【グリーが担うサステナビリティ】千葉大学にて小学生に向けた「誹謗中傷」を考える授業を実施

グリーでは毎年、サステナビリティ活動の一環として、千葉大学教育学部と共同で「教育の情報化」を担う教員の育成を目的とした授業をプロデュースしています。今年度は、大学生が“誹謗中傷”をテーマとした授業を企画。学習用アプリを制作し、千葉大学教育学部附属小学校で実証授業を行いました。大人でも理解が難しい“誹謗中傷”について、児童たちはどこまで理解することができたのでしょうか。
本記事では、授業当日の様子をお届けします。

授業は大学生2チームによって実施。最初にAチームが授業を行いました。アプリの舞台はとある弁護士事務所。授業は、弁護士と一緒に誹謗中傷に関する裁判を経験する“シナリオアドベンチャー形式”で進んでいきます。

依頼者は、謝罪会見がきっかけで、誹謗中傷を受けることとなった女性社長です。児童たちは、被害者・加害者それぞれの立場から「これは誹謗中傷なのか?それとも意見論評なのか?」という問いに向き合います。パソコンを見つめる児童の姿は真剣そのものでした。

選んだ選択肢によってストーリーが変わるため、児童たちはそれぞれのエンディングを確認しながら、そこに至る過程と共に自分なりの意見をまとめます。その後、お互いの意見を発表し合い、クラスメイトの意見を聞くことで、誹謗中傷についてより理解を深めていきました。

続いてBチームの授業。アプリのテーマは動画投稿サイトです。物語は、可愛く着飾った自身の動画を投稿した女の子が、動画に向けられた辛辣なコメントを目にしてしまう場面からスタートします。

難解なテーマに対して児童たちの集中を途切れさせないため、途中、大学生による身振り手振りの寸劇を挟むなど、敢えてデジタル以外のアプローチも取り入れていたのが印象的でした。大学生の渾身の演技に、児童から笑い声があがる場面もあり、和やかな雰囲気で授業が進んでいきます。

その後、児童たちはグループディスカッションを経て、グループ毎に意見を発表し合いました。「悪気がなく、ただ思ったことを言ってしまっただけでも、言われた本人が誹謗中傷だと思えば、それは誹謗中傷になってしまうと思う」などの意見を発表する児童の姿を見て、例え扱いが難しいテーマでも、理解してもらおうとする気持ちや工夫で伝わり、そして話し合えるのだと実感しました。

最後に、本講義の担当教授である、千葉大学教育学部教授の藤川先生よりコメントをいただいておりますのでご紹介します。


藤川先生

藤川先生:千葉大学教育学部の授業「メディアリテラシー教育」では、グリーの皆様の協力をいただきながら、学生がメディアを活用した授業プログラムを開発し、実際に小学校で授業を行っています。今回のテーマは、ネットの誹謗中傷。学生制作のアプリによって、小学生たちが問題の状況を探索する活動を効果的に実現することができました。これからも、新しい時代に求められる教育をデザインする取り組みを進めていきたいと考えています。

大学生の皆さんはプログラミング経験がない状態からのスタートでしたが、アプリを完成させ、児童がそのアプリを活用して学べる授業プランまで作り上げました。途中、教育実習と重なるなど、気持ちや時間に余裕がない場面もある中、両チームとも最後までやりきりました。難しいテーマにも関わらず、児童たちは真剣に、そして楽しみながら授業を受けており、大学生の皆さんの努力が実を結んだ時間であったと感じています。

児童たちがこの先の人生で、もし“誹謗中傷”というテーマに直面した際には、自身や周囲を守ることができる人になって欲しいと切に願います。大学生の皆さん、半年間、本当にお疲れさまでした。