アウモのSaaS事業は、リアル店舗の救世主!?

アウモがSaaS事業に参入し、実店舗向けマーケティングSaaS「aumoマイビジネス」をリリースしました。「aumo」=メディアという印象が強い中で、なぜSaaS事業に参入したのか。また、導入店舗数1万件を突破できた理由、そしてアウモ社が目指すビジョンや今後のサービス展開は?SaaS事業参入における主要メンバー3人に聞きました。

アウモとは?
グルメや旅行、観光、ショッピングなどの紹介記事や、店舗・施設の口コミ情報などを提供する国内最大級のおでかけ情報サービス「aumo」の運営や、販促ページの作成、店舗や施設情報の掲載・拡散、アクセス解析など実店舗向けマーケティングSaaS「aumoマイビジネス」を展開しています。

安藤安藤:アウモ株式会社 取締役
2013年に新卒でグリー入社。ゲーム事業でマーケティングを担当後、人事や新規事業立ち上げを経験。2017年に「aumo」を立ち上げ、2018年3月のアウモ設立に伴い取締役に就任。趣味は食べ歩き。

生方生方:アウモ株式会社 執行役員 兼 プロダクトマネージャー
2013年に新卒でグリー入社。GREE Platform事業でディレクターを担い、2017年7月に「aumo」の担当に異動。プロダクト全体を横断的に歴任した後、現職へ。趣味は音楽鑑賞と外食。

伊藤伊藤:アウモ株式会社 プロダクトマネージャー
2018年にグリー入社。前職では広告分析のSaaSベンダーでPdMを担当。アウモでは開発やAppメディアを担当した後、現在はSaaSプロダクトのPdM。趣味は居酒屋巡り。

顧客自らが発信し、新しい客層にリーチできる実店舗向けSaaS「aumoマイビジネス」

ーープレスリリースで発表されていましたが、SaaS事業に参入されたそうですね。


安藤

安藤:2021年7月に実店舗向けマーケティングSaaS「aumoマイビジネス」をリリースしました。販促ページを作成して、店舗や施設の情報を簡単に掲載・拡散することができるサービスで、アウモが培ってきたWebマーケティングのノウハウを基に、実店舗事業者の方々が自らの手でマーケティング活動を推進できる世界を目指してます。


伊藤

伊藤:実際に導入していただいてる店舗には飲食店や宿泊施設、小売店やスーパーマーケット、塾や携帯電話ショップなどさまざまで、地上に存在する全ての店舗・施設をターゲットにしたサービスになっています。

ーー実店舗事業者である顧客には、どのようなメリットがあるのでしょうか?


生方

生方:例えばスーパーマーケットであれば、自店のチラシやクーポン、その日のイチオシ商品や特売情報などをユーザー及び一般消費者に発信できます。お店側は管理画面から自由に店舗情報を編集することが可能で、チラシ掲載は画像を入稿するだけで簡単に更新することができます。「aumo」とももちろん連携していて、おでかけ感度が高く比較的若年層の多いaumoユーザーにアプローチができることも魅力だと思います。

コロナ禍を機に変化した「おでかけ」の概念


生方

生方:もともと「aumo」は、グルメ、トラベル、レジャーという、いわゆる「ちょっと足を延ばして楽しめるおでかけ」の領域を中心に展開していました。でも、社内でおでかけの定義をよく考えてみると、スーパーはもちろん、ドラッグストアやコンビニなど、日常づかいのちょっとした買い物もおでかけに含まれるよね、という話が上がってきて。コロナ禍に入る前からメディアとしてのリソースを身近な小売店の情報にも広げるといった戦略のアップデートを検討していました。

