ゲーム事業は7月1日よりゲーム・アニメ事業として新組織に生まれ変わり、それに先駆けて、新しい取り組みとして3社初の合同勉強会を社内限定で5月31日に開催しました。イベント名はWFS、グリーエンターテインメント、ポケラボとそれぞれ個性豊かな作品を生み続けている3社の頭文字を取った『WEP-DESIGNPARTY』(W=WFS E=グリーエンターテインメント P=ポケラボ)。各社それぞれテーマに沿った代表者が登壇し、最新のアートの事例を共有することで成功のノウハウや、失敗談など横の連携を強めるべく開催されたこのイベント。今回はそのイベントの仕掛け人に集まっていただき、開催に至った背景や第1回の手応え、今後の展望などについてお話を聞きました。
福田:グリーエンターテインメント株式会社 / 開発本部 / デザイン部 / デザイン4グループ シニアマネージャー
社内の2Dアニメーション全般を担当し、現在開発中である新規開発中タイトルのデザインチームを管轄している。マイブームはお酒とさくらんぼ。
山本:株式会社WFS / Studio本部 / Studio 2部 / Art3グループ シニアマネージャー
Art3グループとプロダクトの3D部門のマネジメントとして、3Dキャラクターのアウトソース窓口を担当。趣味は料理で、オンライン業務の中、ランチの自作を楽しみとしている。
小川:株式会社ポケラボ / ゲーム事業本部 / クリエイティブ部 / アートグループ / アニメーションチーム
マーケティングやアプリ内で使用しているIP内の映像業務を担当。趣味は謎解き系ゲームや他社のデザインを見ること。
詹(セン):グリーエンターテインメント株式会社 / ゲームスタジオ事業本部 / スタートアップ部 / Deep Diveデザイン1チーム
2021年にグリーエンターテインメントに入社し、ゲームのUIデザイン開発を担当している。マイブームはインディーズゲームをプレイすること。(1日16本買うことも)
担当者間で行っていた情報共有をゲーム・アニメ事業本部全体に広げる場をつくりたかった
ーー3社合同勉強会を開催しようと考えたきっかけを教えてください。
福田:グリーエンターテインメント(以下、エンタ)で新規開発を進める中で、ポケラボや WFSに個別に話を聞くことが多かったのですが、情報が担当者間の限定的な範囲に留まりがちでした。なので、事業本部内を横断してもっと多くの人が話を聞ける場をつくり、広く情報共有を図りたいと思ったんです。また、エンタは昨年の7月に設立したばかりで、これまで話を聞く立場に回ることが多かったのですが、ようやく1タイトルリリースすることができたので何か提供したいと考え、合同の勉強会を思い立ちました。
ーー福田さんが発起人ということですが、主催メンバーはどのように選任されたのですか?
福田:各社の部長に合同勉強会を実施したいという相談をしたところ快く了承を得られたので、運営スタッフも各社1名ずつ選任していただきました。
小川:上長に声をかけられたとき、初めは私でいいのかな? と思いました。私はマーケティングやアプリ内で使用しているIPの映像業務の担当なので、直接、ゲームの開発に携わっているスタッフの方が適任だと思ったんです。でも、 クリエイティブやデザイナーとの橋渡しができるような会にしていきたいということだったので、それならと思って引き受けました。
詹:私も、初めは戸惑いました。ゲーム開発のデザイン部分を担当しているのですが、入社してまだ1年経っていないので、会社の代表として参加することは不安だったんです。でも、上長から「勉強になるから」と言われ、他の方と交流するチャンスでもあるので、積極的に関わっていこうと思うようになりました。
山本:僕はこの勉強会について、最初に打診された立場でもあるのですが、ちょっと勘違いをして登壇者を推薦してしまったんですよね。それで、改めて考えて、WFSから3Dプロダクトがいくつか出た後で、シニアマネージャーという立場上、エンタやポケラボから質問を受けることも多かったので、自分が適任だと思い参加させてもらいました。
ーーいつ頃から、どのような形で準備を進めてこられたのでしょう。
福田:今年の3~5月上旬で企画と告知などの準備をして、5月の3週目にリハーサル、最終週に開催という、大まかなマイルストーンは作っていたので、3月1週目のキックオフの時に皆さんにお伝えしました。そこから、打ち合わせは毎週金曜日に30分間と時間を決めて行ってきました。ずっとオンラインでしたけど、すごくスムーズでしたよね。
山本:福田さんがたたき台を作ってくれていたので、毎回テーマがはっきりしていて、「これについてどう思う」という会議進行で僕らも意見を言いやすかったですね。
ーー『WEP-DESIGNPARTY』という名称も、4人の話し合いで決められたのですか?
