3月13日、筑波大附属駒場中学校の皆さんにグリー六本木オフィスへお越しいただき、3階チームビルディングエリアにて特別授業を実施いたしました。
審査員として参加したゲームブランド「ライトフライヤースタジオ」を運営する株式会社WFS 代表取締役社長の柳原さん、同じく執行役員の下田さんの様子や、中学生の皆さんの発表中の表情などをレポートします。
どのような授業を行った?
筑波大附属駒場中学校では、「テーマ学習」と呼ばれる、日々の教科学習の枠を超えて、生徒の好奇心と探求心を育むことを目的とした取り組みを30年近く行っています。
今回は数学科のテーマ学習の一環で、「数学を題材としたゲームの企画」を課題に、生徒さんたちは三人一組のチームとなって日々の授業で取り組んできました。その最終成果として、実際にゲーム開発を行っている「ライトフライヤースタジオ」の開発責任者に向けて、自分たちが考えたゲームの企画をプレゼンテーションしてみよう、というのが特別授業の主旨です。
発表の様子
開会の言葉、「ライトフライヤースタジオ」の説明、審査員紹介を終えると、すぐに生徒さんたちのプレゼンテーションへと移ります。
1チームに与えられた発表の時間は7分。審査員は、①コンセプト力、②プレゼンテーション力、③ゲームデザイン力、の3つの視点で評価していきます。また、発表後にはその場で審査員からフィードバックをする時間もありました。
審査員の二人も、中学生とは思えないハイレベルな発表へ熱視線を送ります
その一方で、タイムマネジメントには苦戦しているチームもあり、まだまだ伝えたいことがあるにも関わらず、非情にも鳴ってしまう時間オーバーのベルに悔しい表情を浮かべる生徒さんもいました。どのチームも、大勢の前でのプレゼンテーションに堂々と臨む姿は立派でした。
審査員の二人は、生徒さんたちの発表に対して、改善の余地があるところをアドバイスしたり、気になったところを質問したりと和やかなムードでフィードバックをしていきます。
柳原:「コンセプトが素晴らしいですよね。でも、数学史にフォーカスするなら、もしかしたらバトル中心のゲームよりもRPGの方が良いかもしれない。例えば実際に歴史上で起きた事象を元に、街で起きる事件を数学を使って解決していくような。」
「数学の嫌いな人がターゲットとのことですが、このゲームを通じて、そのターゲットがどう変化していくことをイメージしていますか?」
下田:「もしこのゲームにキャッチコピーをつけるとしたらどんなキャッチコピーにしますか?なぜこんな質問をするかと言うと、チームでゲーム開発をしていくときに『共通認識』がすごく大事なんです。だから、どのチームもぜひ考えてみて欲しい。」
「プレゼン力がすごい!驚いた。企画をするときって、抽象と具体のバランスで考えを詰めていくことが大事で、皆さんの企画では数学者のキャラクター同士のコンボをつくるってあったと思うんですが、もっと具体的に『数学者Aの魔法陣で攻撃するスキルと、数学者Bの攻撃の半径を2倍にするスキルでコンボがあったら面白いかも?』というアイデアのリストができていくと、皆さんがその企画の面白さをより想像しやすくなる。話しているうちに盛り上がって更にアイデアが出てきて、より企画が面白くなっていくと思う。」
何でも聞いてOK!Q&Aの時間も
発表後には、審査員の二人へ自由に質問をするコーナーも。ゲーム開発を仕事とする二人に対し、生徒さんたちは、「こんなこと聞くのもどうかと思うんですが…ぶっちゃけ一番好きなゲームってなんですか?」など、好奇心旺盛に様々な質問をぶつけていきます。
ここでは一部のやり取りを紹介させていただきます。
ーーゲームを開発する時に、ストーリーの着想はどこから得ていますか?
下田:ゲームによって違ったりもしますが…こういうシーンを描きたいと決めてから、そこから辻褄を合わせて逆算していく。そのシーンってなんで必要なんだろう?このシーンって何のためにあるんだろう?と考えて構築していくこともあります。
ーーゲームのアイディアが浮かんだ時に、どんな行動をとりますか?
