新卒で飛び込んだIPプロデュースの世界。活躍を支えたメンターの存在とは

2021年7月に設立されたグリーエンターテインメント株式会社ではアニメ・アーティストIPを中心としたIPプロデュース事業およびゲーム事業を展開しています。ステークホルダーが多く、難易度が高い交渉が求められる環境で、活躍する新卒社員の姿がありました。その裏では、グリーグループの新卒メンター制度(※1)が成長の鍵となっているとのこと。今回は、新卒2年目で部署別MVPに輝いた社員とそのメンターへ、IPプロデュースの業務内容やお互いの存在についてインタビューしました。


片岡片岡:グリーエンターテインメント株式会社 IPプロデュース本部 事業開発チーム アソシエイトマネージャー
2016年 グリー株式会社新卒入社。2021年7月よりグリーエンターテインメント株式会社に出向。入社から現在に至るまでIPを使用した外部パートナー企業とのリレーション構築や事業開発を担当。これまで複数の協業案件におけるIPゲームの立ち上げを経験し、現在はグリーエンターテインメントが出資するアニメ作品のゲーム化展開におけるアライアンス業務全般を担当。

武正武正:グリーエンターテインメント株式会社 IPプロデュース本部 事業開発チーム
2020年 グリー株式会社新卒入社。2021年7月よりグリーエンターテインメントに出向。グリーエンターテインメントが出資している作品の新規ゲーム化・コラボ展開における新規顧客開拓などのアライアンス業務や、運営タイトルのデベロッパーリレーション業務を担当。

それぞれが出会ったIPプロデュースの仕事

ーーお二人の所属するIPプロデュース本部ではどのような業務を行っていますか?

片岡片岡:IPプロデュース本部では、アニメIPを中心としたプロデュース事業を展開しています。主に、アニメ製作委員会への参加や原作の開発を行い、ゲーム展開をはじめとした国内外での事業開発と、作品のグローバル展開をプロデュースしています。
その中でも、事業開発チームではアニメIPを使った、新規ゲーム開発のアライアンス業務を担当しています。具体的には、国内外のIPを求めるクライアントと提携し、ゲーム展開やゲームコラボをプロデュースする仕事です。クライアントは幅広く、ゲーム会社やパブリッシャー、開発会社や最近ではゲーム事業に興味を持っている別業態の企業などと取り組むこともあります。

武正武正:僕はそのセクションの中で、片岡さんの指導のもと、今まで一緒に事業を行ったことのない企業さんを相手に新規開拓を行っています。

ーーお二人はメンター、メンティー(※2)の関係ですが、武正さんは入社直後からオンラインで新規開拓を進めていたそうですね。

武正武正:僕は、入社と新型コロナウイルスの感染拡大が重なって、最初から基本在宅勤務だったのですが、配属直後から、クライアントとの打ち合わせに出させていただきました。もちろん最初は同席という形で片岡さんの進行を聞いているだけのことも多かったですが、1、2ヶ月もすると進行を任せてもらえるようになりました。そんな中、メンターからのフォローでありがたかったのは、打ち合わせ直後の一対一の面談です。自分の発言や会議全体の運び方などについて、よいところと悪いところを一つ一つ丁寧に説明してくださったことで、慣れない業務かつオンラインでのスタートでしたが、実践を通して学びにつなげることができました。


片岡片岡:武正さんの場合は入社からオンラインでのやり取りが中心だったので、コミュニケーションの機会を増やすためにも、フィードバックの面談は欠かさずに行っていました。その中でも、最初から改善点だけ伝えるのではなく、まずは彼のいい部分について全部伝えるようにし、改善点については、どう伝えれば上手に伝わるかあれこれ考えて、伝え方が上手な人の話し方も参考にして伝えるように工夫していましたね。

ーーIPプロデュースという仕事は聞き慣れない人も多いと思いますが、お二人とも最初から今の業務を志望してグリーに入社されたのですか?

