2021年7月15日にグリーグループ総会がオンライン配信で実施され、2021年度のMVP受賞者の発表がありました。グリーグループMVPの中でも最も1年間を象徴する行いをした社員/プロジェクトに贈られるCEO賞を獲得したのはバーチャルライブ配信アプリ『REALITY』プロジェクト。
2018年8月にリリースした同アプリは、昨年度国内外で大きく展開し、アクティブ配信者数は約600%も増加。急成長を遂げ、グリーグループの第三の柱として注目される『REALITY』各チームのマネージャーに、受賞までの道のりを聞きました。
倉淵:REALITY株式会社 プラットフォーム事業部 プロダクトグループ シニアマネージャー
2014年 グリー入社。ゲームプランナーを経て、2018年 REALITY社へ異動。現在はバーチャルライブ配信アプリ『REALITY』のプロダクトマネジメント(以下、PM)を担う部署のシニアマネージャーとして、プロダクト全体の方針策定や進行管理の統括を担う。趣味は、朝の挨拶とダンスと犬とあそぶこと。
工藤:REALITY株式会社 プラットフォーム事業部 プロダクトグループ レベニューグロースチーム マネージャー
2019年 グリー入社。『REALITY』の中で開催される配信イベントやガチャのPMを経て、2021年より、販促を担うチームのマネージャーとして、ガチャ施策策定や進行管理を担う。趣味は、ゲーム、旅行、デイキャンプ、研究。
渡邉:REALITY株式会社 プラットフォーム事業部 エンジニアリンググループ シニアマネージャー
2013年 グリー入社。『探検ドリランド』、XR事業開発部を経て、現在は『REALITY』の開発を担うエンジニアグループのシニアマネージャーを担当。限られたリソース内で、多くの機能開発のプロジェクトを回しながら、アプリの品質管理を統括。趣味は、子供にゲーム作ってあげること。
加藤:REALITY株式会社 Bizdev & Marketing部 Marketingチーム マネージャー
2018年 グリー入社。REALITY社の立ち上げ時より公式番組のBizdevを担当し、現在はマーケティングを担うチームのマネージャーとして、国内外のユーザーに向けてウェブのデジタル広告出稿などプロモーションを統括。趣味は、チル。
亀山:REALITY株式会社 プラットフォーム事業部 アートグループ シニアマネージャー
2015年 グリー入社。GREE VR Studioを経て、2018年『REALITY』アプリの立ち上げ時より、ビジュアルを担当するアートチームのマネージャーを務め、2020年よりアートグループのシニアマネージャーとなる。趣味は、マンガやアニメと料理。
ユーザーの心をつかんで離さないガチャの仕掛けとアバターデザイン
ーーCEO賞の受賞おめでとうございます!アクティブ配信者数は前年同期比約600%増加と、昨年度著しい成長があった『REALITY』ですが、1年間を振り返り、どんなところに大きな変化があったのでしょうか。
倉淵:『REALITY』の最たる特徴の一つが「なりたい自分」を表現できるアバターですが、昨年1年間はこのアバターの価値を最大限ユーザーさまに届けることに特に注力してきました。『REALITY』ではガチャを通して、アバターをカスタマイズするためのアイテムを提供していますが、昨年の秋まで、新作のガチャを出すのは月に1本でした。しかし、このペースではどうしてもユーザーさまに多くのアイテムを提供することができません。
工藤:まずは現状よりもガチャの本数を上げるために月2本出すことを目指していましたが、運営の工数も限られているので工夫をする必要がありました。そこで、全てのアセットを新規でつくるのではなく、過去のガチャの復刻をするところから始めました。単純な復刻ではユーザーさまも飽きてしまうので、例えば動物モチーフのものを集めて「アニマルパーティーガチャ」として提案するなど、ワクワクするような新たなパッケージを考えていきました。
倉淵:ユーザーさまに刺さるモチーフを考えていくことにも注力しましたね。グリーには、10年以上前から運営している『アバター』というサービスがありますが、長年の運用でユーザー分析のノウハウが溜まっています。アバターチームのデータを参照したり、担当者に話を聞いたりして、PMとアートチームで、ユーザーさまにとって魅力的なモチーフ選定を行いました。
亀山:『REALITY』のアートチームにも、アバターチームから来たメンバーがいるので、人気のあるモチーフやカラーの傾向などのノウハウを生かしながら、予測を立て、デザインを作っています。アプリごとにターゲットは違っても、人気のモチーフは意外と共通だということがこの1年で分かりました。「絶対にこれは当たる!」と思って出したものは、ほぼ予測通り反響が大きかったです。
工藤:あとはアプリ内での導線の改善も行いました。『REALITY』アプリを起ち上げた最初のホーム画面にガチャのアイコンが表示されるようにしたり、気になるアイテムをすぐに試着が出来るようにしたりと機能改善も加えています。わかりやすい導線設計とともに、ユーザーさまにガチャを回して「アバターをより良くしたい」と思ってもらうための演出・設計も見直しました。
ーーさまざまな打ち手でアバターの価値を感じてもらったことで、ユーザーさまの継続率にも繋がったんですね。ユーザー数を増やす、という点ではプロモーションも重要だと思います。
加藤:プロモーションを進めていく上で、単に新規ユーザーさまを獲得するだけでなく、新しく入っていただいたユーザーさまに、より長くアクティブに活動してもらえることが重要である、ということをチームで話し合いました。
そのために、細かい目標を設け、数値を追って、出稿している媒体や地域などに、その都度最適化をかけていきました。現在『REALITY』では、グリーグループのデータアナリシスチームに協力いただいて、どんなユーザーさまにどんなプロモーションが刺さっているのかなどをデータ化し、毎月モニタリングや検証をして、数値を維持できるよう努めています。
