ないものをつくろう。
洞窟の暗がりで暮らしていたぼくたちの祖先を
外の世界へと踏み出させたもの。それは探究心だと思う。
この先にはいったい何があるのだろう。
その思いが人間を遠くの地へと駆り立てた。
そうでなければ、人は雲よりも高い山を越えようとしただろうか。
羅針盤もなしに大海に船を漕ぎ出しただろうか。
探究心こそが人間を突き動かす原動力だとぼくたちは思う。
グリーのサービスを立ち上げて間もない頃、一通のメールが届いた。
サービスの存続を危惧するユーザーからのメールだった。
つくり手としての責任を果たすため、ぼくたちは会社の設立を決意した。
希望はあった。しかし、その何倍も不安があった。それでも一歩を踏み出した。
ぼくたちの探究心がその場にとどまることを許さなかった。
世の中を変えられると、本気で信じていた。
それから10年、グリーは前進した。道なき道を歩み続けた。
わずか10帖の仕事場は巨大なオフィスになった。
社員数の面でも、収益の面でも、大きな組織に変貌した。
成長の速度は想像を遥かに超えていた。
それでも、いや、だからこそ思うのだ。
ぼくたちは今でも探究心の可能性を信じているだろうか。
未知を前にしてなお一歩を踏み出す勇気を持ち続けているだろうか。
ぼくたちはいま、道半ばにいる。
まだ世界に大きな影響を与えていないし、残していない。
しかし、失望することはない。
無から新しい価値をつくることこそがぼくたちの仕事なのだから。
さあ、ないものをつくろう。