アプリ「REALITY」、グローバル展開を加速させる北米事業チームを発足

ーー北米ライブ配信事業責任者インタビュー

グリーが推進するメタバース事業の一つ、スマートフォン向けメタバース「REALITY」は、累計1,000万DLを突破し、世界63の国と地域で配信されています。このアプリ「REALITY」のグローバル展開を一層加速するため、2023年5月に元Twitch幹部のAnele Andeshmand(アニール・アンデシュマン)さんを北米地域のライブ配信事業責任者として迎えました。
今回、REALITY株式会社(以下「REALITY」)Marketing & Live Streaming事業本部 本部長である水谷さんとAneleさんに、ライブ配信事業のグローバル戦略をテーマに話を伺いました。

水谷 誠也:REALITY株式会社 / Marketing & Live Streaming事業本部 本部長
2011年よりテレビ局にてアニメ等のコンテンツ事業に携わり、2014年にインターネット企業へ出向、動画配信サービスのアニメジャンルの立ち上げに参画。その後、バーチャルキャラクターのプロデュース業務を経て、2018年7月にREALITYに入社。現在は同社の取締役執行役員としてマーケティング領域及びライブ配信事業を管掌している。

Anele Andeshmand(アニール・アンデシュマン):REALITY株式会社 / Marketing & Live Streaming事業本部 / Head of Creator Partnerships, North America
2004年からプロゲーム・eスポーツ業界に携わり、eスポーツの領域でゼネラルマネージャーとして活躍。2013年以降は、ライブストリーミングプラットフォーム「Twitch」でHead of Strategic Partnershipsなどを歴任、配信者のコミュニティを育成し、カスタマーリレーションを担う。プライベートでは家族や友人と過ごす時間を大事にしている。

北米市場における知見を生かし、REALITYのさらなる拡大を目指す

ーーまず初めに、水谷さんが担当されている業務について教えていただけますか。



水谷:アプリ「REALITY」の事業は大きく分けるとアバターとライブ配信から構成されており、私はライブ配信事業全体とマーケティング部門を統括しています。2018年のサービス開始時から色々な役割をしてきて今に至ります。

ーーAneleさん、これまでのご経験とREALITYへの入社の決め手を教えてください。



Anele:Twitchでは10年間にわたってカスタマーリレーションを中心に携わり、最近ではゲームシーンのみならずミュージックシーンにも関わってきました。ゲームやeスポーツについては2004年から経験があります。
REALITYへの入社を決心したのには、大きく2つの理由があります。1つ目はリーダーシップ。リーダーが持っている明確なビジョンに感銘を受けました。次にプロダクトです。アプリ「REALITY」を実際にダウンロードして使ってみましたが、その分かりやすさと使いやすさにとても驚きました。優れたリーダーシップと優れたプロダクトがREALITYにあることが、入社を決めた最も大きなポイントですね。




水谷:Aneleさんには、これまでのご経験を生かし、北米地域のライブ配信事業の責任者としてアプリ「REALITY」のさらなる拡大の為に仲間に加わってもらいました。アプリ「REALITY」のサービスは2018年に日本国内からスタートして、2020年に海外展開を開始、今では世界63の国と地域に12言語で配信しています。現在では1,000万DLを突破していますが、その中でも、特に海外の伸びが著しく、今では8割以上のユーザーが海外、中でも北米のユーザーが最も多くなっています。ただ、海外でのオペレーション構築が充分できているかと言うと決してそうではなく、改善余地がたくさんあると考えています。今後、今以上に海外ユーザーにサービスを受け入れて楽しんでいただくために、まずはユーザーが多い北米のオペレーションのローカライズ化を進めていこうと責任者の採用を進めていました。


ーー北米のユーザーの満足度をより上げていきたいという展望があったんですね。水谷さんは、Aneleさんの入社にどんな期待を持っていますか?



水谷:これまでもユーザーの解像度を高めるために、ユーザーインタビューなどを実施してきました。ただ、細かい部分で本当に必要とするものを届けられているのかどうかは、現地に根付いたローカルチームが1番理解できるものだと考えています。Aneleさんに入社して頂いた理由はまさにその点で、北米市場に知見のあるローカルチームを組成して、オペレーションのローカライズ化と拡大というチャレンジをしたいと考えています。他のライブ配信サービスなどをみても、ローカライズ化を拡大しようとするタイミングで現地拠点を立ち上げて、マーケティングやユーザーサポートを提供している事が多く、やはりオペレーションは各国の事情に精通したメンバーで運営することが大切だと考えています。

私はローカルチームの責任者には、現地のクリエイターと向き合ってきた経験や、クリエイターに対するリスペクトであったり、情熱を持って接することができる人が必要だと常々考えていました。Aneleさんはその理想像にまさにぴったりな人。私たちが海外へ挑戦するにあたって制度として足りていないところがあってもきっと粘り強く取り組んでくれる、そして何より、アプリ「REALITY」に対して「愛」を持って接してくれる、この事が面接を通してとてもよく伝わってきたので、ぜひ入社してほしいと思っていました。



Anele:私はアプリ「REALITY」を使ってみてすぐに好きになりました。いえ、好きというより「愛して」います(笑)。


北米と日本の市場の違い。どのようにユーザーコミュニケーションを進めていくのか

ーーAneleさんからみて、日本市場と北米市場ではどのような違いがありますか?



