「任せて見守る」カルチャーが、挑戦し続ける新卒エンジニアを後押し

年に一度、開催される『グリーグループ総会』の時期が今年もやってきました。グリーグループでは1年を通じてグリーのバリュー(行動規範)を最も体現した社員・プロジェクトにMVP賞を贈呈します。特に「Best Newgrad of the year」は、前年に新卒で入社した社員から選ばれ、MVP賞のなかでも一生に一度しか獲得のチャンスがないことから、多くの注目を集めます。今回の受賞者は、エンジニアとして共通基盤「Gamelib」の大規模改修に挑戦し、「常に前向きに挑戦する。成功するまでやり続ける。」のバリューを体現した髙津さん。周囲を上手く巻き込みながら、常に挑戦し続け、成果を出してきたこの1年を振り返ってもらいました。

髙津:株式会社WFS / 開発本部 / ゲーム開発部 / Server Engineering グループ / Engineering1 チーム
2022年4月入社。同月株式会社WFS(ライトフライヤースタジオ)へ出向。Game Platformチームに所属し、ゲームの課金やアカウントの引き継ぎなどに関わる基盤システムの開発業務に携わってきた。
2023年7月に「ヘブンバーンズレッド」のサーバーチームに異動。

同期は凄腕エンジニアばかり、チームはベテラン揃いでやや緊張のスタート

ーーBest Newgrad of the yearの受賞、おめでとうございます!受賞された今のお気持ちはいかがですか。



髙津:「うれしい」の一言に尽きます。まず、Game Platformチームの皆さんにお礼を言いたいです。私の突拍子もない質問で困らせてしまったことも多々あったと思いますが、皆さん真剣に答えてくださって、丁寧なアドバイスをくださいました。また、私は入社前からインターンシップや内定者アルバイトを経験していて、その当時お世話になった方にもいろいろなアドバイスをいただきました。そうした、多くの方の助けが今回の受賞につながったと思っています。本当に、ありがとうございました。

ーー業務に取り組むうえで、新卒MVPの受賞を意識することはありましたか。



髙津:獲れたらいいなとは思っていましたが、是が非でもという感じではありませんでした。ただ、同期のエンジニア職は皆凄腕ばかりで、それぞれの活躍ぶりを耳にする機会も多く、それがすごくいい刺激になりました。


▲髙津さんと同期のエンジニアたち。今年の春に開催された座談会のようす。(記事はこちらから

ーー入社1年目、どのような環境で、どのような業務に取り組んできたか伺えますか。



髙津:グリーグループで使用されるスマートフォンアプリ向け共通基盤のサーバサイドの開発や改善を担当してきました。業務についてもう少し詳しく言うと、Gamelibというゲームにおける課金や認証、アカウントの引き継ぎなどの、すごく重要な部分を担う機能の開発や改修に取り組みました。ライトフライヤースタジオのゲームだけではなくグループ他社のゲームやスマートフォン向けメタバース「REALITY」でも使われており、すべての土台になるグループ共通の基盤を担っています。携わっているチームのメンバーは社歴が10年を超えるようなベテランばかりで、配属された当初は「こんなチームに新卒の若造が入って大丈夫なのだろうか?」と少し心配になったことを覚えていますね。

仕事の選り好みをせず、質問や提案など自ら積極的に発信

ーーそうしたベテラン勢と一緒に業務に取り組むにあたり、特に意識したことや心がけたことはありますか。



髙津:2つあって、1つは仕事の選り好みをしないということです。周囲に認めてもらいたい、成果を出したいと考えると、明確な数字が示せるものとか、注目されやすいものなど、誰が見てもわかりやすい成果を求めがちです。でも、私が担当していた課金認証基盤は、使われるプロダクトがリリースする限りずっと使われ続けるシステムであり、コード改修においてたった1行をおろそかにすることが、後々の大規模な障害につながるリスクさえあります。こうした自らの意識の方向性がたまたまGamelibチームの性質とマッチしていた側面もありますが、こういったどちらかと言うと地味で周囲に気づかれにくい泥臭い部分こそ重要だと思っています。将来的には、全部自分でできるくらいのスキルを身につけたいと考えているので、チャンスがあればどんな仕事もやると決めていました。

ーーもう1つ、意識したのはどのようなことですか。



髙津:何でも疑問に思ったことは聞いてみる、気づいたことは提案してみるということを実践してきました。人事の方との間で定期的に実施される1on1で、「新卒入社1年目は、周囲に頼ったり、甘えたりすることが許される時期」という話を聞いてちょっと開き直ったというか(笑)。くだらないとか、面倒くさいと思われてもいいから、自分から発信する、働きかけることを意識しました。

ーーそうした髙津さんの行動や、質問や提案に対する周囲の反応はいかがでしたか。



髙津:質問には一つひとつすごく丁寧に答えていただきました。提案は、色々議論しつつも最終的には導入を見送ることが多かったですが、その過程で「なぜ難しいのか」「どういう経緯で今に至るか」など、きちんと説明していただけてすべて納得できましたし、結果的にこれがGamelibというシステムを理解する早道になりました。
Gamelib自体10年近く運用されていることもあり、長年携わってきたメンバーの中で暗黙知化されていることが多く、マニュアルやデータとして明文化・言語化され尽くしていないものもありました。グループ全体で使うシステムなので、誰が見てもわかるように形式知化しておくことが重要ですが、なかなか着手できない側面があったのは事実です。今回、私が多くの疑問を投げかけたことをきっかけに、資料作成や形式知化の取り組みがより進んで、自分の行動がチームに良い変化をもたらせたことはうれしく思っています。

