ユーザーと共に未来を創る。グループシナジーが紡ぐカスタマーサポートの新たな形

REALITY』は、スマホ1台で誰でも自分好みのアバターを作りバーチャルコミュニティに参加できる、バーチャルライブ配信アプリ。2018年8月のリリース以降、「Google Play ベスト オブ 2020」アプリ エンターテイメント部門にて部門賞を受賞するなど、順調に成長を続けていますが、サービス面でも機能面でも常にさらなる進化を追い求めるためには、ユーザーから寄せられる貴重な意見や要望は無視できません。
『REALITY』を提供するREALITY社と、グリーのCustomer & Product Satisfaction部(以下、CPS部)が協力して、これまでにない形でユーザーの声を解析するなど、「ユーザーファースト」の哲学をプロダクトへと昇華させるべく、積極的に新しいチャレンジを行っています。

倉淵倉淵:REALITY株式会社 プラットフォーム事業部 プロダクトチーム マネージャー
バーチャルライブ配信アプリ『REALITY』プロダクトチームのマネージャーとして、プロダクト全体の方針策定を担う。プラットフォームとしてどうあるべきかの指針を定める中で、お問い合わせ対応のルール策定なども担当。

吉田吉田:REALITY株式会社 プラットフォーム事業部 プロダクトチーム
バーチャルライブ配信アプリ『REALITY』のプロダクトマネージャーとして新規機能の開発進行を担う。より良いプロダクトづくりのために、ユーザーインタビューやユーザビリティテストなどのユーザーリサーチも担当。

小野小野:グリー株式会社 Customer & Product Satisfaction部 CSグループ シニアマネージャー
グリーグループに所属する複数のゲームスタジオやREALITY事業のカスタマーサポート(以下、CS)を担うCSグループのシニアマネージャーとして業務の全体を統括。各事業へのリソース配分の管理や、事業を横断したプロジェクトの導入などを行う。

粟津粟津:グリー株式会社 Customer & Product Satisfaction部 CSグループ
CSグループにて、WFSが運営する複数のゲームタイトルや『REALITY』のCSを主に担当。お問い合わせから浮かび上がる不具合などの対応方法をプロダクトの開発チームと連携している。

ユーザーとの独特な関係性とサポート体制

ーープロダクトを運営する上で、ユーザーさまからのフィードバックは欠かせないものになっていると思いますが、『REALITY』の運営チームは、ユーザーさまの声をどのように取り入れていますか?

吉田吉田:プロダクト運営に対するフィードバックというと「お問い合わせフォーム」を思い浮かべる方も多いと思いますが、『REALITY』では、それに加えてDiscordの専用サーバを設けており、運営チームとユーザーさまが一緒により良いプロダクトづくりについて話し合える環境を作っています。また、DJ RIO(REALITY社代表 荒木)の公式TwitterなどSNSに寄せられた声や、配信中についたコメントもチェックしてユーザーさまの意見を取り入れています。

ーーユーザーさまとの接点が多いんですね!どこから声をかけても聞いてくれるような。

吉田吉田:運営チームとユーザーさまの距離が近い、独特な関係性だからできることかもしれませんね。お客さまというよりも、まるで仲間のように気軽でフラットなやりとりをしています。

ーーそのようなカスタマーサポートの体制はどのように生まれたのでしょうか?

倉淵倉淵:『REALITY』の特性上、ユーザーさまの声を直に聞くことができ、かつこちらから発信できる環境があるというのが大きいですね。また、自身が運営チームにいることを隠さずに普段から”いちユーザー”として『REALITY』で視聴や配信を行っている社員が多いので、先ほどの「フラットな関係性」が生まれやすく、結果として独自のサポート体制ができたのかなと思います。
『REALITY』上では運営チームにいようと“REALITY”というコミュニティの一員なので。

吉田吉田:私自身も『REALITY』を使って新しい機能やサービスの反応をリアルタイムで聞き、できることはすぐに対応しています。最近の例では、麻雀ゲームを実装した際に「配信者の手持ち牌が視聴者に見えないと面白くない」というコメントが多かったので、翌日には見られるように仕様を変更しましたね。


「麻雀」ゲーム機能公開時のツイート

ユーザーからのコメントを受け、翌日には仕様変更をリリース

ーーすごい、そんなに早く対応できるんですね。

吉田吉田:全部できるわけではありませんが、頑張ればできることは頑張ります。やっぱり、すぐに対応するとユーザーさまからも「やるじゃん!」みたいな反応がもらえて嬉しいので(笑)。

