2022年6月に法人向けメタバース構築ソリューション「REALITY XR cloud」の新サービスとして、大々的に提供を開始した「REALITY World」。HISや日本テレビグループのClaN Entertainment、ビームスのディレクターズバンクなど大手企業とのコラボを次々と成功させています。「REALITY World」の強みや成功の秘訣、担当者の想いなどを各コラボの舞台裏とともにインタビューしました。
春山:REALITY株式会社 / XR cloud事業部 部長
GREE内製ゲームの開発運営プロデューサーを経て、横断的に10タイトル200名規模のゲーム運営事業部 部長にて全社利益に貢献。その後ウェブ・アプリ・エンタメのB2B2C事業部門を立ち上げたのち、現在のメタバース領域を中心とした法人向け事業部責任者として推進。
中村:REALITY株式会社 / XR cloud事業部 / Productグループ シニアマネージャー
新卒でグリーに入社し、GREEプラットフォームのアバター事業のプランナーに。マネージャー、運営プロデューサーを経て2020年よりREALITYでXR領域のB2B開発を担当。現在はB2B事業部門の開発責任者として、Webサービスからアプリ開発まで横断的に開発をサポート。
企業課題の解決に。新たなサービスを提供
ーーなぜREALITY株式会社で法人向けサービスの提供を始めたのでしょうか?
春山:「REALITY」というスマートフォン向けメタバースが成長していく中でそれを活かした次のサービスを考えるようになって、いろいろな企業と話してみると、メタバースにチャレンジしてみたが人が全然集まらずに失敗したというお話が非常に多かったんです。であれば、すでに1,000万以上のダウンロード数を誇る「REALITY」の「ワールド」機能を使えば、企業課題を解決でき事業成長にも繋がると考えました。
また企業とコラボすることによっていろんなワールド空間を提供できたり、新しいシナジーを生むことができたりするので、ユーザーにとってもいいコンテンツになっていくと思い提供を始めました。
ーー「REALITY World」はどのようなサービスなのでしょうか?
中村:「REALITY」内に設けられた3Dの仮想空間を「ワールド」と言い、この機能を法人向けに提供するサービスを「REALITY World」として提供しています。
ーーサービスリリースから間もないですがすでに様々な企業とコラボされています。HIS様との取り組みやClaN Entertainment様との取り組みについて詳細を教えてください。
中村:HIS様と会議を重ねていくなかで、「ワールド」で旅行の面白さや魅力を伝えつつ、実施中のキャンペーン訴求にも取り組みたいとのことで、「HISトラベルワールド」という沖縄とハワイと長崎のハウステンボスの3つの観光地をテーマとしたワールドを制作しました。
それぞれのワールドには観光地をちりばめ、遊びに来たユーザーが記念撮影したり、配信者と一緒にコラボ写真を撮ったりと短期間で濃縮した観光地巡りが体験できるワールドを制作しました。
中村:次に日本テレビグループのClaN Entertainment様との取り組みですが、こちらは音楽ライブ「VTuber Fes. BPM [Blinks Per Minute] powered byロート製薬」とコラボした「ミュージックフェスワールド」を提供しました。
ClaN Entertainment様のリクエストとして、ライブに向けてしっかりプロモーションしていきたいとのことでしたので、ワールド内にはポスターやライブの情報、ライブ気分が味わえるようなスポットも用意し、ライブの前後でユーザー同士がコミュニケーションできる空間を作りました。
コミュニケーションが生まれる「REALITY World」。だから提供できる価値がある
ーー実施されてみて企業側の反応はいかがでしたでしょうか?
春山:非常に喜んでいただけたと思います。
「HISトラベルワールド」は期間中130万人以上の方に来場いただき、想像以上の達成数でした。HIS様は「Web3.0・バーチャルプロジェクト」を発表されていて、今回のコラボはその中の「メタバースにおけるバーチャル体験とビジネス活用」に対しての自信と実績になり、両社にとって今後へ繋がる成果になりました。
ーーここまで多くのユーザーに来場していただいたポイントはなんだと思いますか?