「任せて見守る」グリーの文化、その信頼に応えたい

ーー質問や提案を重ねる中で、大きな業務を任されるようになっていったのですね。



髙津:そうですね。徐々に大きな提案もするようになり、6月のはじめくらいからキーワードフィルターの改修に取り組んできました。こちらのキーワードフィルターも実装してからすでに10年くらい経過していて、いろいろな問題が指摘されていることは知っていましたが、それを「じゃあ、やってみて」という感じで渡されたんです。具体的な指示もなく、しかも「あれ、1人で?」って(笑)。でも、細かい指示がなかったことで、任せてもらえている、信頼されていると感じ、モチベーションも上がりました。

ーー少しハードルが高いと感じることでも、安心して挑戦できる環境があると感じますか



髙津:はい。ただ「好き勝手にやらせる」わけではなくて、必要に応じてアドバイスもいただけるし、まさに「見守られている」感じです。私自身は細かく干渉されるより、ある程度自由にやりたいタイプなので、チームの先輩や上司との関わり方も自分にはすごく合っていると感じています。

ーー自由にのびのびと取り組める環境が、「常に前向きに挑戦する。成功するまでやり続ける。」というバリューの体現につながったのですね。



髙津:そうかもしれませんね。ただ、そういった環境のなかでも「報告・連絡・相談」を自分から行うということだけは常に意識していました。インターンや社内アルバイト時代にお世話になった方のところに相談に行ったり、いろいろな視点の意見が聞きたくて他部署と連携したり、毎日の改修の進捗状況の報告は欠かさずに行いました。
実は学生時代、他社のインターンシップでマネジメント業務を担った際に、メンバーの状況が把握できずに失敗した経験がありました。その時に、マネジメントする立場でメンバーから情報が共有されない不安を痛感し、メンバーである今は自分から積極的に共有を行うように心がけています。

異なるプロダクト間を取り持ち、間に立って連携を図る役割を担っていく

ーー難易度の高い取り組みに挑戦し、多くの学びがあったと思いますが、1年を振り返って成長したと感じる部分を教えてください。



髙津:エンジニアとしての腕力みたいなものは身についたと感じています。元々、いろいろなプロダクトで使われるシステムに興味がありました。例えばパソコンとかスマホのOS(オペレーティングシステム)。これはいろんな人やいろんなプロダクトの要求や要望を吸い上げて上手く抽象化した、すごくスマートな仕組みだと思っています。Gamelibの課金システムにもそういったスマートさがあると思っていたのですが、実際にはもっと泥臭い作業が多くて驚きました。

ーースマートではなかった?



髙津:もっとこう「Gamelibは、全プロダクトの色々な問題を全部まとめてスマートに解決した共通基盤だから、あとは何も考えずにただ従ってくれれば大丈夫」みたいなのを勝手にイメージしていました(笑)。勿論、これはGamelibが目指すべき理想形の一つであることは確かですし、実際にスマートに解決できている部分もゼロではないのですが、少なくとも現状ではスマートでない部分の方がずっと多いです。例えば、各プロダクトから多様な要望が毎日のように寄せられますが、一方を採用すると他方で問題が生じたり、さらに他の要望も拾う必要が出てきて収拾がつかなくなったりと、全部には答えられないわけです。相反する要望を一気に解決できるような、そんなスマートな解決策なんて存在しないケースがほとんど。となると、何をどこまでやるかの線引きが必要になり、各プロダクト毎の1対1の地道なコミュニケーションが必要不可欠になるわけです。
実際のコードにもそういった10年分の苦労の痕跡が残されていて、相当複雑で読み解くのはかなり大変だったりします。こうした背景も含めて、地道に読み解いていく腕力というか、忍耐力や根気強さはしっかり身についたと思います。以前は敬遠していた複雑そうなコードや、大規模なコードにも今では怯まなくなりました。

ーーシステムの根幹をなすための地道な作業が欠かせないのですね。



髙津:その通りです。何かを手軽に、簡単に実現できるのは泥臭い部分を上手く隠してくれている人がいるからです。Gamelibチームはまさに、課金周りなどの面倒くさいところをできるだけ隠して、よりプロダクト側がコンテンツ部分のモノづくりに集中できるような環境を届ける役割なんです。

ーー最後に今後の目標をお聞かせください。



髙津:7月に「ヘブンバーンズレッド」のサーバーチームに異動になり、Gamelibを開発する側から、使う側へと大きく視点が変化しました。プロダクト側のサーバーエンジニアはこれまでよりもユーザーであるお客様に近いところで直接要望を反映できる立場なので、どれだけプラスの価値を生み出せるか楽しみです。一方で、これまでGamelibの開発で培った課金や認証という「できて当たり前」を守るという姿勢も大切にしていきたいですね。双方の立場を知る私だからこそ、提案できることもあると思いますし、プロダクト全体を見てコントロールできるようなスキルを身につけ、当たり前品質と魅力品質の両方をバランスよくかなえられる、そんなエキスパートを目指していきます。
また、後輩を受け入れる側にもなりましたので、私を受け入れてくれたチームの先輩方にならい、新入社員の方が少しでも自由に発言できる環境を作ってあげられるようになりたいですね。コントロールが必要な場面もあるとは思いますが、「やりたい」という気持ちは最大限尊重して、チャレンジできる環境を整えたいです。私がのびのびと成長できた環境を、これから入社してくださる皆さんにはより良い形で作り上げていきたいと思います。