片岡片岡:僕の入社の経緯はかなり特殊でして、グリーに入る前までは、サッカー一筋の生活をしていました。大学サッカーで日本一になったあと、海外でプロサッカー選手をしていたんです。怪我の影響でサッカーを辞め、日本で就職活動をすることになったとき、何をやりたいのか全く決まっていませんでした。幸い、体育会サッカー部のつながりや自分の経験を評価してくれた、日系の大手企業から複数内定をもらえたものの、自分の本当にやりたい仕事は何かと真剣に考えたときに、ふと浮かんできたのがエンタメの世界でした。
自分の中ではサッカーもライブもアニメも同じ枠の中にあって、心から愛したコンテンツを全力で応援し、感動で涙を流す仕事ってすごくおもしろいと感じたんです。グリーの人たちは、自分の関わっているコンテンツについて、とても自信を持って話しているのが印象的でした。

武正武正:僕は高校卒業まで海外で過ごしていたのですが、幼少期から日本のアニメがすごく好きで。就職活動の際、父から言われた「まずは自分の好きだったものの会社の中身を見てみるといい」という言葉が刺さって業界を絞って企業を見ていました。ゲームもよくやっていたので最初はゲームプランナーなどの職種を志望していましたが、あるときグリーの新卒採用担当の方から、「アニメ作品のライセンスを扱う部門がある」といわれたんです。「自分の好きなゲームとアニメ、両方に関われる仕事があるんだ」と頭の中に電撃が走って、グリーに決めました。

「言わない」ことで、自分で業務をコントロールする力を身につけさせる

ーーIPプロデュース事業の中では多くのクライアントとの関わりがあると思います。入社直後からグリーグループを背負ってクライアントと向き合うのはかなり難易度が高いと思いますが、苦労したことはありましたか?

武正武正:オンラインの打ち合わせで、相手との会話が続かないというのが悩みでした。もちろん、事業内容についてのプレゼンは事前に何度も練習していましたし、最初のうちは自分が担当するパートだけきちんと話すという形だったのですが、次第に自分の仕切る割合が増えていくと、話を盛り上げたり、意見を引き出すための受け答えに詰まったりすることが度々でてきました。

ーーその度に、片岡さんからのフィードバックがあるわけですね?

武正武正:そうです。最初の頃は自分が何をすべきかすらきちんと理解ができていなくて、片岡さんからのアドバイスも消化しきれませんでした。それでも、半年で40社くらいアタックする中で自分で目標を立て、企業の選定から問い合わせの方法まで考えて実行できるようになっていきました。とにかく経験を積みながら、その都度よくなかったところを自分で振り返り、片岡さんからのアドバイスをいただいて、それらを消化して次に生かそうとしてきましたね。


ーー自分で気づけるような形をつくっていったんですね。

片岡片岡:武正さんが業務において経験した事があるものについては、あまり口出しをしないようにしていました。経験のあることなら自分で考えられるし、そういうところからクリエイティビティや、自分なりの方法論が生まれると思うので。一方、やったことがないものについては、必ず先にいろいろな情報を教えるようにしました。

武正武正:「ここは自分で考えてみて」と言われることも多く、そのおかげで何とかやってこられたと思います。

ーーそういったメンターとしての対応は、片岡さんの新卒の頃の経験が生きているのでしょうか?

片岡片岡:僕の場合、メンター・メンティーの関係にとどまらず、グリーに入って以降、人に恵まれていたことが大きいです。新卒の頃って、頑張って努力して、早く一人前になりたいっていう気持ちが強いじゃないですか。でも、その意志だけじゃ前に進めないこともたくさんあります。そんなときに、その思いを受け止めてくれる組織とか、同じ思いを持っている人が近くにいるという環境ってすごく大事だと思うんです。特に、最後まであきらめず、本気で仕事をするということは言っていますね。そして、それにはとことん自分もつきあうよと。そういう人がいたら、安心して仕事ができると思うんです。

武正武正:今の話を聞いていて、改めて「そうだなぁ」と強く思いました。片岡さんは優しいけれど、いろいろと考えた上で接してくださっているんだろうなと。そのおかげで、僕は安心していろいろ聞くことができています。

片岡片岡:最近よく思うのは、グリーグループですごいなと思う人たちって、それぞれ能力や見えている視点は先を見ているけれども、メンバーや現場と会話する際はちゃんと相手のレベルに合わせてしっかり会話する事ができることなんですね。また、仕事の関係だけではなく、プライベートでも関係値をしっかりつくれること。「この人は信用できる」という人たちに囲まれて働いた方が、成長スピードは圧倒的に上がると思うんです。

自分から進んで課題に取り組む人材を育て、また新たな熱狂を生み出す

ーー武正さんは昨年、部署別MVPを受賞されましたが、その時片岡さんはどういう気持ちでしたか?