春山:いろいろあるとは思いますが、複数回の来場は大きいですね。バーチャル旅行に複数回行くってあまりないと思うんです。リアルの旅行でも月に2回行くとかあまりないと思います。これが「HISトラベルワールド」では、リピート率が60%を超えている。メタバースのイベントってよく集客に苦労する、初日しか来ないとか言われる事が多いのですが、「REALITY World」はそんなことなくて、日常使いのSNSとして何時間も毎日利用しているユーザーが非常に多い点がポイントですね。
中村:開発としてもこだわっていて、「REALITY」はバーチャル配信を見ながら、実際に「ワールド」でユーザーが楽しむ作りになっているので、SNSでの「映え」やそこからの「拡散」を意識しました。具体的なところで言うとハワイにサーフィンのフォトスポットを作ったのですが、実際にサーフィンボードの上に乗ってサーフィンをしている写真が撮れるように設計しました。ただ観光地の絵だけを飾るんじゃなくて、そこでちょっと疑似体験して楽しんでいただけるような、体験設計を意識して企画開発しました。
中村:あとは観光地が少ないとすぐ回りきってしまうので、なるべく多く入れるよう意識しました。技術的な工夫をして、ハワイを例にすると10個ぐらい入れましたね。
ーー新しいバーチャル旅行ですね。
春山:まさにそうだと思いました。今まであったバーチャル旅行は映像で見ながら現地の人が案内してくれたりといった、一方的に受け入れる旅行だったと思うんです。それに対して「REALITY World」では友達と喋りながら、自分たちで行きたい観光地を選んで回れて、その中で「リアルな旅行も行きたいね。」という会話が生まれている。これって雑誌やウェブで見る旅行の誌面よりも、需要を喚起することができてきてるんです。
コミュニケーションが生まれるメタバースこそが「REALITY World」の強みだと思います。
中村:バーチャルを体験したから実際の旅行にも行きたくなるというのは大切で、HIS様の認識課題でもありましたのでそれを達成できたと思います。
ーーClaN Entertainment様の反応はどうでしたか?
春山:まずライブそのものをREALITY株式会社が開発協力してるのですが、大盛況でした。アーカイブもあるのでぜひ見てほしいです。その中で今回作った「ミュージックフェスワールド」はプロモーションという立ち位置でしたが、ユーザーにすごく楽しんでもらえて認知拡大に繋がったと思います。
ClaN Entertainment様からもライブ制作含めて全体を通して有り難い評価をいただきましたし、準備期間が少ない中で僕らとしても最大限の品質でアウトプットできました。ライブ含め感動するコンテンツがトータルパッケージで作れたのは良かったと思ってます。
春山:両社を通して言えることは「REALITY World」ではコミュニケーションが生まれるメタバースを提供できますということ。「REALITY」自体、見るコンテンツの品質だけではなく、誰かと一緒にいて会話を楽しむというのが特徴だと思いますし、コミュニティがすごく優しいんです。普段からそこに投身された自分のアバターがいて、同じ空間・体験を共有できるってことが現実世界にも近いですし、だからこそ「ワールド」でコミュニケーションが生まれる。それが魅力であり、強みであると思います。
高クオリティアバター×ユーザーコミュニティによる深い没入感
ーー他に「REALITY World」独自の強みはどんな点ですか?