Anele:日本とアメリカは国土や文化が大きく違いますが、コミュニティを見るととても似通っている部分もあります。最も大きな違いは、北米のライブストリーミング市場が急成長の途上にあり、とても厳しい競争に晒されているということでしょうか。新たな試みを生み出すイノベーティブなクリエイターも次々に登場しており、これまでに無いような新鮮で魅力的なコンテンツが生まれています。
欧米市場では、日本の市場で起きていることを再現、ある意味真似ようとする傾向があり、今最も注目しているのはのは、日本の市場で起きてくる力強いトレンド、それもできるだけ大きな動きをどのようにして北米市場に持ち込むか、という点です。

ーー日本のトレンドの反映も課題の一つなんですね。Aneleさんが、REALITYで大切にしたいことを教えてください。



Anele:私が最も大切だと考えるのは、ユーザーのニーズを注視すること。
真っ先に手掛けたいのは、北米のクリエイターとのダイレクトコミュニケーションを確立することです。彼らからのフィードバックによって、アプリケーションやサービスに何が必要なのかを明確にして使い方をさらに最適化できると考えています。まずは、個々のユーザーとコミュニケーションするところから始めようと思います。
Twitchも他のアプリもそうですが、ユーザーは運営側から直接アクセスされることで、個人的に尊重されていると感じますし、そこに強い関係性が生まれます。
影響力のあるクリエイターがアプリ「REALITY」を楽しんで使ってくれること、そしてそれを見た多くのユーザーが、自分も同じように使いたいと考え、ユーザーの輪が広がっていく。私はそれを北米市場においてユーザー、クリエイターと最初に作り上げたいと思っています。


北米でどのように勝ち進むのか

ーー北米市場での目指す姿を教えてください。



水谷:REALITYは「なりたい自分で、生きていく。」をビジョンとして掲げていて、これは日本に限らず、全世界に共通する普遍的なものだと思っています。自己実現という意味合いもありますし、さまざまな生き方が許容される世の中に変わりつつあるのは、世界的な潮流です。
他にもアバターを使うアプリはいくつもありますし、最近グローバルアプリが当然のように搭載していますが、アプリ「REALITY」のアバターは日本スタイルのキャラクターデザインで、しかもモーションキャプチャーでアバターが自分の分身として動くところの再現性がとても高い。ここは強力な武器になると考えています。
日本のアニメが世界的な人気を得て、日本のVTuberが海外でも人気になっているというところで、日本発のキャラクターコンテンツが海外ユーザーにも受け入れられるような土壌はますます広がっていると思っています。ユーザーがアバターでライブ配信をして、人とコミュニケーションをとって仲良くなったり、クリエイターとして活動したり。日本発のアバターサービスということを武器にして北米市場でそういう状況に持っていくことが、一つの勝ち筋だと思っています。




Anele:そのためには、今日本で起きていることと北米で起きていること、これをシンクロさせて一貫性を持たせることが重要だと思います。このアプリケーションは、誰でも簡単に使えることが最大の魅力だと思いますし、技術に詳しくなくても容易にコンテンツを作ることができ、アバターを動かすことができます。ユーザーが簡単に自分のやりたいことを表現できることがアプリ「REALITY」が選ばれている大きな理由だと思います。人々がどのような体験をしているのかを知ること、そして日本のユーザーが体験していることを北米のユーザーも体験できるようにすることが当面の私の課題です。
また、この課題を達成するために、まず北米のVTuberたちが参加する様々なリアルイベントに参加して積極的に意見交換をしたいと考えています。草の根的なアプローチですね。フォロワーの多い主要クリエイターをターゲットにアプリ「REALITY」を使うことに対するモチベーションを高め、将来的には彼らの活動をマネタイズできるようにしたいです。私はユーザーが他に何もしなくても、ただライブ配信だけで生活できるような収入が得られるようにしたいと考えています。今はまだ難しいように思えるかもしれませんが、私は可能だと信じています。



水谷:クリエイターがマネタイズできるようにすることはとても重要ですね。REALITYにはまだまだ拡大余地があると思います。Aneleさんをサポートするためにも、これまで日本のチームが取り組んできたオペレーションを海外でも転用できるよう、しっかりと取り組んでいきます。国内と海外共同で、ワークフローを作って動いていくようにしたいですね。