事業のこと

【特集】リアルとバーチャルの融合が見せる新しいエンターテインメント

ー「Wright Flyer Live Entertainment」×「WONK」3DCGライブ ー

8月22日にWONKのニューアルバム「EYES」のリリースを記念した<EYES SPECIAL 3DCG LIVE>が世界同時配信されました。今回は、株式会社Wright Flyer Live Entertainment(以下、WFLE)が企画・演出を含むライブ制作に全面協力を行い、「EYES」のコンセプトである宇宙をテーマとしたオリジナルの脚本作りを経て制作された架空の映画「EYES」の世界観の中メンバーたちがアバターとして登場し、仮想空間上でライブパフォーマンスを繰り広げました。
ライブを終えたばかりのメンバーと制作に携わったWFLEの社員にライブの制作段階の裏話や、それぞれ今後の目標などについて聞きました。

WONK

東京を拠点に活動するエクスペリメンタル・ソウルバンド。2016年に1stアルバムを発売して以来、国内有数の音楽フェス出演、海外公演の成功を果たす。メンバーそれぞれが他アーティストとコラボレーションを行うなど活動領域を広げている。2020年4月にシングル「HEROISM」、6月に「Rollin'」を配信。6月17日にアルバム「EYES」をリリース。

【プロフィール】


井上 幹

井上 幹:WONKでは作曲・編曲・ベースの他、レコーディングやミキシングエンジニアを務める。ベーシストとして他アーティストのレコーディングに参加。エンジニアとしても所属レーベルEPISTROPHの各作品のほかにもレコーディング・ミキシングを担当。現在、グリーの社員としてサウンドチームに所属し、ゲームのSE/BGM制作、ミドルウェアを用いた組み込みやサウンドデザインを行う。


長塚 健斗

長塚 健斗:WONKのボーカリスト。料理人としての一面も持ち、大学在学中よりイタリアンやフレンチの有名店出身のシェフの下で本格的に修行を開始。卒業後、弱冠24歳にして都内ビストロの立ち上げに料理長として携わる。現在もフランス料理をベースに商品開発やイベントを開催。所属レーベルEPISTROPH ではオリジナルブレンドコーヒー“ Introspection” やフレグランス“Moon Dance” のプロデュースも行なう。


江﨑 文武

江﨑 文武:WONKのキーボーディスト。個人では、キーボーディストとして他アーティストグループに参加するほか、作曲家・プロデューサーとして楽曲も提供。福岡を舞台とした映画「なつやすみの巨匠」では音楽監督を担当。大学院では教育工学の領域で「幼児の音表現支援」を研究。所属レーベルのEPISTROPH ではデザインを監修し、各種グラフィックを手がける。


荒田 洸

荒田 洸:WONKのリーダー、ドラマー。個人として、2018年に自身初のソロEP「Persona.」をリリースし、ボーカルとして活動の幅も広げるほか、HipHopシーンを牽引するラッパーなどの楽曲やバンドサウンドをプロデュース、バンドマスターとしてツアー参加。所属レーベルEPISTROPHでの複数アーティストをプロデュース。アパレルブランドでのディレクター経験を生かし、アパレル商品の企画も目下進行中。


坂田 悠人

坂田 悠人:グリー株式会社に2018年新卒入社。VTuberプロダクションチームの事業責任者を経て、現在はXRエンターテイメント事業のプロデュース統括を担当。WFLE立ち上げと同時期にデビューした「KMNZ(ケモノズ)」のプロデューサーとしても活躍。「EYES SPECIAL 3DCG LIVE」にはプロデューサーとして参画。


渡邊 匡志

渡邊 匡志:2012年にグリー入社。聖戦ケルベロスや探検ドリランドのエンジニアを経て、2015年にGREE VR Studioの立ち上げに参画。複数のVRプロジェクトをリード。現在はライブエンターテインメント事業にて、バーチャルライブ制作プラットフォーム「REALITY Live Stage」の開発を担当。

アーティストとスタッフが連携し、真剣さと楽しさを画面越しに伝える

ーーライブお疲れ様でした!3DCGライブ終了直後の率直なご感想は?