倉淵倉淵:ユーザーさまの反応やご意見に迅速に対応できる理由として、グリーのCPS部と密に連携できていることも挙げられます。『REALITY』運営チームも、できるだけ多くのユーザーさまの声を聞けるように努力はしていますが、全ての声を私たちだけで追うことは難しいです。グループ会社のさまざまなプロダクトのカスタマーサポートを担うCPS部と連携することで、ユーザーさま一人ひとりの声を取りこぼさない体制ができています。

粟津粟津:まさに今あった通り、私たちCPS部の仕事はユーザーさま全員の声をしっかりとプロダクト運営に生かせるような仕組みづくりのお手伝いをすることです。『REALITY』でも、毎日たくさんのお問い合わせをいただきますが、その全てに目を通すだけでもかなりの時間がかかります。一次応対はカスタマーエクスペリエンス事業を担うグループ会社のExPlayなどと連携して行い、そこで解消しきれないものを私たちが受けて、内容によってREALITY社や関係部署と連携しています。

小野小野:機能を各所に分散しているおかげで、解決難度の高い課題についてはプロダクトの運営チームや法務などと連携することに集中できます。突然大きなトラブルがあってもしっかりと対応できる仕組みが長年かけて構築されているので『REALITY』のような新規事業の立ち上げの際にも役に立つことができたかなと思っています。

ーーグリーグループが持つさまざまなプロダクトを見ているCPS部ですが、『REALITY』のユーザーさまからのお問い合わせに何か特徴はありますか?

粟津粟津:各プロダクトごとにお問い合わせの傾向は異なっていますが、『REALITY』のCSを担当していて驚いたのは、不具合や困ったことのお問い合わせだけでなく、「運営の皆さんありがとう」というような感謝の声がとても多かったことです。
ゲームタイトルにおいても、ストーリーやキャラクターへの思い入れから「大好きです」とか「ありがとう」という声をいただくことはあるのですが、2年以上運営が続いている中で、サービス自体に「ありがとう」という声をいただけることはなかなか無いことだと感じます。それはやっぱり、ユーザーさまにとって『REALITY』が生活の一部になっていることを表しているのかなと。

吉田吉田:そうですね。「『REALITY』で友達がたくさんできました」という方もたくさんいて、生活の一部として大事にしてくださっているのを感じますし、ユーザーさま同士がお互いに気を使いあって、心地いいコミュニティを形成していると感じます。

倉淵倉淵:『REALITY』には、RIOちゃん(代表 荒木)が書いたコミュニティガイドラインがあります。“あらゆる人が人種・性別・外見といった肉体の制約から解放され、「なりたい自分で、生きていく。」ことができるように”という箇所は、まさに会社全体の理念にもなっています。
「他者を受け入れ、多様性を尊重しましょう」「攻撃的な発言や不快な行動は認められません」という意図を、ちゃんと理解して使ってくれているユーザーさまが多いのだと思います。

吉田吉田:海外のユーザーさまが増えた時も、コミュニティガイドラインの重要性を再認識しました。REALITYの社員もコミュニティガイドラインを基本理念として重視して誠実に行動しようとするし、ユーザーさまの多くもそこに共感してくれているのかなと。

『REALITY』を支える信頼と連携

ーー良識のあるユーザーさまが多いとはいえ、トラブルの対策なども大事ですよね。

粟津粟津:はい、そこは私たちも気を使っているところです。CPS部にはソーシャルゲームの運営や『GREE』プラットフォームで培った長年のノウハウがあるので、あらかじめさまざまなリスク想定をして対策を打っています。しかしどれだけ準備していてもユーザーさまの声から気付かされることも多くあります。そういったご要望やご意見には我々の哲学である「ユーザーファースト」の理念を基に、お問い合わせ対応はなるべく流れ作業にせず、アンテナを高めに張って、随時REALITY社と連携・相談しています。

倉淵倉淵:一次応対のExPlayなどとも合わせて連携してもらっているので、私たち運営チームは目の前のプロダクトづくりに集中したり、緊急度の高い課題に即時に対応したりすることができていると感じます。

ーー長年培ってきたカスタマーサポートのノウハウを共有しているCPS部ですが、逆に『REALITY』の運営に関わることで、新しい発見などはありましたか?