福田:単発で終わらせたくなかったのと、「合同勉強会」というのはちょっと堅苦しいので名前を決めようということになり、意見を持ち寄った時に「集まり」という意味があるといいねという話になったんですよね。
山本:そう、それで確か詹さんが言った単語をパーティーと聞き間違えたんだよね。でも、 パーティーっていわゆるお祭り的な意味のほかに党派の意味もあるので、「DESIGNPARTY」って、いいよねということになったんじゃなかったかな。
福田:そうそう! RPGでも使われる言葉だからすごくしっくりきて、全員一致でしたね。この名称が決まったことで、登壇者の背景などもゲームっぽいデザインにしようというアイデアも出てきて、すごくきれいに収まったんです。
予想以上だった注目度の高さと、登壇者の真剣さ
ーー各社の登壇者は、どのように人選されたのでしょう。
福田:1回目ということもあり、まずは新規開発におけるナレッジ共有にフォーカスし、各社の強みや独自性がわかる内容にしたいと考えていたので、3人から「うちの会社ならこういう話ができそう」という意見をもらい、どなたにお願いするかは各社にお任せしていました。
山本:WFSでは、最近よく聞かれる内容も、それを語るにふさわしいスタッフもすぐに何人か思い浮かびました。社内の勉強会も行っているのでそちらとも調整して決めたのですが、CEDEC(*)を最終ゴールとして、そこに至るまでにいろいろな発表の機会をセッティングしていて、今回は社内勉強会とは異なる舞台で、とてもいい機会を得られました。
小川:ポケラボは昨年のCEDECで『アサルトリリィ Last Bullet』のグラフィックについて講演をしていて、それを社内向けにもっと深掘りした内容で話して欲しいという要望があったので、そこにフォーカスして話ができる人ということで、開発当時のアートディレクターにお願いをしました。
詹:私は福田さんにもサポートしてもらいながら候補者を絞り込んでいったのですが、エンタの強みとか、特徴的な部分というのはリアルIPを使ったゲーム開発だと思い、そこをテーマに検討していきました。
福田:最終的に、デザインとアニメーション、2つの視点でリアルIPの話をしてもらおうと考え、それぞれディレクションを担当しているスタッフに依頼し、2名でエントリーしました。
ーー開催を告知した際の、周囲の反応はいかがでしたか?
山本:とても良かったです。特にベテラン、上層部はすぐに「いいね」を押してくれて、3社合同開催という試みを高く評価してもらえたようです。
小川:ポケラボでもそうでした。社内ではまさに新規開発のタイミングで、過去のプロダクトにはない知見を必要としている人も多いので、これを機会に情報交換がもっと活発化するのではないかという、期待感を感じました。
詹:エンタでも、いろいろな職種の人が関心を持ってくれましたよね。
福田:エンジニアからは「どんな規模でやるの?」「私も参加できる?」といった質問がありましたし、ほかの職掌のスタッフの間でも「こういうのやるんだ」「面白そう」といった感じで、予想外の広がりがありました。皆、同じゲーム・アニメ事業本部各社の取り組みに関心があるんだなと改めて感じました。
山本:そもそもお互いの会社が何をやっているのか、意外と知らないことが多いですよね。ある程度のレイヤーになると情報が入ってきますが、それでも詳細はわからないですし、現場レベルの情報が共有できる機会は限られるので、関心は集まりましたね。
ーー開催時の様子はいかがでしたか?