井上

井上:僕は、一社員としてWFLEのスタジオ作りのサウンド面で携わっていたので、それからここまでバンドメンバーとしても関われるようになるとは思わず、感動がありました。WFLEの皆さんとは一番最初の立ち上げのころからお付き合いがあるので、そういう意味でも感動しました。


荒田

荒田:大きい事故が起きずにライブが終わり、リアルタイムのコメントもたくさんいただいて嬉しかったです。この人数規模で一つのものを作るというのが本当に久しぶりで、学生以来だったのでめちゃ楽しかったですね。


長塚

長塚:達成感がすごくあるなあという気持ちです。僕らは普段のライブの準備とほぼ変わらなかったんですけど、制作チームの人たちが本当に短期間で頑張ってくれたので、僕らが想像していたものを遥かに超えるクオリティのものを作ってくれたことと、それを僕らの表現として新しく取り組めたのがすごく嬉しかったですし、実際ライブをやっている最中も終わってからも感動がありました。


江﨑

江﨑:楽しかったです。普段、音楽業界の中だけにいるとゲームを制作している会社さんとご一緒することがなかなかないので、ゲームクリエイターの方々と僕らのように音楽をずっと作ってきた人たちが本当に全力投球しあえるプラットフォームとして3DCGライブがワークしていました。この機会を与えてくださったことに感謝したいですし、これからも日本から面白いコンテンツを作っていくことにご一緒できる可能性が広がっていくんじゃないかなと。もっともっと一緒に仕事したら面白い人たちなんじゃないかと取り組みを通じて再認識しました。


坂田

坂田:モーションキャプチャースーツを着ていつも通りに動くと3Dモデルとしては画面越しには見栄えが良くなかったり、動かし方の勝手が違ったりします。メンバーの皆さんも大袈裟に動いた方がいいなど、学びを随時反映させながらパフォーマンスしていたので、リハーサルを何日か行いましたが最終日が群を抜いて良かったです。今回はおそらく日本初の試みで、バンドでは世界初※だと思いますが、全てが初めての体験だったのでチャレンジが成功してよかったと思っています。


渡邊

渡邊:アーティストとスタッフが連携し、練習し、リアルタイムで18曲をお届けできたというのが良かったです。アーティストの方はタイトなモーションキャプチャースーツやグローブなどを装備するので、普段通りのパフォーマンスが難しいんですが、裏方のスタッフも全力でサポートする中でとても楽しんでいて。その真剣さと楽しさが画面越しにファンに伝わったと思うんです。アーティストが表現したい世界観をリスペクトして、出演者の満足を何よりも重視する価値観は、VTuberのライブ配信制作を通じて培われた強みです。

※自社調べ

ーー今回バーチャルライブを行うきっかけは?


井上

井上:今年の4月にWFLE代表の荒木さんから「バーチャルでリアルのバンドのライブやりたいんだけど」という連絡が突然来まして。「じゃあ僕のバンドでやります?」ってなりました。荒木さんとしては、こういった(コロナウイルス感染症の)情勢の中、アーティストの支援だったりとか、今までのVTubeのノウハウが生かせるとか、色々な視点で見てくれてまして、僕もリアルにライブができなくなっている現状で、次何しようかなとすごく考えていたところに話が上がったので、同じベクトルを向いて一緒にできると思いました。




坂田

坂田:WONKさんがやってくれるかもしれないという話をいただいてから、みんなで早速作ってみようと、勝手ながら「EYES」の楽曲の中からデモビデオを作ってお見せしました。その時から、めちゃくちゃかっこいい摩天楼のステージが「EYES」の世界観に合うと思い僕らのイメージを皆さんに展開させていただいて、そこからミーティングを重ねて少しずつ方向性を作っていきました。

ーー企画が進む中で技術的に難しかった部分、難儀だったことはありますか。


渡邊

渡邊:今回3ヶ月で作ったのですが、その短期間でWONKさんの良さやファンが求めている体験をいかに再現するかが一番の課題でしたね。まず3Dで世界を再現する必要があり、アバターをはじめ、ステージや照明、エフェクトやカメラ等、何もないところからそれらを全て3Dで構築しなくてはいけない。その上で曲別に演出プラン作ってWONKさんとの練習も含めてこの期間内で全て収めるのが大変でした。

世界観を伝えるためにこだわった演出と演奏

ーーWONKのみなさんがバーチャルライブでこだわった部分や演出はありますか。


長塚

長塚:一つは、メンバーそれぞれの姿形や顔の作りはギリギリまで調整をしていただいて最終的にすごくメンバーっぽくしていただきましたね。肌の質感から表情、顔の作りなどすごく似せる作りにしてくれたと思います。演出面では、普段のリアルのライブでは絶対にできない規模感のエフェクトや色味は3DCGライブならではのド派手な雰囲気で且つ、曲ごとの雰囲気に合わせて作っていただいて、よりアルバムコンセプトや歌詞の世界観に寄り添う形でできたというのはありますね。