ーーコロナ禍に入って、外食や旅行で気軽にでかけられなくなりましたよね。


安藤

安藤:そうですね。「aumo」は従来からグルメやトラベルの領域を得意としていたため、最初の緊急事態宣言で売上も月間アクティブユーザーも激減しました。そのような状況から脱却できた理由は、コロナ禍前の戦略アップデートのおかげです。ユーザーのニーズと僕たちの考えが合致したことから、長期に渡るコロナ禍を乗り切ることができ、数値としてもV字回復することができました。コロナ禍で自由に移動できない間は近場のお店にまつわるコンテンツの閲覧数が伸び、コロナ禍が落ち着きを見せ始めた今は、ふたたびグルメやトラベルの記事も読まれるようになっています。遠方と近場の両方を網羅することで、2021年もユーザー規模を拡大し続けられました。この2年でおでかけ市場の概念が多様化しましたね。


伊藤

伊藤:コロナ禍までの「aumo」は、地場の飲食店や宿泊施設などの顧客が多くを占めていたのですが、日常の買い物など、散歩のついでにちょっと立ち寄るような近場の外出もおでかけと考えることで、多くの店舗を抱える大手チェーンの方との取り組みも増えてきました。そのようにジャンルの領域が広がったことで、ユーザー数も増え、提供できるサービスを拡大することができました。今もおでかけ市場にとっては大変な時期ではありますが、サービス自体を変化、成長させていくきっかけにすることで業界全体に貢献していきたいと思っています。

「SaaS」事業への参入で目指す、新たな店舗支援の形

ーーSaaS事業に参入しようと思ったきっかけは?


安藤

安藤:2017年3月におでかけ情報サービス「aumo」を立ち上げて、リリースから約4年で月間1500万人に利用されるメディアに成長しました。またそれと並行して、飲食店や宿泊施設など実店舗の事業者に対してマーケティング支援の事業も展開していましたが、多くの事業者さまにご利用いただいていた一方で、継続的に支援し続けることに苦戦していました。また、事業を展開する中で感じたのは、大手のポータルサイトに広告投下しないとなかなか集客ができないという構造的な課題でした。どうやったら継続的に実店舗事業者を支援できるか、またどうすればこの業界全体の構造的な課題を解決しながらアウモとしても事業を成長させられるかを考えた先に、事業者に対してプロダクトを作って提供する「SaaS事業」を始めることになりました。

ーー構造改革を目指していくのは並大抵のことではないと思います。勝算が見えているのでしょうか?


安藤

安藤:eコマースの世界に目を向けると、SNSを活用したりブログを書いたり、お知らせやメルマガを配信したりと、努力次第で費用を抑えた販促活動が可能になっていて、大手ポータルが主導してきた従来の既成概念を覆すプロダクトが数多く生まれています。アウモとしても、SaaSの特性を生かしたワンストップの販促サービスを提供することで、多額の広告投資を行わないと集客できない業界の構造的な課題を中期的に改革していきたいと思っています。SaaS事業の本格的なスタートは2021年7月で、実は半年足らずで導入店舗数1万件を突破しています。顧客に価値を提供し続けることが我々の事業スケールにつながると信じて突き進んでいます。

ーー半年で1万店舗のペースは凄いですね。その達成スピードの裏には何があったのですか?


安藤

安藤:アウモの強みは「メディア事業」と「SaaS事業」を両輪でやっていることです。aumoマイビジネスはおでかけ情報サービス「aumo」と連携されていて、SaaSを導入した店舗はaumoユーザーへのアプローチも可能になっています。これだけのメディア規模を持ちながら、SaaS事業を展開している会社は少ないので、短い期間でこれだけ成長できた要因になっています。

ーーアウモはSDGsの一環として地方創生活動も行っていますが、SaaS事業の展開と関係はあるのでしょうか。


生方

生方:これまでの取り組みを通じて、全国に向けて使いやすいサービスを提供していくことが経済全体の活性化につながると感じています。特に地方では、おでかけ市場に限らず人材不足の問題に直面しています。できる限り手間をそぎ落として、簡単・安価・便利に使えるサービスが世の中に生まれるべきだと思うので、誰でも使いやすい管理画面や、スマホに最適化されているサービスを目指したいと考えています。


