Web3事業参入で描く変革への道筋

――グリーだからできる新しい挑戦とは

グリーは、REALITY株式会社を通じてブロックチェーンゲームの開発およびパブリッシングを目的にWeb3事業に参入しました。また、Web3事業を推進するため、2022年7月1日にBLRD,Pte Ltdを設立し、バリデータノード運用やブロックチェーンゲーム開発を推進しています。その事業推進のためにエンジニアやプロジェクトマネージャーなどの採用も強化しています。今回のインタビューではWeb3事業の展望と求めている人材について、REALITYとBLRDの代表取締役を務めるDJ RIOさんに話を伺いました。

DJ RIO:グリー株式会社取締役上級執行役員 REALITY株式会社代表取締役社長 BLRD,Pte Ltd(本社:シンガポール)代表取締役社長
慶應義塾大学環境情報学部を卒業し、4人目の正社員としてグリー株式会社に入社。2018年にメタバース事業を担うWright Flyer Live Entertainment(現REALITY)を立ち上げ代表取締役に就任。2022年7月、BLRD,Pte Ltdを設立し、代表取締役に就任。

Web3で起きるゲーム市場の大きなイノベーション

――グリーグループがWeb3事業に参入した背景を教えてください。



DJ RIO:グリーグループではREALITY株式会社を通じてメタバース事業に注力しており、オンライン上の新しい世界でなりたい自分をアバターで表現し、コミュニケーションができるスマートフォン向けメタバース「REALITY」を運営しています。今後メタバース事業をさらに成長させるためにはオンライン上の世界でお金を稼いで生活できる、クリエイターエコノミーと呼ばれるような経済圏をつくることが必要となります。そのために、インターネットネイティブの通貨である暗号資産や金融システムであるDeFi、デジタル資産のフォーマットであるNFTなどを活用したWeb3と呼ばれる領域のエコシステムを構築していくことが適しているのではないか、と考えました。そこでバリデータノード運用(※)とブロックチェーンゲームを開発するBLRDを新たに立ち上げるに至っています。

(※)バリデータノード…ブロックチェーンネットワークを構成するノードをホスティングし、トランザクションの検証やブロック生成を行うことで、ブロックチェーンのセキュリティ・性能・分散性の向上の一端を担う役割

――新しいエコシステムが重要ということですね。



DJ RIO:はい。クリプト(ブロックチェーン上に発行される暗号資産)の業界が進化したことで、暗号資産で収入を得ることや持っているトークンが値上がりすること、さらにプラットフォームを通さずにユーザー同士でデジタル資産の売買が出来る仕組みが発展してきました。このような新しいエコシステムになり得る事業に参入することは、今後の事業戦略にとって大事だと考えています。

――ブロックチェーンゲームに着目したのはなぜですか。



DJ RIO:まず、ゲームはテクノロジーの進化と直結する産業です。例えば、3Dグラフィックスの登場によりゲーム産業は一気に変貌しました。グリーになじみのあることで言えば、携帯電話が普及したからゲームが基本無料で遊べて課金によってアイテムが得られる仕組みができ、ゲーム人口も拡大し市場も広がりました。

――新たなマーケットが生まれた形ですね。



DJ RIO:そうです。新しいテクノロジーが生まれたときに、今までなかった新たなマーケットが生まれることがゲーム産業では繰り返されています。その前提に立つと、NFTや暗号資産を使ったブロックチェーンゲームは、遊びながらお金を稼げて、しかも自分のゲーム内資産を売買できる新たなトレンドです。ゲームで遊んだ時間が自分の資産になるのは大きいですよね。これはゲーム市場に大きな変革を起こす技術だと思っています。

――ブロックチェーンゲームへの参入をこのタイミングに決めた理由はなんでしょうか。



DJ RIO:グリーはこれまでもゲームをつくり続けてきて新しいテクノロジートレンドに果敢に挑戦してきました。新たな市場でリーダーとなるポジションを取るべく、早期に参入して力を入れていくことは大事だと思っています。また個人的に、分散型コンピューティングというコンセプト自体が好きなんですよね。大学時代にはP2Pネットワークの事業化に取り組んだり特許を書いたりもしました。中央の管理者がいないのに、無数のコンピュータが協調しながら大きなことを成し遂げていくことにロマンを感じています。

有力ブロックチェーンの提供元とお互いを高め合う関係づくり

――BLRDではバリデータノード運用やブロックチェーンゲーム開発を推進するとのことですが、まず、バリデータノードの運用にはどのような狙いがあるのでしょうか。



DJ RIO:バリデータの運用は、ブロックチェーンのパフォーマンスやセキュリティ、分散性の向上に貢献する事業です。ゲームに比較するとすぐにスタートできるので技術的な理解も進むし、チーム作りもしやすい。同時に、ブロックチェーンゲームのための事業でもあります。

――ブロックチェーンゲームのための事業とは。



DJ RIO:ブロックチェーンゲームの事業を展開する場合、ブロックチェーンの提供元とのパートナーシップが大事です。技術サポート、マーケティングの協力、暗号資産取引所やNFTのマーケットプレイスとの接続など、ブロックチェーン業界にサポートしてもらいながら立ち上げていくことになります。その際にBLRDがバリデータの運用をすることで、彼らと近い立場でブロックチェーンの運営の一部という立ち位置になります。バリデータを運用するためにはそれなりの金額のトークンを保有して預けなければならないので、トークンの価値が上がるように一緒になって頑張る関係になれます。サポートをしてもらうだけでなく、お互いの利害が一致するパートナーになることによって、健全かつ密接な関係性を築くことができ、結果的にブロックチェーンゲームの成功に寄与することにつながると思っています。