江﨑

江﨑:今回、物凄いフォトリアルに作り込んでいただいたんですけど、生身のライブに比べるとお客さんに伝わる情報量が限られるので、長塚のハンドサインや動きをオーバーにやったり、これまでライブで座って歌ったことはほぼないんですけど、あえて静かな曲では座って歌ったり、3DCGで想いを伝えるには大袈裟に動かないと伝わらないとメンバーで設計しました。そういったのもあって今回初めてライブで飛びました(笑)。楽曲によっては飛ぶ演出入れたりなど、WFLEのみなさんにこちらから提案してアングルをコントロールしていただいたり、椅子を出す演出をしていただいたり、今回のライブ演出にお互いに歩み寄っていけたのがすごい良かったです。


井上

井上:演出ではドラムが光るのが一番MVPだったかもしれないです。多くの人にとって音と視覚を結びつける、ものすごく良い媒体になってたなと思いますね。荒田が3DCGモデル上だとドラムを叩いてる雰囲気が伝わらないと繰り返し伝えていて、開発の皆さんからいただいたのが光る演出でした。キーボードを弾いてる手が光るとかもそうでしたけれども、なにかやってる時のレスポンスがちゃんと可視化されるというのは伝わる要素の一つだったのでこだわって良かったなって思います。


江﨑

江﨑:僕らからは“これじゃ弾いてる感がありません”くらいしか言えず、具体的に3DCGの世界でどう表現するかは開発の皆さんにお任せしたわけです。


荒田

荒田:うまく汲み取ってくれたよね。

ーーそのあたり渡邊さんは開発の立場から演出を作っていく上で苦労された部分はありますか。


渡邊

渡邊:全ての楽器にセンサーを装着し、演奏するときに反応するようにしたり、楽曲によって持ち替えが可能なようにしました。曲のストーリーの鍵となるモチーフを3Dで用意して、映像や照明、カメラとミックスさせてリアルタイムに動かしています。特にブルームーンは存在感を感じれるように、スケール感やライティング、反射など影響する要素が多い中でかなり試行錯誤を繰り返しました。


荒田

荒田:あとは演出とは異なりますがモーションキャプチャースーツを着て演奏すると、いつも自分が動いているリアルな動きと映像の中で再現されている動きが若干違うので、映像を見ながらどうしたら映えたり自然に見えたりするのかを考えてドラムを叩くようにしましたね。リハーサルではずっと僕の課題だったのですが、本番ではいい感じになって良かったなと。




江﨑

江﨑:自分の演奏スタイルを修正していくという作業が入っていったのが、今回ならではだな、と思います。あとはスーツ着て、トイレにいけるようになったらイノベーションだね(笑)。

一同:確かに(笑)。

ーー他にも事前に募集したメッセージが演出に使われていましたが、その辺りにはどんな意図があったのでしょうか。


荒田

荒田:メッセージの演出は坂田さんのチームが提案してくれましたね。


坂田

坂田:WONKの皆さんと話している中で一方的な配信ライブにならないようにしたいと最初の段階で伝わってきたので、インタラクティブな要素を入れたいと思いました。本当だったら流れているコメントをリアルタイムで写すとかまでやりたかったですが、リアルタイムだと僕ら側がコントロールできない部分もあり今回は事前にメッセージを募集するという形での演出でしたが、お客さんと一緒にライブを作っているんだという要素は入れたくてあのアイデアに着地しました。


江﨑

江﨑:確かに、いつものライブよりコメントが見えることでお客さんの反応が具体的に読み取れるっていう(笑)。


長塚

長塚:そう、それをすごい感じたし、最初は目の前にお客さんがいなくて寂しいのかなと思ったけど、コメントの画面が(ライブ中に)真横にあったから見ながら身振り手振りもできましたね。

3DCG配信はこれからのエンターテインメントとしての表現手法の一つ

ーー今回のソリューションというのは、音楽やエンターテインメント業界でどのようになっていくと思われますか?


