「成長」し続ける新卒入社社員の新たな挑戦

グリーグループの新会社、 QUANT株式会社が2023年1月1日に始動しました。Glossom株式会社が展開していたソーシャルコマース事業を子会社化。代表取締役社長には、グリー株式会社に新卒で入社して9年目の山﨑陽平さんが就任しました。今回のインタビューでは山﨑さんに社長就任の経緯や、事業の展望などを伺いました。

山﨑陽平:QUANT株式会社代表取締役社長
慶應義塾大学卒業後、2014年に新卒でグリー入社。Glossom株式会社デジタル広告などの営業を経て、2016年4月から新規事業責任者、2018年10月から営業本部長に就任。新規事業としてソーシャルコマース事業を立ち上げ、事業を子会社化したQUANTの代表取締役社長に就任。

苦労は買って出る。人の2倍働いて経験値を積んだ日々

ーーまず初めに、グリーに入社しようと考えたきっかけを教えていただけますか。



山﨑:就職先の選択肢はいくつかあり、その中でも商社を第一志望に就職活動をしていました。最終的には商社とグリーから内定をいただき、どの会社に入社するかはすごく悩みましたね。そんな時、グリーの先輩社員との懇親会があって、話を聞く機会がありました。そこで先輩から、「グリーは年齢関係なく、実力が重視される」と聞き、成長したいという自分自身の気持ちと合っているなと感じました。ある商社の面接で言われた「最低でも10年は修業期間」と対照的で、どちらの環境に身を置くべきかを自分なりに考えた結果、グリーに魅力を感じて入社を決めました。

ーー周りの反応はいかがでしたか。



山﨑:色々な意見をもらいました。その中で今一度自分の気持ちを確かめて、グリーに入社したいという気持ちが強かったので決めました。親世代はIT業界のことをよく知らない方もいらっしゃるので、反対される方も多いですよね。実際、グリーに来てみて、自分の判断は間違っていなかったなと感じています。

ーーQUANTの社長に就任するまで、どのようなポジションを経験してきましたか。



山﨑:入社後は広告事業本部から子会社化されたばかりのGlossomに配属され、最初はデジタル営業を中心に担当してきました。その後、担当していた事業を他社に売却することになり、売却先に出向して事業売却の引き継ぎをする経験もしました。2年目には人の2倍働きたいと考えて、異なる2種類の営業を同時に担当していました。

ーーなぜそのような厳しい環境に身を置いたのですか。



山﨑:逆境に身を置いて、苦労をしてこそ成長ができると考えたからです。また、短絡的ではあるのですが、その当時「イーロン・マスクが週に100時間働いている 」と記事で読んだ際に、自分は凡人なので成長するためにはせめて経験値だけでも人の倍積まなければならないと思ったことも理由の一つです。

ーー二足のわらじの営業は、うまくいったのでしょうか。



山﨑:いやあ、想像以上に厳しくてヘロヘロでしたね(笑)。さまざまな葛藤を抱えたり紆余曲折ありましたが、その経験から学べたことや気付いたことも多くありました。そういった経験があった後に、また新しいチャレンジをさせていただけることになり、3年目の春からは新規事業の責任者になりました。
この新規事業が早期に黒字化して売り上げを伸ばしたことで、5年目には広告まわり全般の営業を統括する営業本部長に抜擢されました。おそらく、上司からは常にギラギラしているように見えていて、「それならやってみろ」という感じで抜擢されたのではないでしょうか。

どこよりも踏み込んだデータ分析で事業を伸ばす

ーーそこからどのような経緯で、QUANTの設立と代表取締役就任にいたったのでしょうか。



山﨑:7年目の2020年からDX事業の本部長を務める一方で、インフルエンサーマーケティングの取り組みを始めました。インフルエンサーを使って、クライアント様のマーケティングに貢献する事業です。2019年頃に競合他社にうまくいっている事例があって、いつか自分でもチャレンジしたいと思っていました。
そんな時、インターネット広告でお取引があったクライアント様とお話する機会があり、インフルエンサーマーケティングを提案させていただきました。そこでテストマーケティングをしたのがQUANTの始まりです。積極的に新しいことに取り組めるのは、グリーの良いところですね。すると、売り上げが順調に伸びていきました。2021年4月から事業部化し、7月にはQUANTをリリースしました。さらに、2022年には前年比で数百%の成長を遂げたことで、子会社化にこぎつけることができたのです。


ーー改めて、QUANTの事業について教えていただけますか。



山﨑:ソーシャルコマース事業の中で、インフルエンサーマーケティングを軸にしています。端的にいうと、YouTube、Instagram、TikTokなどのSNSで情報発信しているインフルエンサーとクライアント様をお繋ぎして、クライアント様の売り上げに貢献するビジネスです。

ーーQUANTになってから、Glossomの事業の一部だったときと変わった点はありますか。



山﨑:以前のインフルエンサーマーケティングは、企業のブランディングやPRが中心でした。企業の商品を手に持ち、写真を撮ってアップする。企業からいただいた広告費からインフルエンサーさんにお支払いするとともに、代理店手数料をいただくビジネスモデルでした。現在、私たちの売り上げの中心になっているのは、完全成果報酬型のビジネスで、アフィリエイトと言われるものです。クライアント様の商品が1個売れるごとに1個に対しての対価をインフルエンサーさんにお支払いし、私たちが代理店手数料をいただきます。
これはまだ新しい市場で、日本国内で始まってから2、3年しか経っていません。成果報酬型でマネタイズをしているインフルエンサーや、取り組んでいるクライアント様もまだ少ないので今後間違いなく伸びると考えています。