福田:事前に300人くらいにアナウンスして、当日は最大で約270人くらいの視聴がありました。そこまでは予想していなかったので、ちょっと驚きました。
詹:Zoomのチャットの会話も盛り上がりましたよね。登壇者の「要望があれば、次回は…」という発言に対して、即座に「聞きたい」「聞きたい」という反応がたくさんあって。それを見て、「2回目、3回目は確定だな」と思いました。
山本:登壇者もチャットは見ていたと思うし、視聴者もカメラをオンにしている人が多くて、聞き手の反応が見えたのは良かったと思います。WFSの登壇者からは、「すごく手応えを感じたし、やってよかった。次があるなら、ぜひ参加したい」と、とても前向きな言葉をもらいました。
詹:エンタは3社の中で最も若い会社なので、いろいろな技術を吸収していきたいという背景があり、登壇者も「2社の発表内容を聞いてすごく勉強になった。自分たちの発表内容はまだ十分とは言えないけど、同じ場に立てて良かった」と話していました。
小川:ポケラボで登壇した方からは、結構、反省点が挙げられました。リハーサルにもっと力を入れたい、過去にCEDECで登壇した方に、本番前に発表を見てもらって意見を聞きたい、とか。登壇するからには良いものを見せようと真剣に取り組んでくれて、こうした意見も次回に活かしたいと思います。
山本:実は、思っていた以上に誰もが真剣でちょっと驚きました。もうちょっと緩いというか、気軽にできるものを想定していたんだけど、僕だけかな?
小川:それは私も感じました。元々高いハードルを設定したつもりはなかったのですが、逆に、そういう受け止め方をしてくれたことが嬉しいです。真剣でありつつ、もっとフランクに交流できる場にしていけたらいいですよね。
定期開催の実現と、グリーグループ内コミュニケーションの活性化にもつなげていく
ーー最後に、今後の『WEP-DESIGNPARTY』の展開や目標を聞かせてください。
福田:登壇者や参加してくれた方がいてこその成功なので、まずは、皆さんに感謝を伝えたいです。今回、登壇者に顔と名前を出してそれぞれの経験を語ってもらうことで、何か困ったことがあった時に「この間、登壇した人に聞いてみよう」といった、コミュニケーションのきっかけになればという思いもあったので、今後は横のつながり強化も意識していきたいですね。そして、7月28日に開催する第2回に続き、その後は3か月に1回、年4回の定期開催にしていきたいと考えています。
小川:マーケとかエンジニアからも同様の会ができないかという声が出てきて、ゲーム・アニメ事業本部内の情報共有に対する意識が高まるきっかけになっていることがうれしいです。きっと、どの職掌もそうだと思うのですが、横のつながりがあることで、チャレンジの後押しになると思うんです。グリーグループや社内で初のチャレンジをして仮にうまくいかなかったとしても、それをグループの知見として残していくことが大事で、この勉強会を通じて、グリーが価値を積み上げることを認めてくれる会社だということを、より浸透させていけたらと思います。
詹:初めは、WFSやポケラボの方と一緒に活動することを恐れ多いと思っていましたが、仲間意識も生まれたし、とても良い経験ができて、感謝の気持ちでいっぱいです。勉強会を通じて各社の技術交流が進むと思いますし、今後は視聴者同士の交流ができるような環境がつくれたらいいなと思っています。
山本:そうですよね。詹さんとは画面越しでしか会っていないけれど、何かあればまず聞いてみようと思う存在になっていて、どういう形であれ接点を持つ機会をつくることが大事だと思うんです。今後については、エンタやポケラボから個別に同じような問い合わせが来ることが多いので、そのあたりをしっかり共有できるようにしていこうと思います。速度感は落ちるかもしれないけど、どんなテーマがいいかリクエストも募りたいですね。関心の高いテーマじゃないと参加率も伸びないし、登壇者のやりがいにもつながると思うので。
福田:やりたいことはいろいろあるので、皆でがんばっていきましょう。
山本:運営スタッフや、登壇希望者も募集したいですね。
福田:そうですね。ぜひ、お待ちしています!
一同:よろしくお願いします!
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