――パートナーシップを構築する取り組みはすでに始まっているのでしょうか。



DJ RIO:はい。2022年初めから夏にかけて、有力なブロックチェーンの開発運営元の経営者とのリレーションをつくってきました。グループチャットで当社のエンジニアが質問をするとすぐに回答をもらえる、一緒にマーケティングプランを考える、といった緊密な協働関係が各ブロックチェーンとできています。

――ブロックチェーンゲームの開発については、どのような戦略を持っていますか。



DJ RIO:2023年のリリースを目指して開発しています。コンセプトは日本のクリエイターやIP、パートナー企業が持つ価値を、グローバルなWeb3コミュニティにいい形のゲームとして届けていくことですね。日本はゲーム大国であり、IP大国でもあります。資産としてはすごいものを持っていますが、技術的な問題と、税制や法規制があるほか、海外とのリレーションの構築が上手ではないことから、爆発的に広がっているWeb3の市場にいい形で参入できている日本のプレイヤーは多くありません。だからこそ私たちで、グローバルなWeb3市場において日本の企業が享受できる道筋をつけることができればと考えています。

大事なのは尽きない好奇心――グリーの環境でトライしたい人を募集

――ブロックチェーンゲームのリリースに向けて社内体制も強化されているのでしょうか。



DJ RIO:はい、今後に向けて採用強化を進めています。大きく分けて、ゲームの中身をつくるチームと、ゲーム共通となる基盤を作るチームが必要で、両方とも人材を募集しています。ゲーム作りは新しい仕組みを作る楽しさと大変さを体験できますし、基盤作りではブロックチェーン技術に直接触れて開発に携わることができます。それぞれ異なる魅力がある仕事です。

――具体的にどのような人が向いていますか。



DJ RIO:新しい領域に対して、「面白そう」「やってみたい」と感じるトライアル精神があることが重要ですね。ブロックチェーンそのものを扱ったことはなくても、エンジニアリングや企画などの基礎力とトライアル精神があればぜひ応募していただきたいです。また、グループ内での異動制度もあり、これまで培ったゲーム開発の経験やプラットフォーム領域の開発経験があれば能力が生かせると思いますので、ぜひ手を挙げてほしいですね。

――グリーグループだからこその魅力もあるのでしょうか。



DJ RIO:新しい領域に挑戦する際に、既存のビジネスインフラ、ノウハウ、人材に加えて、長期投資に耐える財務基盤まで揃った環境は、国内ではかなり少ないはずです。スタートアップは新しいことに飛びつく機動力がありますが、人材採用や資金調達に苦戦することも多いように見受けられます。一方で大企業は、環境は整っていても新しいことになかなか手を出せないケースが多いのではないでしょうか。そういう意味でグリーグループは、大企業とスタートアップのいいとこ取りをして挑戦できる魅力があると思います。話だけでも聞いてみたいという方も歓迎です。ぜひこちらから。(REALITY株式会社採用情報

グリーグループが培ってきたノウハウを「新しいゲーム」へつなげていく

――ブロックチェーンゲームの開発について、今後の展望を教えてください。



DJ RIO:ブロックチェーンゲームの開発運営元にとって大事なのは、当たり前ですが面白いゲームをつくれるかどうかです。もう1つは、ゲーム内で発行した資産の価値を担保すること。この点については多くのプロジェクトが失敗しています。

――失敗しているプロジェクトもあるとのことですが、この点についてはどのように考えていますか。



DJ RIO:まず通貨の価値担保について、通貨を発行することになるので、マネタリーベースの拡大や縮小といった、世界の中央銀行が行っていることとほぼ同じことをする必要があります。グリーグループで10年以上取り組んでいるFree-to-Playと呼ばれるアイテム課金型ゲームの運営では、ユーザーがお金を払って購入する通貨と無料で供給される通貨があり、通貨の発行によるインフレとゲーム内経済の需給を常にバランスさせていく必要があります。暗号資産は変動相場制で従来型のゲーム内通貨は固定相場制だという違いはあるものの、ノウハウが活かせるところもあるのではないかと思っています。またブロックチェーンゲームで重要となる、ゲーム内の資産にゲーム内での価値を感じてもらうことや、長く遊び続けてもらうゲームをつくることも、これまでやってきたことと同じで私たちが得意にしていることです。

――まさにグループの強みを生かせる事業なんですね。



DJ RIO:そうです。ほかにもグリーグループには新しいプラットフォームをきちんと作り、面白いゲームや魅力的なキャラクターをつくることができるクリエイティブ能力があります。また、日本の主要なIPホルダーと協働関係にありますので、ユーザーに愛されるIPという資産を新しい市場に持って行くブリッジにもなれると思います。さらに、世界各国の法規制の中で、コンプライアンスを順守して運営できる管理体制も整っています。全てを高いレベルで持っているので、これらを全部組み合わせて、サステナブルかつ魅力的な事業をつくっていきたいですね。

――今後のWeb3事業について最後に一言お願いします。



DJ RIO:暗号資産の価格が短期的に上下したり、突然業界2位の取引所が破綻して数兆円が無になったりといった日々の激しい動きを乗りこなすことは、グリーグループのような規模の大きい会社では本来は不利です。半年後にはなくなっているかもしれないけれど、今この時点で熱い分野で勝負するのは、スタートアップの方が向いているでしょう。それに対してグリーグループの強みは、短期的にはプラスマイナスがあっても、3年後にこういう世界になると確信できるものに、3年間かけて腰を据えて取り組めることです。これからもグループの様々な強みを生かし、ブロックチェーンゲームの開発等を通じてWeb3事業を推し進めていきます。そして変化を楽しむことが出来て、グリーグループの環境を生かしたい人、これまでの経験を元に活躍したい人には、ぜひ一緒に挑戦してほしいですね。