柳原:人によって違うと思いますが、僕だったらスライド3〜5枚くらいに落とし込んでいます。そのあとそこに色んな要素を付け足していって、序盤の流れくらいまでイメージできたらエンジニアなどに「これってどうかな?」って声をかけてみますね。
ーー普段どれくらいゲームをプレイしていますか?
下田:最近はなかなか出来ていないんだけど…なるべく多く触れるようにしてます。方法は二つあって、一つのゲームに物凄くハマることと、とにかく多くのゲームを3時間だけ、など時間を決めて触れてみることを実行しています。手触りの部分はやっぱりやってみないとわからないので。あとは、ゲームをやっていない時にゲームのことを考えることも大事です。「あの時ゲームをプレイしている時になんで楽しいって思ったんだろう?」など、無思考でいないようにしています。
結果発表!
審査員二人の評価を集計して優勝、社長賞、下田賞が選ばれました。
社長賞、下田賞は評価の基準に基づき、二人がそれぞれ一番だと思ったチームが選ばれました。
柳原:自分が手がけた時に、一番面白くつくれそうなものを選びました。シミュレーションゲームのファンは深い戦略性やゲームサイクルを求める傾向があるので、どうやって面白くしようかと考える過程が面白そうでわくわくしました。
下田:熱量が一番あるチームを選びました。ゲームを開発していく時に、一番必要な要素は熱量だと思っています。それがこちらのチームの皆さんから感じられたので選ばせていただきました。
優勝したチームの皆さん、おめでとうございます!
入賞したチームを中心に『ライトフライヤースタジオ』のゲームのグッズが贈られました
参加された生徒さんの感想
今回参加された生徒さんの感想をご紹介します。
Aさん:ゲーム制作において、「熱意」が最も大切であることが分かりました。良いアイディアを思いつくことばかりに必死にならず、どんなアイディアでも深く掘り下げ、改良を重ねることで良いものになることがわかり、そのためにはやはり「熱意」が必要だと感じました。今後はゲームに限らず、学校の文化祭などの行事でも「熱意」を大事にしていきたいです。自分の得意なことに積極的に取り組むことで、周りの人もそれに感化され、成功に繋がるのだと気づきました。
Bさん:「好き」という気持ちを褒めていただけたので、その情熱を忘れたくないと思いました!これまで何かに取り組む際は一人で進めるタイプだったのですが、協力も大事だと感じました。クオリティの高いスライドやUIをつくってくれた友人に感謝しています。
Cさん:ゲーム開発者の方は、多くの顧客が楽しめるように妥協せず、日々努力を重ねていることを知り、尊敬の念を抱きました。「十代の頃からさまざまなものを見て吸収するのはとても大切」という話をお聞きして、いつも周りに勧められている展覧会や博物展に行ってみようかなと思いました。
運営社員のコメント
最後に、今回の課外授業の運営を担ったメンバーのコメントをご紹介します。
紙谷:株式会社WFS / コーポレート部 部長
ゲーム開発において、最上流の工程である「企画」に焦点をあて、生徒の皆さんのゲームづくりに対する熱い思いを直接受け止める場をつくることができ、私たち「ライトフライヤースタジオ」としても非常にエキサイティングな経験をすることができました。
全9チーム、各々企画の内容や打ち出したいポイントが異なり、中学3年生とは思えない堂々とした立ち振る舞い、クオリティの高いプレゼンテーションに圧倒されました。
学生時代に社会人の前で発表する機会はなかなかないと思いますし、今回のイベントが生徒さんたちの今後の人生に少しでも良い影響を与えられていたらうれしいです。数年後、生徒さんの中から「ライトフライヤースタジオ」の一員としてプロダクトに関わる方がでてきたらうれしいですね。私たちも引き続き、新たな挑戦を続けていきたいと思います。
ぜひこれからの学生生活のなかでも、グリーグループのコンテンツに触れていただけたらうれしいです!
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