ユーザー数急増にも耐えられる!最善を尽くす各チームの協力体制
ーーさまざまな施策の結果、ユーザー数が急激に増加していますが、この成果の裏側で、システム面への負荷はなかったのでしょうか。
渡邉:実は一時期、『REALITY』ではサーバー費用が圧迫しているという課題がありました。国内のユーザーが順調に伸びていく中で、海外展開の話も上がっていましたので、去年の春から夏にかけて、費用削減のためのサーバーの改修を行いました。費用が削れそうな箇所を20件ほどリストアップして、3〜4カ月で直したのですが、全ての改修が完了したあたりで、海外展開によりユーザー数が急増したので、本当に適切な判断だったなと思います。
ーー優秀なエンジニアが集まっていたからこそ、対応できたというところですね。
渡邉:そうしたメンバーとともに、昨年度は、前半で機能開発に注力し、後半で品質改善に注力した1年でした。品質改善では、アプリの起動時間を短縮するといったような品質を大きく向上させるためのプロジェクトを、エンジニア内で複数立ち上げて実行していきました。
工藤:先に挙げたアプリ内の導線改善ですが、実はかなり大掛かりな開発だったんです。加えて3月末に大型のガチャをリリースするというもう一つの大きな開発の予定も決まっていたので、エンジニアチームとアートチームには、スケジュール的にかなり無理をお願いしてしまいました。
渡邉:『REALITY』の開発において、成長に合わせて必要な機能が大きく変化するため、急な依頼にもなんとか間に合わせるような状況が、時々あってもいいんじゃないかな、と。まあ、そんなに苦労してないです……なんて言うと他のメンバーに怒られるかな(笑)。
ーーそれでいいんですか(笑)。アートチームの皆さんもかなり負荷が高かったかと思いますが。
亀山:やはり大変でしたが、アートチーム内には制作進行の担当者がいて、そのメンバーを中心に進行管理ツールを導入するなどして、誰かが極端に無理をしないと回らないような状況を回避するための体制を整えていました。ですので、スピード感が大切な施策にもなんとか対応することができていると思います。
工藤:こういったように、ユーザーさまにとって必要だと思ったことに対して、実現のためにチームみんなで協力する体制には、本当に感謝しています。結果、この3月末の大型のガチャはユーザーさまから大きな反響をいただくことができました。
信頼と連携があるから生まれた『REALITY』の「攻め」の姿勢
ーー『REALITY』では常に新機能やイベントの開発・改修など多くの案件が同時にあるように見受けられます。日々の業務の中で特に気をつけていることはありますか?
倉淵:習慣的に優先順位をつけることでしょうか。「これはやったほうがいい」ということは日々どんどん生まれてくるのですが、だからこそ時には意志を持って後回しにすることも必要だと思っています。「これは工数が軽いからやっちゃおう」ということはよくある話だと思いますが、例えそれが1日で終わる作業でも、積み重なれば1週間、1カ月になります。その作業は今本当に必要か、ということは常に問い直すようにしています。
工藤:また、自分たちの工数を抑えて最短で目標を達成するために、他のサービスの動向には常に注意を払うようにしていますね。類似した施策を行なっていれば、その効果を第三者として分析評価し、今私たちが行うべき施策かどうかを判断します。
ーー判断して実行をするにも、メンバーやグループ間の信頼や連携なしには動けませんね。
倉淵:『REALITY』は常に全力で「攻め」の姿勢で運営しています。その反面、品質保証や、ユーザーさまからの問い合わせへの対応といった『REALITY』の中の「守り」の部分は、絶対にやらなければならないことですが、どうしても意識から剥がれてしまいがちです。グリーグループではCSやQAチームがグループ横断で密に連携を取りながらプロダクト運営を行っています。こうしたサポートのおかげで私たちREALITYのメンバーは「攻め」の姿勢を貫いていられるので、グループ内での連携には本当に感謝しています。
REALITYが掲げる大切なバリューを、みんなで体現
ーーグリーグループの知見やサポート体制が『REALITY』の成長を支えてきたということでしたが、逆にグリーグループへナレッジを共有しているような事例はありますか?
倉淵:2020年からの海外展開において蓄えられてきた数値やナレッジなどは、他のマーケティングのチームから注目されているように感じていますね。もちろん、随時共有しながら情報交換を行っています。
加藤:『REALITY』のプロモーションが効率よくユーザー獲得に繋がっているということで、ゲーム事業でも『REALITY』アバターをプロモーションに活用しようという話が上がったこともあります。数値的なデータだけでなく『REALITY』アバターというモチーフ自体に注目されたのは、嬉しかったですね。
ーー最後にメンバーを代表して、倉淵さんに伺います。グリーグループの第三の柱となりつつあるREALITY社のこれからについて、抱負を聞かせてください。
倉淵:当初グリーグループの数名のメンバーで構成されていたのが、現在では新卒や中途社員も加わり、この3年で組織も大きく拡大しています。そうした中で、とても風通しが良く誰もが仕事をしやすい空気が生まれていて、「仕事、ユーザー、同僚を愛する。」というREALITY社が掲げるバリューを体現できていると感じます。もちろん、組織の雰囲気は状況によって変化していくものだと思いますが、今後さらに新しいメンバーが増えていく中でも、働きやすい環境を維持していきたいです。そして全員がREALITYを成長させることに集中でき、REALITYが大きくなることが結果として、働く人にとってのスキルアップ、キャリアアップに繋がる組織にしていきます。
ーーありがとうございました。改めて、CEO賞の受賞おめでとうございました!