片岡片岡:彼が社内できちんと認識される場所に立てたことが本当によかったです。毎日一緒に仕事をしていたらその人の力量や長所もわかるけれど、他の部署の人にはわかりません。僕らの仕事はアライアンスなので、法務や知財、経理など、グリーグループのいろんな部署の人たちと連携して進めていきます。そんな中、名前と顔を覚えてもらえる機会を得られたのは、彼がやりたい仕事をやれるようになるためにも、すごくよかったと思います。


ーー片岡さん自身、メンターの経験を経て、変わった部分はありますか?

片岡片岡:押しつけることをしなくなりました。マネジメントの仕事って、どんな困難があろうとメンバーと最後まで向き合いながら事業成果を最大化することだと思うんですが、現場の人たちにとって、押しつけられてやっているのと、自分から進んで業務をやっているのとでは、長期的に見ると後者の方が組織にとっても良いですし、本人の自信もモチベーションもあがる。昔の自分だったら、相手ができない事に理解を示す事ができていなかったかもしれませんが、相手ができるようになるにはどうしたらいいのか。根本的理由を突き詰めるところまで意識できるようになったのは変わった部分だと思います。

武正武正:片岡さんは僕ができていないことを理解して、それでもちゃんと任せてくれました。今後は僕がメンターの立場になることもあると思いますが、この経験を糧にメンティーに仕事を楽しんでもらえるようにマネジメントしたいです。仕事はつらいこともありますが、ポジティブな気持ちで臨めるようにサポートしていけたらと。自分はそれを片岡さんにしてもらいましたし、今、こうしてそれなりに結果も出して頑張れているのも、そのサポートがあったからこそだと思っています。

片岡片岡:うれしいですね。やはり武正さんの頑張りが一番です。確かにメンターの存在も大きいんですが、最終的には何かあったときに「自分のせいだ」と思えていないと、次の成長はないと思っているので。

ーー今後の事業における目標を教えてください。

片岡片岡:僕らの組織である事業開発チームは、グリーの中では少し特殊な仕事で、自社で全て役務を持ってビジネスをやるのではなく、パートナーと協業して進めていくのが基本です。このパートナーリレーションズを最重視していく事業をさらに深めていきたいと思っています。熱狂できるコンテンツをパートナー企業と一緒につくって、世界を変えていきたい。そのために必要な信頼は、事業成果は勿論必要ですが、何度も打席に立ち続ける事だと思っています。
当たり外れの大きなビジネスをすると、どうしても失敗する事があります。失敗しても成功してもパートナーと要因を詳細まで分析し、人間関係もしっかり構築する事が必須です。パートナーの皆さまには、「〇〇さんだったら任せられる」「〇〇さんがいたから事業を一緒にやった」と言ってもらえるように関係性を今後も継続してつくっていきたいと思っています。

武正武正:今は世界を熱狂させるコンテンツ制作に「関わる」立場ではありますが、今後はより「作る」立場に近づいていきたいと思っています。「この作品は自分が作り上げた」と胸を張って言えるよう、仕事を頑張っていきたいです。その目標を実現するためにも社内の方々ともより強固に連携が取れる関係性づくりや、社外の方々にもより魅力的に思っていただけるような提案をするなど、やるべきことを模索しながら、より深くコンテンツ作りに関わっていきたいです。



(※1)グリーグループで実施している、新卒社員に対し直属の上司や同じ部署の先輩がメンターとして業務の指導や、キャリアにおけるサポートを行い新卒社員の自発的な成長を促す制度
(※2)メンター:指導・サポートを行う立場、メンティー:指導・サポートを受ける立場

※撮影時のみマスクを外しています