春山:to C向けアプリとして成長してきたからこそ、ユーザーのコミュニティが出来上がっていることです。ユーザー数のボリュームがあるのはもちろん、ランキングイベントなどのユーザー同士のつながりを活かしたイベントが可能です。
中村:圧倒的なアバターのクオリティも強みですね。だからこそスマホだけど深い没入感や質の高い体験が提供できると思います。また、もともとバーチャル配信を行うアプリですから誰かの配信を見たり、コミュニケーションを楽しんだりといった双方向の体験になります。この体験があるからこそコラボでの高いエンゲージメントが生まれます。
春山:スマホアプリに特化してるからこそ誰でも気軽に操作できるし、組織面からみてもゲーム出身の開発メンバーが多いため、技術レベルが高く、アプリの改善が常にできるのもポイントで、ユーザー体験を常に考えながら作っています。
ーー先ほどアバターのクオリティに言及されてましたが、やはりユーザー体験としてかなり重要でしょうか。
中村:重要なポイントだと思います。バーチャルの自分への没入感を高めるには理想の姿を投影できるアバターであればあるほど、バーチャルの自分が好きになれます。
春山:そうなると「REALITY」の中でもう一人の自分が生まれ、生活の一部になっていきます。そこに「ワールド」の価値があると思います。「なりたい自分で、生きていく。」というのはREALITY株式会社のVISIONですが、それが大切なんです。
ーー様々なコラボ実績を積まれてますが、他にどんな相談があるのでしょうか。
春山:今100社以上の企業様からお声がけいただいて色々話していますが、例えば官公庁と話をするとビジネス視点だけでなく、地域のため、そこに住む方のために何かできないかという相談をうけます。皆が活躍できる世の中にしたいとも考えられていて、「REALITY World」で十分協力できることだと思っています。
あとは、リアルな施設などのプロモーションのご相談も。「REALITY World」では体験を重視してるのでわかりやすく魅力が伝わりリアル施設への誘導に繋がります。ビームスのディレクターズバンク様との取り組みはまさにそうですね。
春山:各相談に対して制作面からだとどうですかね?
中村:制作面からもやっぱり体験型コンテンツの価値提供ができると考えますね。昨今プロモーションも映像から体験型に移りつつあるので、制作としてもより体験が魅力に感じるように、アバターや空間の設計、そして双方向のコミュニケーションが盛り上がる場の提供をしていけたらと考えています。現実をより魅力的に魅せる体験を提供できればと心がけています。
企業にもユーザーにも寄り添い、自由で楽しく価値ある空間をこれからも
ーーお話を伺っているとすでに各企業と動いていらっしゃると思いますが、これからどんなことに力を入れていくのでしょうか?
中村:制作としては体験設計ですね。体験のクオリティをあげ、より没入感やユーザーの「楽しい」に直結していく機能開発にこだわりをもって取り組んでいきます。また操作性も開発を進めていきたいですね。企業様向けには予算やスケジュールに対応できるプランというかセットをご提供できるようにしたいです。各企業様がニーズに合わせて複数の中から選べる形にできたらと思います。
春山:事業としてはto Bでメタバースをやっている企業はすでにあり、「REALITY World」の立ち位置としては後発の立場だと思っています。ですので、まずは開発体制をしっかり整え、認知を高めるために頑張って案件数をこなして実績を出すことです。より多くの人にアプローチしていきたいです。
ーー最後にご覧いただいている方に一言お願いします。
中村:メタバースをやりたいけど何をしたらいいかわからないという企業様が多いのですが、そこに開発面でも制作面でも寄り添って、一緒に企画の初期段階からサポートしていきたいですし、終了後も継続フォローしていければと思っています。
また、いつも遊んでくださるユーザーのみなさまにはワールドを通して新しい発見や驚きを提供していきたいです。新しい人とワールドで繋がり、それによって「REALITY」で過ごす時間がすごく楽しく、有意義になることに寄与できればいいなと思います。
春山:ユーザーのみなさまにはこれからも自由に遊んでいただきたいです。僕たちは今後もいろんな企業とコラボして楽しめるものを提供していきたいと思いますので、ユーザーのみなさまには積極的に体験して意見をいただけると嬉しいです。
そしてメタバースに興味がある企業様がいましたらぜひお声がけください(「REALITY World」に関するお問い合わせ先)。既に導入はしているものの、もっと活性化させたい、なども大歓迎です。運営経験が4年以上あり、1,000万以上ものダウンロード数を誇る「REALITY」をうまく活用してもらえたらと思います。あらゆる角度で活用できる新時代のアプリサービスになってきていますので、今後も企業の期待に答えていきたいです。
合わせて読みたい
Web3事業参入で描く変革への道筋