気候変動リスクへの対応
~TCFDに基づく情報開示~
グリーグループは、「インターネットを通じて、世界をより良くする。」というミッションのもと、様々な分野において、社会課題解決を目指す活動をおこなっており、SDGsに関連する活動にも賛同しています。その中でも、二酸化炭素排出量の増加を原因とする気候変動の当社事業への影響に注目しており、2022年9月にTCFD提言※への賛同を表明するとともに、以下のとおりTCFD提言の枠組みに基づく情報開示を実施致します。
※TCFD提言…
正式名称は、Recommendations of the Task Force on climate-related Financial Disclosures (Final Report)。G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)によって、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立された、気候関連財務情報開示タスクフォースが2017年6月に公表したもの。
ガバナンス
気候変動への対応については、グループリスクマネジメント委員会が、気候変動関連を含むグループリスク対応の中で審議・検討し、その結果を代表取締役社長に報告します。取締役会は、代表取締役社長からグループリスクマネジメント委員会で審議された重要事項についての報告を受け、必要に応じて改善指示を行うことで気候変動の対応策等についても監督を行っています。
戦略
グリーグループは、気候変動が事業に与える影響(リスク及び機会)については、現時点で以下のとおり認識しています。
気候変動によって当社の事業に発生するリスク及び機会の特定にあたっては、IPCC発行の「IPCC 第5次評価報告書(AR5)」、IEA発行の「World Energy Outlook 2020」、文部科学省/気象庁発行の「日本の気候変動2020 大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書」等にて報告されている各シナリオを参照した上で、21世紀末の気温上昇が工業化以前と比較して2℃程度に抑制できる2℃シナリオと、現時点を超える気候変動緩和策を取らず地球温暖化が進行した場合の4℃シナリオを選択しました。
シナリオ分析にあたっては、分析対象事業をグリーグループ全体とし、分析対象期間を2030年としております。
1.リスク(2℃シナリオ)
リスク | 区分 | 当社が認識しているリスク 事業への影響 |
リスクへの対応 |
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移行 リスク※ |
政策・法規制リスク | カーボンプライシングへの対応 ⇒炭素税の導入に伴う追加的コストの発生 |
・新たな気候変動リスク関連法規制への迅速な対応 ・情報開示に対する周到な準備 |
二酸化炭素排出量等情報開示義務の拡大 ⇒対応に係る人的コストの増加 |
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技術リスク | 再生可能エネルギーの進展 ⇒枯渇性エネルギーから再生可能エネルギーへの移行に伴う電力不足及び電力コストの増大 |
・より省エネ性能の高いクラウドサービスの導入 ・オフィススペースの更なる効率化 ・メタバース等新技術を用いた新たなコミュニケーションツールの活用 |
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市場リスク | ESGやSDGsを意識した投資家の増加 ⇒脱炭素社会への移行対応に遅れた場合の株式市場における投資家からの評価低下と資金調達コストの増大 |
・TCFD等気候変動対応枠組みへの積極的な参加 ・上記の各リスク対応策の実施による投資家への理解の促進 |
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評判リスク | 脱炭素社会の実現に対する社会的希求 ⇒脱炭素社会への移行対応に遅れた場合の社会的評価の低下 |
・オフィスの脱プラスチック、ペーパーレス及び紙資源再利用の継続実施 ・緑づくり活動への参加 |
※移行リスクとは、低炭素経済への「移行」に関するリスクのことを指す。
2.リスク(4℃シナリオ)
リスク | 区分 | 当社が認識しているリスク 事業への影響 |
リスクへの対応 |
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物理 リスク※ |
急性リスク | 突発的な豪雨、洪水、大型化する台風等異常気象や自然災害の発生頻度の増加及び深刻化 ⇒従業員やオフィス、データセンター等施設への人的、物的被害の発生 |
・BCP態勢の見直し及び強化 ・リモートワークの推進 |
慢性リスク | 平均気温の上昇、海面上昇、感染症の増加及び深刻化 ⇒気温上昇や感染症の拡大に伴うオフラインイベントの実施規制 |
・メタバース等新技術を用いたオンラインイベントの開催 |
※物理リスクとは、気候変動による「物理的」変化に関するリスクのことを指す。
3.機会
区分 | 気候変動が事業に与える機会 | |
---|---|---|
機会 | 資源の効率性 | ・リモートワークの推進による固定費用の削減 |
製品/サービス | ・消費者環境意識の変化に伴う提供サービスの拡充、事業ポートフォリオの多角化(電子書籍事業の開始等) | |
市場 |
・オンラインイベントの増加に伴う当社提供サービスの需要拡大 ・社会的なテレワークの普及に伴う、メタバース等新たなコミュニケーションツールの需要拡大 ・気候変動に関する各種リスク対応策の実施、ペーパーレス等の環境資源の保護や緑づくりといった社内外の幅広いサステナビリティ活動を実施することによる企業イメージの向上 |
リスク管理
グリーグループでは、気候変動に関するリスクについては、グループリスクマネジメント委員会でリスクの分析及びその対応策について議論を行い、ビジネスリスク(オペレーショナルリスク)や財務リスクと同等に位置付けて、全社的リスクマネジメントの中で審議・検討を行っております。特に二酸化炭素排出量については、当社グループのビジネス特性を踏まえ「オフィス」と「サービスシステム」に区分をした上で、年度毎の排出量を算出することでモニタリングを行っております。
また、上記気候変動に関するリスク及び二酸化炭素排出量は、グループリスクマネジメント委員会から代表取締役社長に報告された上で、代表取締役社長から報告を受けた取締役会がグループ経営会議等を通じて監督を行っています。
指標と目標
グリーグループでは、気候変動リスクのうち低炭素経済への「移行」に関するリスクの管理上の指標として、CO2排出量を算出しています。
2021年から2023年における当社グループ全体のCO2排出量については、以下の通りです。
今後も各年ごとにCO2排出量を算出し、当社のHPにて開示することで、CO2排出量を把握していきます。
グリーグループのCO2排出量
CO2排出量実績(単位:t-CO2)
分類 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
Scope 1 (直接排出量) |
0 | 0 | 0 |
Scope 2 (間接排出量) |
606.5 | 544.7 | 138.7 |
Scope 3 (自社事業の活動に関連する他社の排出量) |
2,611.9 | 2,115.5 | 1,873.7 |
※Scope3においては、再生可能エネルギーの購入によって削減されるCO2排出量分も合算されております。
※Scope3は、主に当社が購入している外部サービスシステムとなります。また、Scope3排出量の開示拡大についても今後検討してまいります。