小野小野:やはり、『REALITY』運営チームが積極的にユーザーさまと関わる姿勢には学ぶところが多く、CPS部の取り組みにも影響がありました。より良いサービス運営を目指す上で、お問い合わせに来る声だけを集めていて充分なのかという課題を長年抱えていたのですが、『REALITY』運営チームと関わることで、CPS部としても新しい挑戦に踏み切ることができました。

ーー実際にどんな新しい取り組みを行ったのですか?

小野小野:お問い合わせに至っていない方の情報を集める方法として「CSポートフォリオ分析」という、CPS部が今まで培ってきたユーザー分析のノウハウを生かしたアンケート調査と分析を実施しました。ユーザーさまの満足度に対して、各機能やサービスがどのくらい重要なのか、どのくらいリーチしているのか評価して4象限に当てはめ、「重要であり維持しなければいけないもの」あるいは「改善が必要なもの」などを可視化し、優先順位をつけてプロダクト運営チームに報告するというものです。

粟津粟津:私たちから『REALITY』運営チームに提案したところ、こちらからの提案をすぐに受けてアンケートを実施していただきました。『REALITY』運営チームはフットワークがとにかく軽くて、拡大路線でユーザーさまがどんどん増えている時期なので、そうしたライブ感がある時に実施したかったというのもあり、スピード感を持った第一歩を踏み出すことができました。

得られた成果を展開し、グループシナジーを最大化する

ーー『REALITY』の分析結果はどのようなものでしたか?

粟津粟津:アンケート調査を通して、それまであまりお問い合わせをいただくことのなかった項目に対して改善を期待する声が多くあるなど、私たちには見えていなかった声が初めて見えた部分もあり、各施策の相関関係や改善すべき項目の提案を踏まえて報告しました。

倉淵倉淵:分析結果を受けて、特にアバターに対する期待値と満足感が高いということ、またアバターの訴求とUIの分かりやすさをセットで考えることが重要であることが浮き彫りになり、運営方針にも影響がありました。
具体的には、友達追加やTwitter連携の導線にアバターの画像を挿れるなど、ユーザーさまが色々なアバターに触れる機会を増やすために細かなUI変更を実施しました。

CSポートフォリオ分析の結果を受けて、アバター訴求要素を増やすなど細かなUIを変更

倉淵倉淵:個別のお問い合わせへの対応だと掴みにくい、ユーザーさまの全体像や施策同士の相関関係が分かり、方針策定にとても役立ったと思います。

粟津粟津:どのプロダクトもお問い合わせをするユーザーさまは全体の5%にも満たないと言われています。アンケートを実施してみて、これまでの統計が氷山の一角でしかないことを改めて感じました。このことを他のゲーム事業のタイトルにも展開すれば、また新しく開かれる視野があると思い、今回の『REALITY』の事例を活用させていただこうとCPS部内では動いているところです。

小野小野:CPS部はものづくりのチームでないとはいえ、こうした取り組みを重ねて、事業に対する貢献度の高い提言ができる組織になりたいと思っています。
分析結果をもとに、より深いユーザー理解をしていくことも重要ですし、その経験を他の部署にも展開してグリーグループ全体に利益貢献できる形にしていきたい。その点『REALITY』運営チームの考える「ユーザーファースト」はCPS部の理念にも通じていますし、ここまでユーザーさまからフィードバックがもらえるアプリはあまりないので、最大限プロダクトに生かせるよう内部でも勉強し続けています。さらには海外のユーザー分析もできるように、ひとつずつ課題に取り組みたいですね。

ーー今後REALITY社がCPS部とのシナジーで実現したいことはありますか?

倉淵倉淵:UIの不便な点や、ユーザーさまを保護するために必要な機能についてなど数値化が難しい部分は、アンケート等でユーザーさまの声を参考にして改善したいと思っています。まだまだできていないことはたくさんあるので、積極的に取り組んでいきます。

吉田吉田:どんどん海外のユーザーさまが増えてきて、『REALITY』は多国籍なサービスになりつつあります。海外のユーザーさまは日本と違う独自の遊び方をしていて興味深いので、アンケートやインタビューなどで理解を深め、『REALITY』をさらに「なりたい自分で、生きていく。」ことができるサービスにしていきたいです。