も豊富で、まとまりの良い高クオリティなクエストを全力で作れたという感覚があります。
森下:RPGらしさを追求し、細部まで徹底的にこだわりぬくクリエイター側の姿勢がファンの方々にも響いたのではないでしょうか。『テイルズ オブ』シリーズのファンに『アナデン』を好きになってもらい、『アナデン』ファンにもコラボならではの体験を楽しんでもらいたい、という目標は達成できたと思います。
ーー今後も周年に向けていろいろな施策があると思いますが、今後の意気込みを教えてください!
千葉:お問い合わせなどで届くお客さまからのご意見やご要望に目を通していますが、今後も良い意味で期待を裏切るようなものをお届けしていきたいです。型にはまらず、「これ以上ない」と思えるラインを越えるまでこだわり抜くことができるのがアナデンチームの良さだと思います。これからも「こういう形なら喜んでもらえるのでは」を考え抜いて、最善の形にしていきたいです。
森下:国内海外問わず、もっともっとたくさんの方に『アナデン』を知ってもらいたいと考えています。ビジネスディベロップメント担当として、クリエイターのこだわりが詰まった『アナデン』だからこそ実現できる企画を、この先も色んなパートナーさまと一緒に形にしていきたいです。
佐藤:ずっと遊んでくださっているユーザーさま、コラボで知り始めてくださったユーザーさま、いつも本当にありがとうございます。チーム一丸となって、皆さまに愛される最高のゲームにしていきます。もちろんゲームだけでなく、グッズや色々な企画を皆さまと共に楽しみながら共有できたら嬉しいです。今後とも『アナデン』をどうぞよろしくお願いいたします。
神谷:お客さまのご声援を糧に、これからも『アナデン』はどんどん進化し続けます。今後も色々な企画を用意していきますので、楽しみにしていてくださいね。