伊藤

伊藤:地方創生活動を通じて、その地域を訪れる人がその地域の良い場所を知る手段が限られているということを実感しています。サービスの良さを伝えきれなかったために、お客さんが増えずお店が閉店してしまった、ということも地方の方から多く聞きます。事業者の方がより多くの人にサービスの良さを伝える手段として選んでもらえるプロダクトを作ることで、おでかけに関わる業界全体を盛り上げていければと思っています。

ユーザー規模を3年で3倍に、顧客のニーズにあわせた機能開発を“爆速”で進める!

ーー今後「aumo」が目指す姿を教えてください。


安藤

安藤:“リアルなお店を繁盛させるならaumo!”といった世界観を構築したいと考えています。そのために実店舗の販促活動に必要な機能を提供し続けていきたいと思ってます。外部SNS・ツールとの連携や決済機能など新機能の追加を検討しています。また将来的には販促の領域にとどまらず、実店舗向けの総合的なSaaSとして、まずは導入店舗数100万件を目指していきます。もちろん、メディア事業の拡大にもSaaS事業と同じくらい注力していきます。


生方

生方:プロダクトを担当している身としては、メディア事業と一緒にSaaS事業をどう成長させていくかを考えることも僕たちの大きなミッションです。導入店舗を拡大するために、顧客と向き合うセールスのメンバーがつないでくれたバトンを、僕たちがより良いプロダクトへと昇華させたいです。


伊藤

伊藤:これまでの、セールスメンバーを介した事業者へのコミュニケーションを最適化し、メディア事業とSaaS事業でいかに相互作用を生んでいくかを考えていきたいですね。


安藤

安藤:簡単・安価にマーケティングを可能とするプロダクトの提供で、効率的に顧客を集められる構造を構築し、顧客の増加とともにメディアのユーザーを拡大していく——。好循環サイクルで事業を拡大しながら「aumo」の影響力と社会的価値を高めていけば、顧客もユーザーもアウモで働く人たちもみんなハッピーだと思います。

ーーそのためには、新たな戦力やスキルも必要でしょうか。


伊藤

伊藤:今後、すべての実店舗事業者にサービスを提供していくことは、実店舗の膨大なデータベースを管理し続けるということです。セキュリティ上重要な情報も多くあるため、技術面では難易度が高いものですが、そういったあらゆる情報を基軸に「aumo」のサービスが展開されることを考えると、大きなやりがいにつながると思います。また、メディアを運営していると、多様な属性のユーザーに対してコンテンツを適切に出し分ける必要性が常について回ります。現状、レコメンド指数は機械学習を実装して評価していますが、このような技術選定を含め、すべてのメンバーがそれぞれの役割に裁量を持って取り組んでいます。


生方

生方:難題を乗り越えたり変化を楽しめたりする人にとっては、やりがいや喜びを感じられる環境がそろっていると思います。これまで「aumo」を成長させてきた誇りもあり、それぞれがプロダクト愛を持って取り組んでいることが前提にあるので、立場に関わらず積極的に議論できる環境がありますよね。


安藤

安藤:アウモはいま創業5期目、コロナの影響を乗り越えて第二創業期に入りました。ここからさらに事業を大きく成長させて、世の中に対する影響力を高め続けたいと思っています。メディア事業はより多くのユーザーに使ってもらうサービスを実現するために「ユーザー規模を3年で3倍」に、SaaS事業は顧客が求める機能の開発を爆速で進めていくことで導入店舗100万件を目指します。
いくら良いサービスでも短命では意味がありません。僕たちがつくろうとしているのは、この先ずっと使い続けられるサービスです。ただ夢やビジョンはあるものの、それを実現するためには、より多くの人材が必要です。この夢をかなえるために、共に成功するまでチャレンジし続けられる同志がもっと増えると嬉しいです!

ーーありがとうございました!