ーー競合他社に対しては、どのような強みをもっているのでしょうか。



山﨑:強みとして持っているのが、データ分析を駆使した定量化です。続けて買ってくれるお客様、他の商品も買ってくれるお客様を連れてくるインフルエンサーをデータをもとにクライアント様に提案します。さらに、実行したあともデータを取り続けて、効果が出続けるようにPDCAをまわして運用しています。ここまで踏み込んだデータ分析によって、インフルエンサーマーケティングを行っている企業はほとんどありません。他にも、TikTokの広告とクリエイティブの提案などもしています。

社長として感じるプレッシャーと、グリーグループの安心感

ーーQUANTはスタートしたばかりです。代表取締役社長として、今、どのようなことを感じていますか。



山﨑:月並みですが、期待と不安でいっぱいですね。正直なところ、割合でいえば不安が99%。 Glossomの事業だったころは、グリーという大船団にGlossomという部隊があって、隊長が率いている中で私は一将軍くらいの立ち位置でした。それがQUANTという1船団の船長として船出することになったことで、責任感やプレッシャーが大きくなりましたね。

ーー感じている責任感やプレッシャーは、具体的にはどのようなことでしょうか。



山﨑:社員の皆さん一人ひとりの人生・成長への責任や、成果を出さなければならないプレッシャー、クライアント様やインフルエンサーさんへ貢献していきたいという想いですね。まだ就任したばかりですが、凄まじいものを感じています。その一方で、グリーグループの中での船出なので、安心感もあります。グループとして組織が出来上がっていますし、各セクションとの連携もしやすいので、事業に集中できることは大きいですね。今も色々な面でサポートしていただいています。自分で独立した場合は、同じような状況での船出はできないですからね。

ーー新卒入社9年目で就任したことについては、どのように感じていますか。



山﨑:大きな期待をいただいていると同時に、自分にとっても大きなチャンスをいただいていると感じています。グリーの子会社で社長をやらせてもらっている意義を追求していきたいですね。先ほどもお話しましたが、グリーという大船団のなかで事業に集中できるこの環境を存分に生かしていきたいです。また、私が抜擢された背景には、次世代を担う経営人材の育成という、社としてのテーマもあります。若手がチャレンジすることによって、グリーグループを大きく成長させたいという将来に向けた投資だと思っています。ただ、個人的には、若手社員は私よりももっと早く、子会社の社長に就任できると思っています。競合他社には20代後半で子会社の社長に就任するところもありますし、早いうちに社長に就任する社員はもっと増えた方がいいと強く感じています。
そのためには、私がどこまでやり切れるかが非常に重要です。あわせて、後輩のみなさんに何を残せるのか、どんな経験を伝えることができるのかについても考えていきたいですね。

新しいことに、とことん楽しみながら成長していく

ーーQUANTの事業への思いを聞かせてください。



山﨑:QUANTはミッションに「Enjoy Growth!」を掲げています。楽しみながら成長するということですね。自分が尊敬している先輩方は、年齢を重ねても貪欲に成長を続けたいと思っている方が多いです。そういう方は50代、60代、70代になっても素晴らしい人生を送っています。私自身もそういう人生を歩んでいきたいですし、一緒に働いている後輩たちにも、そんな人生を歩んでもらいたいですね。お金持ちになっても、いい家に住んでも、死ぬときには持っていくことができません。いい後輩を残したり、世の中にとって良い事業を作ったりということが、人生を振り返った時に思い出として残ると思っています。


ーーこれまで、そのように感じる場面があったのでしょうか。



山﨑:プライベートな話になりますが、私は車が大好きです。運転すると気持ちが落ち着きます。極端な話、27歳のときにフェラーリを買いました。2003年製の中古車を買ったのですが、フェラーリはイタリアのからっとした気候に合わせて作られているので、日本のように多湿な気候だとすぐに故障してしまうんです。しかも、部品を取り寄せて、専用の職人に修理をお願いすると、1回の修理に3桁万円もかかりました。サラリーマンでは追いつかない出費です。乗るたびに故障したこともあり、結局10回ほどしか乗らずに売りました。買った以上に高い価格で売れたのが、フェラーリのすごいところです(笑)。でも、それをきっかけに車を買うことはあくまで趣味であって、人生の目的ではないという気持ちになりました。自分の人生の大きな目的は「成長」。本当の意味で人生の目的について考えられるようになったのは、29歳の頃ですね。

ーー最後に、今後の抱負をお聞かせください。



山﨑:大前提、この事業は可能性がすごくあると思っていますし、更にはグリーグループ内の連携も望めます。グリーは多角的にインターネットビジネスを展開していますので、他事業のマーケティングの1つとして、インフルエンサーを活用してサービスを世の中に広めていくことも当然ながらあると思います。そのようなグループ内での横展開もあれば、市場としてもまだまだ可能性があるので、この両軸で伸ばしていきたいと思っています。そして、グリーの強みである圧倒的な強い組織をもとに、QUANTの徹底した定量化やデータ分析を全て掛け合わして、世の中に良いインパクトを出していきたいですね。
これまでの約9年間、逆境に苦しんだこともありましたが、振り返ってみれば楽しかったですね。特に新規事業に取り組む場合は、どんよりした気分でやっているとうまくいかないので、とことん楽しんだ方がいいです。もちろん時には苦しむことや、涙を流すこともありますが、みんなで楽しみながら取り組めば必ず成長に繋がっていきます。これからも「Enjoy Growth!」で楽しみながら、成長していきたいです。

ーーありがとうございました!