井上

井上:みんなやれば面白いじゃないかなと思います。


江﨑

江﨑:これまでの音楽ライブなどのエンターテイメントとテクノロジーを掛け合わせたものはどちらかと言うと、テクノロジー側に人間が寄り添って、身体性をデジタルの世界に溶け込ませる方向に向かっていたと思うんです。でも、今回の取り組みは完全にデジタルで表現された世界に身体性を持ち込んで、演出の根幹の部分では人間ぽさで殴り込みにかかって勝負した。デジタルの世界を人間の身体性で制していく姿勢を示すことができたと思っています。
デジタルの世界で取り組むことに消極的なアーティストは、自分たちの表現がデジタル社会の中に包摂されてゆく感じが苦手と思う1つの要因かと思いますが、人間の表現はテクノロジーを喰って伝わるのだというよい一例になったかと。そういったアーティストに対しても、今回の取り組みが勇気づけられる一助となればいいなと感じました。


井上

井上:そうですね、あとコロナ禍の状況でライブができないアーティストに対してのソリューションという一面はありつつも、代替というより、新しいエンターテインメントとしての3DCGライブ配信の面白さはオリジナルなものだと痛感してます。世の中の状況が良くなってリアルでライブが出来るようになっても、一方でこのような面白い配信が出来ることは表現の幅が皆広がるかなと思いました。


坂田

坂田:WFLEのXRエンターテインメント事業は日本で数少ないフルトラッキングにライブができるスタッフが揃っています。今回お見せしたような幅広い手法で総合芸術として提供できるのが強みです。また、グリーグループにはFanbeatsのようなファンを応援するサービスがあって、ライブを作る人もいて、プロモーション力も知見が溜まっていて、何か表現したいと思ったアーティストを0から100までまでサポートできるのが強みです。そうした会社内の繋がりやリソースを割いて全力でアーティストをサポートしたいですし、業界全体もそうなっていくと嬉しいです。


渡邊

渡邊:3DCGライブは音と詩だけでは伝えきれない世界観等をより伝えられる手段だと思っています。現実の制約から解き放たれて、自由に表現でき、それをリアルタイムにファンと繋がりながら一緒に創り出せる。僕たちは技術面でのものづくりしかできないけれど、日本の音楽を世界に届けるお手伝いができたらいいなと思いますね。
また、電子データだからこそ一度バーチャル世界を作ると、リユースもできるし、アップデートもできて1回目よりも2回目のコストが圧倒的に下がるので、ビジネス的にも発展が見えると思っています。

ーー最後に今後への意気込みをお願いします。


長塚

長塚:年末にツアーがあるのですが、今回の演出がリアルのライブと異次元すぎて、ライブの質もお客さんが注目するところも全然違うと思いますが、今後4人でリアルのライブでどうやってやっていこうかな、と考えている最中です。今回、照明のアイデアだったり、自分たちの身振り手振りの表現だったりを客観視して得ることができたので、一つバンドとしてもグレードアップできるのではないかな、という期待はしています。なので、年末は全然違うスタイルになってレベルアップすると思うので、楽しみにお待ちいただけたらと。


江﨑

江﨑:確かに、今回学べたことがかなり多いと思っていて、ライブを経て、バーチャルの世界で学んだことをリアルの現場に落とし込んでいく、ということをツアーでできれば最高ですね。めちゃめちゃ大変だけど(笑)。


井上

井上:バーチャルな空間にリアルな僕らが行ったので、今度のライブはバーチャルなものをリアルの空間に呼びたい気分になってきました。


江﨑

江﨑:そうね。リアルな世界にバーチャルなものをね。




坂田

坂田:バーチャルライブエンターテインメントの領域で、日本を代表する企業になりたいですね。今回の知見を生かしながらより新しい演出や構成にチャレンジして表現の幅を広げたいと思います。僕個人としては、WONKさんとのライブは制作から楽しんでやらせていただいてメンバー皆さんの思いや表現したいことを強く感じ取ったので、ぜひまた新しい試みを一緒にできたらいいなと思っています。


渡邊

渡邊:今回の取り組みでWONKさんとスタッフのコミュニケーションが時間の経過に比例してスムーズになりチーム力が高まったと思っています。アセットもシステムも既にあるので、アップデートしてから、また一緒に誰も見たことがないようなライブをやりたいですね。

挿入画像はリハーサル時の撮影です。

ライブ配信は下記日時までチケット購入で視聴が可能です。
Streaming+
https://eplus.jp/st-wonk/
・視聴チケット発売期間: 8/29(土) 18:00まで

以上

本件に関するお問い合わせ先

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